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山雅の今夏の移籍問題がややこしすぎる件

生き残りを賭けた勝負の移籍期間が始まる

移籍ウィンドーの解放が間近になり、各陣営移籍の噂・希望・妄想が活発になっている。昨年はコロナの関係(降格無し・金銭面)で比較的動きは多くはなかったが、今年はまず明らかに初動が早い。

中にはかなり一か八かに見えるオファーを飛ばして、意外とすんなり合意orお断りのようなニュースもすでに表に出てきているので、見えていないところではさらに多くの話が飛び交っているのは確実。阿鼻叫喚、ある意味Jリーグサポが最も騒がしくなる時期の1つでもある。

そして、山雅もそれは例外ではない。前田前田なんて浮かれていたら……な時もあれば、韓国の代表選手がやってきた時もあった。プラスもマイナスもある。

大量保有、成績低迷、システム変更……すでに夏の移籍が起こりやすい条件は揃っているが、それに加えて最大の移籍誘発トピックスが”6月末の監督交代”。監督に責任を負わせることになった&残留争いのチームを任せた以上、動かないわけにはいかない。

ということで、SNS上でもすでに多くの人が議論しているとは思うが……今回は急遽移籍についてのあれこれを1度整理・まとめてみたいと思う。

(具体的な話はまた他の方とコラボして何かやるみたいな話になっているのでまた次の機会に……)

■補強の可能性を広げる指揮官を招聘

サポーターなど周囲が考えているほど松本山雅は選手からの人気が高くないことを認識してもらいたい

突然だが、かつての指揮官がこのような発言をしたことはサポーター、そしてJリーグファンの間では有名な話。監督から補強・編成に関してここまではっきりとマイナスの発言がされることは珍しい(そんな常識は通用しない方だったのはあるが……笑)
だが、この発言をした張本人の功績もあり、そこから4、5年、その頃より多少は松本山雅のブランド力は上がっている。ただ、積み上げた期間が短いクラブで相応の成績がついてこなければ再び苦戦が強いられるのもまた現実。それがまさに今年。夏の移籍市場も「どれだけ(戦力的な)マイナス収支を抑えるか」が最大の焦点になりかけていた。

だが、名波監督の就任により、風向きを変えるチャンスがやってくる。
日本サッカー界のビックネームを招聘できたことでクラブにまた違った魅力が生まれたのは、磐田時代の功績を見ても間違いないではないだろう(もちろん柴田監督・西ヶ谷コーチが去ったマイナスもある)。

さらに監督として求心力はあるが、監督としての実績・力量はまだまだこれから(=戦力が必要)という立ち位置を考えると”(良くも悪くも)最も補強の可能性が広がる”タイプの指揮官を招き入れたことになるのではないか。

降格圏に片足突っ込んでいるチーム事情もあり、本来であれば”INに期待したい(力を入れなければいけない)補強期間”と言っていい。

■ややこしすぎる今夏の放出事情

・出す方から考えるべき理由

……ただややこしすぎる山雅の編成事情がその弊害になる。

結論から言うと、山雅がこの移籍期間に動くにはまずOUTから考えていかなければならない"大前提"が足を引っ張っている。枠については表に出ていない、確実性のない部分が多いのでここでは最小限に抑えるが、保有数はスタート時点で”35”でリーグ最多。余剰戦力の放出(貸出)、スリム化は必須と言われてきた。

<3バック時のポジション配置⇩>

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誰かを放出・貸出することになると、自分も文句を言いたくなる(というか多分言う)が、それはあくまでシーズン前の編成時への話。こうなった以上、現実的には”(主力であっても)数名を出して枠を空ける”or”スリム化のためのレンタルのみで補強はしない”の2択を選ばないといけない可能性は極めて高い。

残留のために驚きのOUTが行われても不思議ではない。

・大量保有・野戦病院のジレンマ

ただ、とりあえず選手を出してスリム化・枠空けをしていけばいいのか?というとそんなにシンプルな話でもないのが今の状況。

考察・妄想をする多くのサポーターを悩ませるのが「怪我人の存在」
言うまでもなく、怪我人は基本出せない("山口一真の山雅加入"のように強い希望を持った貰い手がいれば別だが……)。となると動けるメンバーから誰かを放出しなければならない。

"放出候補だったが怪我をしたため移籍は白紙になる"パターンならまだ良いにしても、極端な話、"名波体制で構想に入っていたにも関わらず、元気だったが故に放出候補になる"パターンも考えられる。

怪我人の数だけではなく、復帰時期がいつ頃になるかも絡んでくるのでなかなか考察者泣かせの状況になっている。

・一番平和的な放出とは

ならばサポにとっても平和的、円満な放出はあるのか?

(怪我問題・ポジションのバランスを抜きにして)チームの今後を考えると、ある程度プロの世界でやれることをアピールできた1年目の宮部・野々村・横山、2年目の村越・山田、3年目の榎本あたりの若手は経験を積ませるためにレンタルというのは最も平和的で円満な手段である。選手側もクラブ側も、そしてサポ目線でもそれほど悪い印象はなく放出(貸出)ができるだろう。

十分戦力になれそうな選手もいるので慎重に考えなければいけないが、実際に経験を積ませるために若手選手を放出するのは考えられる。
ただし、ネックなのは(枠の関係で)加入のための放出」にはならないこと。あくまでスリム化のためになる。

・移籍先問題が地味に深刻

となると、"加入のため"には今挙げた選手以外から放出を考える必要がある……が、ここで移籍先問題である。売り込むことはあるにしても最終的に相手側が承諾しなければ移籍は成立しない。

では、移籍先を考えていく。

放出相手を考える時に一般的に"放出先"となるのは『下のカテゴリー』か『同カテゴリ―の下の順位のチーム』が多い。

だが、山雅の場合はどうなるか。
今山雅の保有している選手の多くは"J2で結果を残して山雅に引き抜かれた"or"J2で結果を残してJ1経由でやってきた選手"がほとんど。中には今オフに他のJ1チームからも声がかかったような選手もいる。もちろん『勝ち点84での昇格を目指してやってきた選手』たちだ。山雅を出てJ3もしくはJ2の他の降格圏チームで戦うメリット、モチベーションはほぼないと言っていい。
つまりは放出するにしてもよっぽど魅力的なオファーでなければ『下のカテゴリー』『同カテゴリ―の下の順位のチーム』へは行きたくないのは本音だろう。

そして、山雅目線で見てもどうか。
今現在、山雅の順位は16位。下には6チームしかいない。一番恐れている残留争いに巻き込まれる危険は増え、下手をすると自分たちの首を絞める事になる。これは『(今現在)少し上の順位にいるチーム』でも同様である。となると残留争いという観点からすると同カテで貸し出せるチームはかなり限られる。

もちろん『上位』『上のカテゴリー』の場合、今季の成績だと送り出すのもそう簡単にはいけない。ターゲットは今の主力選手や主力だった選手がメインになる、俗に言う「引き抜き」的な移籍になるはずだ。

できれば「(山雅が)放出優先度の高い選手を出し、主力の選手は出したくない」というのが本音ではあるが、引き抜きのオファーがあればそのまま出してしまうというのが一番実現のハードルは低い。

つまり、山雅の希望通りの放出はよっぽどの「選手の希望」or「相手側の希望」がなければ実現できないかもしれない。補強のために「リスクを抱えてでも出す」という選択もある。いずれにしろ、一筋縄ではいかないはずだ。

これまでの山雅とは違って、加入選手はある程度目処はついているが、放出(貸出)選手と移籍先が決まらず、契約ができないor先に取られるなどもたついてしまう可能性はそれなりにあり、他のチームの狙いどころにもされやすい状況になっている。

■補強ポイントもややこしいことに

・3つ+αに分かれる補強希望

さて、ようやく加入の話にうつる。
具体的な話は先ほども話した通り、中断期間に他のレビュワーの人達とやるかもしれないので避けるが、補強選手についても非常にややこしいという話をしていこうと思う。

なぜややこしいのか?"補強ポイント"を定める前に"補強の目的"がサポ内でも分かれているように思う。勝手に整理させてもらうと大きく3つくらいに分類できた。

①編成上不足している部分を補う補強
②怪我人の穴を埋める補強
③名波監督のサッカーを実現させる補強

これに加えて、今はまだ議論できないので割愛するが、主力級の選手が抜かれる場合は『④移籍した選手の穴を埋める補強』が加わりそう。

①編成上不足している部分を補う補強

当初の442から3421・352にシステムを変更したことで不足しているポジション。

・「常田不調時の左CB」
・「ラインブレイカータイプのアタッカー」
・「前線との繋ぎ役(水運び役的な)」

編成上はこのあたりが少し心許ない気がする。

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(※同じ図です)

怪我人の穴を埋める補強

これは情報が不確定だったり、どこまで出していいのか分からない部分があるので何とも言えないところだが、前半戦を振り返ると

・「統率力のある&空中戦の強いCB」
・「運動量豊富で刈れるタイプのボランチ」
・「本職の右WB」

このあたりは怪我orコンディション不調によって不足することが多かった。

名波監督のサッカーを実現させる補強

そもそもこの補強を望んでいるか否かは妄想になるが、名波磐田時代から好みの傾向、必要になってきそうなポジションの議論は多く行われている。

・「経験豊富なCB」
・「個の力で違いを出せる前線の選手」
・「司令塔タイプの中盤の選手」

今いる選手で全く補えないとは言えないが、いずれも今の山雅に欠けているorもう少し時間がかかりそうなタイプの選手であり、磐田時代にはこのタイプの選手たちは重宝されてきた。

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このあたりを分類・整理することによって補強ポイントの議論、そして実際に加入が実現した時の狙いも分かりやすくなるかもしれない。

■第2ウィンドーは7月16日から

さて、もうかなり具体的な移籍の話は出ているが、本番となる移籍第2ウィンドーは2021年7月16日(金)~8月13日(金)

「もうとっくに話を進めて新たな編成を固めるチーム」もあれば、「ギリギリまで粘ってぶっつけのような形で新加入選手を出すチーム」もある。
具体的に前者は栃木や相模原、愛媛あたり。もう複数名の加入が発表されており、育成型の選手はもうすでに試合に出ている。ただ山雅は伸びしろを期待しての補強よりも即戦力、それを抜きにしても後者の立場になるのではないかと予想している(もうすでに後者感はあるが……)。

残り物には福があると言いたいところだが、それはほぼ棚ぼたを期待する状態。この移籍期間に動く選手の総数はある程度は限られており、少しでも早くチームにフィットさせたいことを考えると早く話は進めたい。

ポジティブに考えるならば……まだ予想・妄想で自由に遊べる。
あーだこーだ言いながらJリーグを、そして山雅を楽しんでいこう。

END


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