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J2ライバルチームを考える〜優勝候補3チーム〜

『敵を知り己を知れば百戦殆からず』

敵の実力や現状をしっかりと把握し、自分自身のことをよくわきまえて戦えば何度戦っても勝つことができるというもの。

そんな古来からの故事に倣って……(まあ、有料メディアの情報をかき集めすぎていて無料であれこれ提示するのが気が引けるためなのだが)山雅だけではなく、いくらかあーだこーだ気楽に書ける各チームの動向や展望を3チームずつ書いていきたいと思う。

今回はトップグループから個人的に優勝候補にあげたい3チームについて。

■京都サンガ

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◆監督:實好礼忠→曹貴裁

パワハラ騒動でJから離れていたキジェ監督を新監督に抜擢。賛否はあったが実績や若手を見出す才能には定評があり、新たな風を吹かせそうな予感は早くも感じる。去年チームを率いた實好元監督、岡山で上々の結果を残した長澤徹コーチをその元に添えており、磐石の体制になっている。

◆主なIN:武富、松田天、白井、武田など

湘南関連の"キジェチル"を中心に大型補強を敢行。監督だけではなく、山道 守彦強化部長の浦和や長澤コーチのFC東京のコネを感じさせるオフとなった。トップ昇格した年代別代表・中野桂太への期待もかかる。

◆主なOUT:安藤、仙頭、上夷、金久保、石櫃など

レギュラー級も多く抜けたがそれを補うだけの補強は出来ている印象。元からサイクルが早いチームではあるがチームを支えてきたベテランが抜けたのがどう響くか。戦力的には後ろがやや戦力ダウン、既存戦力に加えてFC東京からの木村や正式加入となった長井が成長できるか。

◆ブレイク候補:上月壮一郎

キャンプでも好調の20歳。白井、武富、曽根田などポジションを争うライバルもJ2では充実してるのでまずはスタメン争いが熾烈。433でようやく本領発揮できそう。

◆勝手に予想布陣

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◆今年の展望

新監督、新スタイルで優勝候補には少しあげにくい要素もあるものの……湘南スタイルの中心になっていた選手の補強、選手の自主性を重んじるタイプだった實好監督からの引き継ぎを考えるとその不安要素も大きくはない。

さらにキジェ監督自身、過去監督就任1年目でのJ1昇格と2度のJ2優勝経験がある。あの頃の湘南よりも京都は戦力的に充実感はあるので1年目から上位にあげる人が多いのも納得といえる。

不安要素をあげるならば"湘南時代からチーム全体の運動量と素早い切り替えを求めていた監督のスタイル"と"ウタカ、バイスとアンタッチャブルになりうるJ2最強クラスの外国人"との融合がスムーズにいくかどうかになってくるか(TMでは問題なさそうだが……)

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■Vファーレン長崎

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◆監督:手倉森誠→吉田孝行

J2最高額の監督である手倉森監督が退任し、後任にどんなビックネームを連れてくるか注目を浴びたが、神戸の途中就任請負人としても有名な吉田監督が就任。実績では落ちる(というかJ2に手倉森監督以上はそういない)が、昨年あと一歩の3位だったサッカーを継続しつつ、よりやりたいことを集約したようなスタイルになりそう。

◆主なIN:都倉、新里亮、山崎亮、鍬先など

エジガル、カイオセザール、加藤大らの完全移籍移行に力を入れた印象。しかし、セレッソから都倉を獲得したのは明確なプラス。DF新里も入れ替えのあったDF陣の穴埋めが期待される。

◆主なOUT:氣田、角田、畑、島田など

退任した手倉森監督に氣田を持っていかれたのは今オフ唯一の穴。昨季怪我がちだった澤田や新加入の山崎らがどれだけフル稼働できるか。

◆ブレイク候補:米田隼也

去年プチブレイクした名倉、SBの鹿山、江川など楽しみな若手は多い。その中でも今年飛躍しなければならない、もっとやれそうな選手。長崎自体、SBが怪我で足りなくなることが多かったが、この肝のポジションに人手不足が起こって島かったのは昇格失敗に響いた。攻撃面では1人で打開する力を持っているので定着しだしたら面白い存在になるかも。

◆勝手に予想布陣

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◆今年の展望

この3チームに共通するポイントだが、他チームの外国人が遅れを取る中でエジガル・ルアン・カイオセザール・フレイレと反則級の外国人をスタートから稼働させられるのは大きなアドバンテージ。仮に彼らが欠けても秋野や都倉、玉田などがその分中心になって戦えるスカッドは組めている。

戦術面では徳島・福岡が昇格したことで文句なしのJ2最強のボランチコンビになった秋野・カイオがGK含めた後ろから攻撃を組み立て、SB毎熊らがどれだけ高い位置を取って攻撃をやり切れるかが戦術面でのポイントになってくる。対戦チームはビルドアップのところで潰すのかあえて引き込んでサイドの裏を狙いに行くのか、得意のパターンは掴まれているのでそれに対しての各チームとの攻防には注目したい。

不安要素は昨年あと1歩のところまで行ったチームを今年超えるのが意外と難しい点。山雅も16年→17年で経験したことだが、前年好成績を残したチームの弄り方を間違えると前年保っていた絶妙なバランスが崩れ、成績が思うようについてこないということはよくある。手倉森監督が積み上げたものを踏襲しつつ、越えられるチームを作らなければ数字上昇格は厳しい。

また手倉森監督がもし残留するば補強するつもりだったというGKも手付かずのままになっている。

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■モンテディオ山形

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◆監督:石丸清隆

昨年は不穏なスタートを切りながらもシステム変更などで見事立て直しに成功。エース・山岸を抜かれながらもチーム力をそれほど落とすことなく、後半戦のみの勝ち点だと徳島福岡山形に次ぐ4位に(山雅は5位)つけたことで評価を高める。

しかし、監督自身なぜか山雅を苦手としているところがあり、昨季も不調の山雅からダブルをくらうことに。山雅が本気で昇格を目指す場合、昨季のこの6ポイントが今年どう動くか?はお互いにとって非常に大きい。

◆主なOUT:中村駿、 渡邊凌、大槻、三鬼、本田拓など

4年在籍した中村駿や新潟では出番のなかった渡邊ら、育てた選手がJ1からの引き抜きに。しかし、そこにもそれ以上の実績の選手を加える大型補強をしているので穴はあまり感じない。ヴィニシウスを早めに確保できたのは大きかった。

◆主なIN:國分、藤田息、堀米、山崎浩、ビクトルなど

GKから前線まで早い時期から積極補強。周りのチームと同じで経営的にも厳しかったオフのはずだが、J3で結果を残した林や中原輝、狙いやすい状況にあった藤田、ビクトルなど賢く大型補強を実現した印象を受ける。ただ山岸や大槻の抜けたFW陣には奮起が必要かもしれない。

◆ブレイク候補:中原輝

J3では攻撃・パス・ドリブル・パスレシーブと複数の数値で1位を獲得するなど絶大な存在感を示す(football labより)。それほどスピードは早くないため、相手をぶっちぎるようなドリブルというよりは吸い付くようなタッチでスルスルと抜いていったり、味方とのパス&ゴーを使いながら突破するのがうまい。同じくレフティでドリブルもうまい堀米の存在がどちらに作用するか。

◆勝手に予想布陣

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◆今年の展望

後半戦の戦いを見て山雅を昇格候補に置くならば、その前にあげておかなければならないチームである。石丸監督が継続し、前半戦から安定したスタートが切れることが予想される。

チーム編成を見てみると、昨年は負傷で多くの試合不在だったDFリーダー・栗山、愛媛の中心だった山崎、J2での実績があるビクトルが加わるDFラインはリーグ6位の失点42からさらに改善される可能性は高い。中村駿らが抜けた中盤の構成も國分、藤田、岡崎、そして山田康も可能なので様々な組み合わせが考えられる。

そして、優勝候補として挙げる際に左右するポイントになりそうなのが上にも書いたFW。ヴィニシウスという得点王を狙えるクラスの外国人を擁している一方、ここがうまくハマらない、怪我で欠けると一気に怪しくなってくる。FWの相方、代役候補として今治から加入した林、福岡からの木戸、札幌からの藤村、そして既存の中村孝あたりも含めて、力を発揮できるかどうかが優勝に関わってきそう。

個人的には石丸監督の下で山雅を満了になった藤田が躍動する姿は楽しみにしている。

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紹介するチーム数の関係で絞ったが、個人的な優勝候補はこの3チーム。ここに磐田・甲府を加えた5チームが優勝に近いトップグループだと思っている。

とはいえ、ただでさえ差が大きくないJ2で、降格チームがいない今年はさらに戦力的に拮抗。

山雅も十分優勝は狙える陣営だが、実際のところ"未知数"の部類。積み上げという観点からしても上記のチームには遅れをとるので、チームとして成熟して本調子が出せるであろう後半戦までに振り落とされないよう食らいつき、J2にサプライズを起こしたい。

END

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