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ハツカネズミ2022冬

先祖達もこのような冬の陽を受ける山々を見ながら、レコードを聞いていただろう。リルケやハイネ、ヘッセなども手にしていたかもしれない。彼らのうちの血気盛んな男女達はまずは東京に出て、大正や昭和の国運盛んな大気を体内と精神に横溢させてから、朝鮮半島や満州、台湾に渡っていった。さらにアメリカやヨーロッパ組もいたかもしれない。ほとんどがセピア色の写真におさまって、墓に葬られただろうが、絶家して墓も記憶にも無い者たちも少なからず。今はこの100年ものの家の当主は、せっせとメールを送り、スマホでしやべりちらし、ご満悦だ。時折、東京に出て、仲間たちとおだをあげ、得意げに帰ってくる。山々にとっては孤独なハツカネズミのように見えるだろう。また村上春樹を読みたいな。

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