すぐ読める山形戦プレビュー~ホームで昨季の再現を~
H開幕戦の相手は前節圧倒的な力を見せた山形
アウェイ連戦で迎えた京都戦はアクシデントもありながら、アグレッシブで気持ちの感じられる試合を見せ、結果はドロー。これで2戦連続無得点となったが、試合を通して一定の手ごたえは得たはず。この2戦での成果・反省を生かしてホームアルウィンでは今季初得点、初勝利をあげたい。
今節対戦する山形は今季ここまで町田東京Vと対戦して1勝1分け。
開幕戦では固い試合展開でなかなかシュートまでいくことができなかったものの、前節はシュート24本(枠内14本)で2得点・完封勝利。東京VのGKマテウスが好セーブを連発させるもそのこぼれ球をヴィニシウスが押し込んだ形となった。
今季話題のSPORTERIAのデータからも分かるように、ポゼッション志向のヴェルディを相手に最終ラインではボールを持たせながらもその先のパスコースを徹底的に消し、逆に自分たちは最終ラインから國分・山田康・南がうまくボールを引き出してボールを保持。相手には前進させず、自分たちはほとんどの攻撃をシュートまで繋げるとまさにやりたい放題の試合だった。
石丸監督のもと昨季からの積み上げが感じられる選手と新加入の選手をうまく融合させているこのチームを相手にどれだけの内容・結果を残せるか。勝ち点1が続いているので、「いい試合だった」でおわるくらいなら最低でも結果だけは積み上げるのも大切になってくる。
石丸監督は反町元監督の右腕だったこと、昨年のH&Aダブルを果たしたことは相手も意識はしてくるはずなのでそれを跳ね返せるような熱い試合にしたい。
<予想スタメン>
・松本
開幕してしばらくは去年のようにある程度はメンバーを固め、成熟を図るかと思われたが継続されたのは阪野、安東、佐藤、橋内、大野、圍のみ。基本後ろは変えない傾向にあるとはいえ、野々村以外にも篠原や星など統率力のある選手を入れる可能性も……。
ポイントとなるのは、上にも書いた「橋内のいない最終ラインの組み合わせ」と「2トップの構成」。阪野河合の縦関係の2トップは"対京都"に対しては効果を発揮したが、前線の守備での負担は大きく、本来キャンプから目指していた理想の形とは異なるはず。京都戦での良い流れをそのままに同じ組み合わせでいくのか、ストライカーを2枚並べるのか……。柴田監督の選択はいかに?
・山形
GKには正GK櫛引が負傷していることもあり、J2ではお馴染みのスペイン人GKビクトルを補強。DFラインには去年から継続の松本、野田、熊本、山田拓(半田)が並ぶ。DHは國分、山田康、藤田らがいる超激戦区であり、生命線(もしかすると前節不在の藤田は怪我かも)。
左にはスピードスターの加藤、右には開幕戦では中村充、前節は逆脚のチャンスメイカーの中原が入った。その前に入るのは2トップの一角でほぼフリーマン状態の南。時には國分や山田康とポジションを入れ替わりゲームメイクを行っている。
そして、最後に強力なCFヴィニシウス・アラウージョ。シーズン前に得点王候補にエジガル・ウタカと挙げたが、ここまでの様子を見ると最も順調なのはこの選手。ここまで2得点はJ2トップタイで町田戦のオウンゴール誘発もヴィニシウスのクロスからだった。あまり掴みどころがない、どのプレーも卒なくこなせる万能型のFWだが、得点の取れる場所、ボールを受けれる場所を知っている選手というのが最もシンプルな説明かもしれない。常にシュートの打てる場所にポジションを取っている。
<展望>
■京都戦を受けて…
・3511のトラジション特化は続ける?
前節は(怪我人事情もあったと思うが)素早いプレスで相手の良さを消しつつ、奪ったら即時敵陣へ攻撃を開始する、目まぐるしく攻守の入れ替わる展開を意図的に仕掛け、相手もそれに応じて激しいぶつかり合いが繰り広げられた。
そのイメージをベースに次も続けていくというのは1つの手ではある(上記のようにFWの守備の労力は増えるが)。ただし、次節の山形はこれまでの相手と比較すると"京都のようにこちらの狙いに乗っかってくれる訳ではなく、山口ほどリスクを冒す訳では無い"チームである。
前節ヴェルディ戦のようにCBに持たせて、かつこちらのプレスをいなしてくるような戦術を取ってきた場合に山雅側は「持つのか?」「素早く前線に送るサッカーを継続するのか?」、前節のイメージがあるだけに舵を取るのが難しくなるのでどちらにいくにしてもブレないように準備しておきたい。
・70分以降の戦いどうする?
昨季からの課題である終盤の戦い方。そこまではある程度、思惑通り進められていた前節もこのあたりの時間から綻びが見え始めた。
点を取らなければいけない、そして守備の強度も落としたくないということで前と後ろをはっきりと分けるような343へとシステムを変更したが、ベンチ構成を考えてもそう毎試合行うのは難しいはず。できればギャンブル性の高い組み合わせの343ではなく、その場に応じた柔軟な策は見せたい。
守備の強度を保ち続けるために飛ばすのは仕方がない部分もあるとはいえ、勝ち点を積み上げ、昇格を狙うためには優位に立ちたい時間帯である。要改善。
■対山形にむけて…
・去年から続く「左で刺す」システム
サイドからの崩しには高い再現性を持つ山形。DHの一枚がCB間に下りるようなJ2でも定番になりつつある、31ビルドアップ以外にも片方のSBを最終ラインに残したまま逆のサイドバックをあげる非対称の形も持つ。
(⇧SBをスライドさせてのビルドアップの場合のイメージ)
また、サイドは左右で狙いははっきりと違いがあり、右は中央でも仕事ができるタイプの中原(去年でいうと渡邊凌)と空いた大外に顔を出して攻撃に絡む山田拓、左はスピードがあり、縦に勝負ができるSH加藤やSB松本が並ぶ。⇩
となると、自然に左に密集が出来がちというのが特徴に。そこに南や山田康が絡んでくると厚みがあって見ごたえのある攻撃を展開されてしまう。左サイドの場合は加藤がライン際に立ち、松本のインナーラップするのも要注意。
山雅的に最も恐れなければいけないのは前節の荻原の突破→ウタカのように、前貴のところでスピード勝負を仕掛けられてCBがスライドせざるをえなくなり、野々村と下川の間のCFに合わせられる形である。当然、京都戦のこのシーンはスカウティングされているはずなので人を変えるか対応を変えるか、何かしらの対策は必要になってくる。
・橋内抜きでのポケットのケアは?
そして、山形の攻撃で注意すべきポイントはPAのポケット狙い。
相手の陣内に押し込んだときに南や山田康など"普通には通せない位置へボールを通せるプレイヤーたち"が、「当然走ってるよね?」と言わんばかりのタイミングで上質なボールをこのエリアに入れてくることが多くあり、恐らく得意パターンとして練習から確立、意思疎通がされている。
前線の選手だけではなく、大外のSBが走りこむシーンがあるため、中央からカバーをしなければ間に合わないという場面も出てくるはずなので、普段橋内がケアしている裏のスペースのケアとそのスライドはしっかりと意識しておきたい。
・システムのギャップを突いて今季初得点を
対して山雅の保持時。(全くスタイルは違うが)同じ352の東京Vに対してはアンカーを南が監視して、SHが一列前に上がることで3バックを監視していた。
中央を見るとマークされているアンカーだけでなく、SHのプレスによってIHもなかなか開かず。ロングボールを使うための時間も与えてもらえないので、「比較的余裕のあるWBまで視野を広げられなければ地獄」という感じだった。
ヴェルディですらかなり苦しんでいたのでここまで求めるには相当ハードルが高く、左CBは右利きの選手が務めることになる可能性が高いので保持すること自体にリスクはあるが、少し我慢してサイドまで展開できればチャンスは広がりそう。
そして、もう1つヴェルディがあまり試みなかったFWとCBの勝負。またまた阪野の負担は大きくなるのでフルでここを狙うというのは厳しいが……ロングボールを見せておくことで相手のプレスを裏返し、躊躇させるというのが今の山雅の現実的な策か。
2トップの組み合わせによってできること・できないことが出てきそうなのでスタメン発表を見て改めて考察したい。
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プレビューは以上です。
週末はあまり天気に恵まれていませんが、せっかくホーム開幕戦に足を運ぶ多くのサポのためにも……そしてプレビュー泣かせのとんでも展開になる可能性も高くなるので……ひとまず良いスタジアムのコンディションで試合を迎えられることを切に願っています。
石丸監督や藤田・藤嶋のような山雅に馴染みの深い選手にこれまでとは違う山雅の姿を見せ、聖地アルウィンで今季初勝利を掴み取りましょう!!!
END
(画像は松本山雅公式より)