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2021年 選手別短評・総括<CB編>

前回のGK編に引き続き今回はCB編。

登録別・背番号順でも良かったが、夏にやった時に登録ポジションと実際のポジションがごちゃごちゃになってしまったので……それを踏まえて以下のように区別する⇩

◆ポジションの区別は先発での最多出場ポジ(先発0の場合途中出場での最多ポジ)
◆各ポジションでの並び順は山雅での総出場時間順
◆アンカー⇨ボランチ
   IH、トップ下、シャドー⇨2列目

※全42名のポジション分けは一番最後に載せておきます

CB編

・常田 克人

<松本>31試合 28先発 2506分 1G1A
→<松本>30試合 27先発 2449分 1G

加入2年目。
昨シーズンと比べると出場数・出場時間でちょうど1試合分くらい足りなかったが、CBの選手ではチーム最多・最長出場となっており、特に後半戦ではほぼフル稼働。経験の浅い選手たちと組むことも多かったが、ここまで若いプレイヤーと組む機会が多いのは初めてだったのではないだろうか。

役割上、出れば出るほど悪いほうの記憶が残りやすいポジションにはなるが、DFにとってはこの「出場時間数(稼働率)」というのは他のポジション以上に重要で、評価されるべき指標だと思う(攻撃の選手でいうゴール・アシストの数字ほど守備の空中戦勝率、クリア数などの数字は絶対的な評価ではないので……)。1年で最もピッチに出れていたのはCBとして1つの大きな評価ポイントと言っていい。

また、今の山雅のスカッドにおいてはレフティで、ビルドアップにも関われ、長い距離のボールも蹴れて、さらに高さもあるというのはかなりのアドバンテージだった。毎試合のタッチ数を見ると他のCBより2倍、3倍ボールに関わっているというのも珍しくなかった。(逆に言うと編成的に常田にかかる比重が大きかったのも問題だったと思うが……)

ただ課題点もまだまだ多く、山雅に来る前から言われていた”軽い守備”や"軽率な判断"が度々見られ、そのまま失点に直結したことも。彼の場合、攻守でその判断を迫られる機会が多くなっていたのもあるでここ2年での実践経験を糧にして課題を克服していってほしいところ。

そこが一定の水準になればJ2、さらにその先でも戦えると思う。今オフは左CBを抜かれたチームや欠点をうまく改善させられるという自信のあるチームからはかなり狙われそう


・大野 佑哉

<松本>28試合 26先発  2257分 1G
→<松本>27試合 25先発 2241分 1G

加入3年目。
先ほど出場時間について触れたが、リーグ戦の50%以上出場していたのは常田と大野のみ(山雅にとってはJ昇格以降最少)。去年に続いて多くの出場機会を得た。10月末に試合中負傷したのが悔やまれる……。

大野の場合は常田と違って"チーム内での分かりやすいアドバンテージ"というものがないにも関わらず、この数字を出せたというのはさすがの万能性。スピードや粘り強さがあり、対人ではかなり強さを見せていた(本間至恩対策で右WBで使われたのも今季かなり印象に残っている)。

また1年のみだが反町塾で鍛錬を積んだだけあって、粘り強さや前の選手をシンプルに追い越していくアップダウンなどは身に着いている部分ではある。が、その一方でビルドアップへの関わりやクリアの質などは新たに課せられる課題となってきそう。自分より新参になる選手を動かしていけるような統率力も身につけていきたい。

負傷のままシーズンを終えてオファーは届きにくい状況だとは思うが、生え抜きで順調に育ってきている選手ということもあり、もしも無償で抜かれるようなことになれば損失はでかい。
早くも古参寄りの選手になってきているので来年からも守りたい、この笑顔。

・橋内 優也

<松本>25試合 25先発 2155分 1A
→<松本> 21試合 20先発 1714分 1G

加入5年目。
年々負担が大きくなってる影響もあってか、山雅に加入以降ワーストの出場時間となった。内訳では前半戦12試合、後半戦9試合の出場。特に痛手だったのはフル出場数が前半戦10試合だったのに対し、後半戦はわずか4試合だった点。終盤は万全でない中でのパフォーマンスだったことだろう。

しかし、フルパフォーマンスでなくとも、出場すれば個人の守備対応だけではなく、チームとして守備の質が全く違うものになっていたのは今季の山雅の悩みの種を表していたように思う。

CBとしては抜きんでているスピードを生かしたカバーリングやラインの微調整は一級品。それでいて相変わらず高さが弱点になるようなシーンもほぼ見られず、190㎝ある櫻川ソロモンに競り勝ってしまうことも。申し訳ないがスタジアムで見ていてちょっとだけ引いた。

そして、欠けていた時でもその存在はチーム内では非常に大きく、欠場時でも選手や監督から名前が出されるほど。名波監督からも橋内はチームを作る上で守備の中心として考えていたと語られている。実際、監督変更後にも自主的に守備のレクチャーをしていたことやベンチからの出場する選手に指示を送るなど「先生」役としてもチームに貢献。
もちろん代わりの選手が出てきてほしかったし、その思いは同じポジションの選手は強かったはずだが、"自立"できている若手はいてもここまでのものを求めるのはなかなか難しかったように思う。

34歳という年齢と稼働率がネックになるが、実力や経験値はJ2・J3の中でも貴重。是非ともピッチ内外で模範となるような姿を見せてほしい。

・宮部 大己

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→<松本>20試合 18先発 1530分 2G

1年目。
WBとしては355分、CBとしては1175分出場。CB・SB・WBをこなせるユーティリティ性・ポリバレント性があり、監督交代後には出番が急増。そこまでは過密日程だった愛媛戦でのわずか45分の出場だったことを考えると、後半戦でこれだけ出番が増えることは予想できなかった。体制が変わったことによって立場が最も変わった選手の1人と言える。

特に持ち味が生きていたのは名波体制の初期。
右CB(HV)でありながら攻撃時はSBのようにサイドで幅を取りつつ、積極的に高い位置へと上がっていって下川を追い越しながら攻撃に参加する形が多く見られた。最終的にはゴールも2つ。どちらも形は違えど思いっきりの良さが光るようなゴールだった。

そして、守備ではWBの背後で晒されても1vs1で山下(東京V)、加藤(山形)ら相手にボールを掻っ攫っていく対人の鬼っぷりを披露。身体を張って奪う技術がとにかく高く、大学時代は三笘対策で起用されていたのは伊達ではなかった。

ただし、可変をせず、後ろの5枚が5レーンに忠実にポジションを取るような"これまでの山雅"っぽいやり方になると持ち味が薄まってしまったのが個人としてもチームとしても課題になりそう

名波監督のやりたいようなサッカーに近づけば近づくほど活躍するチャンスは生まれやすくなるが……。もしもそうはならず、終盤戦のようなサッカーをするのであれば機動力や奪取力を生かして右のIHとして起用しても面白いのでは?と思ったり。。。

・野々村 鷹人

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→<松本>20試合 13先発 1348分

1試合目。
第2節で初メンバー入り・初出場、第3節で初先発。山雅のルーキーとしてはかなり早い段階で出番を掴み取った。

京都戦ではルーキーイヤーにして第2節でいきなりのデビュー……とサポに輝かしい未来を予感させておいて、出場即ダイナミックなファールをかまし、カードを貰ったのは事あるごとに語り継がれることだろう。その時は「まあ、初出場だし、これくらいええやろ!今年はガンガンいこうぜ!」と思っていたが終盤になるにつれて「(累積があるから)もうカード貰うなよ~」とヒヤヒヤするような存在になっていた。チームとしてはそこに善し悪しはあれどそれだけ信頼の置ける立ち位置にはなったという見方もできる。

特に持ち味が出やすかったのは低いラインを敷き、自陣に構えたところから愚直に攻撃を跳ね返していくような"かつての山雅"が得意としていたような展開の時。柴田体制や名波体制後期で出番が増えていたのは恐らくこうした事情がある。ゴール前でのギリギリの攻防をそれほどストレスとしない選手はチーム内でもあまり多くなかった。

ただ対照的にオープンな中での守備には課題が残る。1年目なので"慣れ"の関係も大いにあると思うが相手のスピード、機動力に対応出来ずに後手を踏んだり、カードを貰ってしまうようなシーンが何度か見られた。

かつての飯田もそのタイプだったが年々ディレイで致命傷を避ける術はうまくなっていたのでここから経験を積んで少しずつ改善していきたい。
来季はセットプレーも早めに1発決められれば。

・星 キョーウァン

<J1・横浜C>9試合 7先発  657分 
→<松本> 20試合 14先発 1255分 1A

去年J1でそのポテンシャルの片鱗が垣間見えたのもあって、期待値の高さを考えると去年より試合経験は積めたものの不完全燃焼の1年だったように思う。しかし、スピード・パワーは規格外で、相手の個に対する対人兵器っぷりはJ2のレベルではない。「飯田の高さと橋内のスピードが合わされば……」なんて山雅サポのないものねだりを本当に叶えてしまいそうなスケール感は感じた。

名波体制初期ではこの能力が買われて、宮部が奪いに行く裏のスペースのケア。全体が前がかりになることに対してのリスク管理役として大きな役割を果たす。リスク管理がうまいというよりも彼を置くこと自体がリスク管理になっていたという方がしっくりくるかもしれない。

一方、緻密なプレー、構えての守備で苦労したのは野々村との序列が変わった要因でもあった。自身の驚異的な身体能力が及ばない、発揮できないシチュエーションで勝負された時にいかに対応できるか、またはそもそもそのシチュエーションを作らせないかがキーになってきそう。

J3で修行を積むというより合うチームを選ぶことができればJ2の上位でも大きな戦力になりうる選手ではあるが……。明るいキャラクターやビルドアップにも果敢に挑戦する姿を買いそうなチームはありそう。また、下平体制時よりも星向きのサッカーになっているので横浜が戻す可能性も考えられる。

・篠原 弘次郎

<J2・福岡>12試合 9先発 872分 
→<松本>6試合 5先発 346分 1A

怪我も恐れぬファイターっぷりと熱いリーダーシップが魅力の選手だが、今シーズンは出場試合はわずか6試合、フル出場は2試合のみ。ルーキーイヤーの2010年を除き、ここ10年で出場数・時間は最少となってしまったのはチームとしてもあまりにも痛すぎた。

プレースタイル的に怪我は仕方ない部分はあるが、編成上はサイズ感も含め、同じ不安を抱える橋内と2人が最終ラインの生命線になっていたのは大きな落とし穴だったように思う。

話は逸れたが、実際のプレーの印象は非常にポジティブな面が多く、器用にビルドアップする姿や磐田戦で国友のゴールをお膳立てした完璧な攻め上がり→左足でのアシストなど、(恐縮であるが)いい意味でイメージの変わるようなプレーを見せてくれた。

これだけ稼働できないと契約にも関わってきそうだが、何にせよまずは怪我を直してコンディションを整えるところからになりそうか。今年の山雅に足りないところを持っている選手なので万全なら間違いなく力になるだろう。

・三ッ田 啓希

<松本>0試合 0先発 0分
<J3・岐阜>27試合 25先発 2183分 4G

加入2年目でJ3岐阜にレンタル。
ルーキーイヤーの去年はJ2で全く出場機会を得られなかったが、J3にレンタルに出された今シーズンは、リーグトップクラスの人件費・選手層の岐阜でチーム3位の出場時間を記録。欠かせない戦力として貢献している。

特筆すべきは得意の空中戦から4ゴールを記録しているセットプレーの強さ。キッカーに恵まれていた岐阜を選べたのも大きなプラスだったが、来季J3で戦う山雅にとっても心強い数字である。

プレーについて詳しく言及できるほど試合自体は見れていないが、最終節ではまずい対応からスピードでちぎられて失点に絡むシーンもあったので地上戦での課題はまだまだ残されてそう。

ただ、常田と同様に左利きで、高身長の選手は需要がある。J3で一気に評価を高めた1年となったため、J2からもオファーがあってもおかしくはない。

・乾 大知

<松本>16試合 14先発 1286分 1G 
<J2・栃木> 20試合 16先発 1402分 1G

加入2年目でJ2・栃木にレンタル。
柳・三國のパワフルコンビに押し出され、前半戦なかなか出番を得られなかったが、27節以降レギュラーを掴み取り、そのままシーズンを終えた。

乾が先発起用されるようになるまでは栃木は11戦勝ち無し。そこから先発に起用されるようになってチームは愛媛・山口・岡山に3連勝。経験の浅い三國を柳が支えるという関係性だったのが、乾になったことで柳がより自由にプレーできるようになった。崖っぷちから勝ち点9を得たことで成績を一時持ちなおすことができたのは栃木にとってはターニングポイントだったと思う(もちろん乾だけが要因ではないが……)。

こうしてまずまずの結果を残したシーズンになったが、残念ながら今オフでの満了が発表。来季は山雅でも栃木でもないチームでプレーするのがほぼ確実だが、J2で200試合出場の経験があり、まだまだ動ける年齢なのでJ2で獲得に名乗りをあげるチームもあるのではないか。もしもJ3のチームに加入するようなことがあれば大きな戦力になる。

ソンナコトナイヨもっと歌いたかったなあ、なんて。

<WB編に続く>

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※これまでのまとめとポジション別選手一覧

GK 4名 済
圍 謙太朗
村山 智彦
ゴ ドンミン
神田 渉馬

CB 9名 済      
常田 克人
大野 佑哉
橋内 優也
宮部 大己
野々村 鷹人
星 キョーワァン
篠原 弘次郎
三ッ田 啓希
 乾 大知

WB 10名
外山 凌
下川 陽太
表原 玄太
田中 パウロ淳一
浜崎 拓磨
村越 凱光
田中 隼磨
高木 利弥
吉田 将也
 山本 龍平

ボランチ 7名
佐藤 和弘
前 貴之
平川 怜
安東 輝
米原 秀亮
山田 真夏斗
稲福 卓

2列目 3名
河合 秀人
セルジーニョ
小手川 宏基

CF 9名
鈴木 国友
阪野 豊史
伊藤 翔
横山 歩夢
榎本 樹
山口 一真
戸島 章
ルカオ
小松 蓮


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