二十二回 「僕は本で出来ている」
1994年 2月 草加
〇 運ばれた荷物の殆どは本だった。
こうしてみるとよく分かる。僕という人間は本で出来ているという訳だ。他の荷物はといえば、大モノはセミダブルのベッドと本棚、そして小学から使っている学習机のみ。あとは洋服が少々というぐあい。別にベッドも机も実家に置いてきても良かったのだけれど、あれだけのタンカを切って出てきた以上、部屋を空っぽした方がいいように思えて、敢えて運んできたのだ。
本棚に入りきらない本たちは、開封したダンポールから物珍しそうに顔を覗かせて