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反町山雅はvsツエーゲン金沢でなぜあんなにも相性が良かったのか考察してみる

■まずは過去の対戦成績

<J参入以降>6試合21得点2失点 
2018/10/14 J2 第37節 A 
○ 2 - 0 前田大  藤田  
2018/05/12 J2 第14節 H 
○ 5 - 0 岩上 セルジーニョ 岡本  セルジーニョ 石原  
2017/07/29 J2 第25節 H 
○ 4 - 0 安川 石原  高崎  山本大 
2017/05/28 J2 第16節 A 
○ 4 - 0 石原  工藤  岩間  高崎  
2016/07/10 J2 第22節 H  
○ 4 - 2 工藤  高崎  岩間  石原(熊谷 メンデス)
2016/05/29 J2 第15節 A  
○ 2 - 0 工藤  山本 大

<天皇杯>1試合2得点1失点
 
2015/09/05 天皇杯 2回戦 H
○ 2 - 1 飯田  オビナ (作田)

<J参入以前>4試合6得点2失点

2011/11/23 JFL 前期 第6節 A  
○ 2 - 1 木島徹 木島良 (古部) 
2011/11/13 JFL 後期 第15節 H 
○ 2 - 0 木島徹 船山 
2010/09/26 JFL 後期 第9節 H  
○ 1 - 0 木島徹 
2010/04/11 JFL 前期 第5節 A  
△ 1 - 1 木島徹 (斉藤雄)

こちらで確認できた全試合では11試合10勝1分け 29得点5失点。(間違いあったらすいません……笑)

■相性という言葉に賛否はあれど…

相性という言葉自体、賛否両論あって何が要因でそうなっているのかということがはっきりしていないことが多いので「そんなものは信じない」という人が多いと思うが、実力差はそこまでないのにここまではっきりと結果に出ているケースはJでも…下手したら世界でもレアではないかと思われる。

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反町監督と柳下監督のサッカーの相性が最悪(最高?)というのはやはり大きな要因なのかもしれないがもはやそういう話でもないレベルとなっている。

■得点シーンから傾向を探る

そこで今回は得点シーンからその相性の良さはどのような要因から来るのかを探ってみようと思う。

<2016年>

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森下体制5年目。現監督の柳下監督体制ではないので厳密には参考になるか微妙なところだが、攻守にアグレッシブで442でベースを貫くというスタイルは柳下監督にも共通するところで反町監督からすると一度パターンを見つければ好きにできるタイプのように感じる。

前半戦 2-0
1点目、田中隼からのクロスを高崎が落とし、工藤が一人交わしたところで足を振りぬきゲット。
2点目、山本が左サイドを突破し、角度のないところから強烈なシュートを放ち、ゴールの逆隅へ。

後半戦 4-2
1点目、左からのFKを相手にクリアされるもこれが工藤に当たり、そのまま振り向きざまにゴール。
2点目、中央を突破した石原が追い越す動きをしていた右の高崎にパスし、そのままニアを打ち抜く。
3点目、右の後藤のクロスを石原(?)がトラップ、オフサイドラインぎりぎりの岩間に丁寧に転がし、そのままキーパーの逆を突き、ゴール。
4点目、石原が中央をぶっちぎり二人を交わし、ゴール。

<2017年>

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ここから現・柳下監督体制に。無失点の記録もここから始まる。ちなみにGKも白井になったのもこの年から。中美もエース級の活躍をする。

前半戦 4-0
1点目、右サイドを突破した工藤がペナ角あたりに侵入。引き付けたところで中央の石原にパスし、豪快に振りぬきゲット。
2点目、隼磨からダイナゴナルな動きで右サイドに走りこんできた石原に縦パス、そこから鋭いクロスを入れ、高崎がスルーしたところで工藤が丁寧に流し込む。
3点目、左サイドからの横パスを岩間がスルー、その先にいた工藤が裏を抜けていく岩間にパスを通し、GKを引き付けたところで脇を抜きゴールに流し込む。
4点目、左を単独突破した山本大がニアに強めのボールを入れ、ピンポイントで高崎がこれをうまく合わせてゴール。

後半戦 4-0
1点目、中央・高崎がタメを作り、右の石原にパス。石原が鋭いクロスをいれ、なぜかGKの前に走りこんでいた逆WB安川がうまく入り込み、ゴールに流し込む。
2点目、隼磨から右サイドに走りこんできた石原にパス、クロスはスライディングにより阻まれるもこれを拾った石原がそのままPAを攻略し、ゴール。
3点目、CB作田が高崎を引っ張り倒し、PK
4点目、ペナ角あたりでトラップした山本大が相手と交錯し、PK(これは相手からしたらかなり不運…)

<2018年>

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柳下体制2年目。シーズン14勝、勝点55、得点52、得失点差+4はいずれもJ2昇格後最多となった他、シーズン14勝中アウェイ9勝など数々のクラブ新記録を更新したそう。

前半戦 5-0
1点目、中央・高崎から駆け上がってきた岩上へパス、そこからのクロスが相手の宮崎に当たり、そのままGKの頭上を越えてゴールに吸い込まれる。
2点目、右・岩上からのクロスは一度は相手にクリアされるもこれを拾った(石原から横取りした)セルジが巻いたシュートをゴール右ポストに当て、絶妙なゴール。
3点目、CKからのクリアを岩間が再びゴール前に入れ、高崎が混戦の中からヒールで岡本につなぎ、振り向きざまにゲット。
4点目、右サイドを突破した前田大のシュートが相手に当たり、PKをセルジが決める
5点目、左サイドにいたセルジから中央・岩間へ。3人目の動きで裏へ飛び出していた石原へのパスは相手に当たるもそのままつながり、ゴールに。(多分、これはほとんどの審判はオフサイド判定にする笑)

後半戦 2-0
1点目、今井からのフィードを高崎が胸トラップ→シュートを放ち、これはポストに跳ね返されるも前田大が押し込む
2点目、左隅を石原が崩し、3人を引き付けたところで右サイドに走りこんでいた藤田にパスを出し、豪快にシュートを決める

■ハイライトをまとめて見て思うのは…

J2での対戦を一気に見たが、いくつか傾向が見えてくる。

少し反町山雅の得点源の多くはセットプレーだが、金沢戦に関しては21得点にも関わらず、CK・FKで一発で決まったことはない(CBの得点もない)。

さらに多くの得点にシャドーが関わっているのも分かる。1トップ2シャドーでは当たり前という気もするが、シンプルに直線的にゴールに向かう形が多い山雅においてこれだけシャドーが得点に絡めているのはできすぎている。
パワープレイではなく、圧倒的にシャドーの技術・スピードが得点に直結していると言っていい(18年は石原は左WBだが)

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そして、これは反町監督の"ヤンツー対策"の一つだが中央の選手がSBの裏にダイナゴナルに抜けだす形が多い。2017年は隼磨→抜けてきた石原→クロスorドリブルからの得点が2つも決まっている。

■今年はどう攻略する!?

4231の2シャドーを捕まえ切れていないのが最大の要因となっていたが、今年の442では話が変わってくるのか?と言われるとそうでもないと考える。

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間受けがうまくて細かいスペースで相手を剥がすのが得意な工藤・石原の後を受け継ぐ、杉本太郎・セルジーニョあたりの選手のプレーはシャドーの時とさほど大差はない。むしろ、セルジはより自由に動けるので引き続き天敵となるだろう。(アルヴァロ・久保田あたりにも期待したい)

逆に避けなければならないのは「442を崩さないこと」。反町監督時代は他の試合以上にシャドーがサイドに流れ、できた時間でボランチも前線に顔を出すシーンが多かった。(藤田のミドルが決まったのも象徴的)。
シャドーが相手を複数引き付ける間に塚川や藤田も積極的に顔を出すとマンツーマンのチームは混乱する。

■反町時代から学ぶ3つのポイント

1.2列目のシャドータイプの選手がハーフスペースとサイド(※)を行き来する
上記の通り、キーとなるのは間受けが得意なタイプの選手。山雅対金沢はここからチャンスが生まれることが多い。誰かが抜かれると一気に崩れやすいのがマンツーマンDFの特徴なのでシャドーに勝負させる。

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2.狙うのはサイドバックの裏
金沢のサイドバックは代々、攻撃的でアグレッシブな選手が揃っており、沼田、石田、毛利、下川とJ2でも屈指の選手が務めてきた。下川が契約の関係で出れないのでどういう組み合わせで来るかは不明だが、恐らく求められるタスクは同じ。引いてくるのではなく前に前にボールを取るに来るはずなのでスペースはあるだろう。

3.縦に急がない。横断するプレーも有効
山雅の得意とする縦に早い攻撃は常に意識するが、先ほども書いたように横を広く使った攻撃が得点につながっている。
現に金沢のマンツーマンDFに対しては横断するプレーは有効。縦の動きに比べ、横の動きはマークの受け渡しの判断が非常に難しい。

<分かりやすい>

金沢山雅2

<誰が行くか難しい>

山雅金沢

2018年後半戦の石原→藤田の得点がこの形に近い。自分のゾーンが決まっているわけではないので"カバー位置"や"誰が行くか"などはその場での判断になるケースが多い。ゴールに向かっていればカバーに行かなければならないが、横断してるプレイヤーに対して「マークを捨ててまで行くかどうか」はさらに判断が難しくなるのでボールウォッチャーになってしまう。

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相性といえば相性なのかもしれないが、それなりに山雅が金沢に圧勝していた理由(戦術)はそれなりにある。"新しい山雅"らしさは大事にしながらしっかりとした「対金沢対策」を披露してほしい。

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