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町田戦レビューやらなんやら

■久々のnote

久しぶりのnoteになります。
前置きは雑談のようなゆるゆるな感じなので飛ばしたい人は飛ばしていただけると……。

さて、しばらく離れておきながら中3日の町田戦後になぜ書き始めることにしたのか?

自分がもしも読者として考察するなら「もう後がないところに追い込まれたから」「比較的プラン通りのゲームメイクができたから」「ポジティブな面を拾いやすいから」なんて考えると思いますが、改めてその理由を考えてみると「金曜・土曜が時間が作りやすい(試合から感覚がおけずに書ける)から」というだけだったり。。。

何の話やねんという感じですが、今季のチームへの分析・考察もけっこうこんな感じです。起きた現象についてそれっぽい理由を並べてみたものの結局何でもないような要素が絡んでいたり、表現の仕方、発信のタイミングが気になったり……。負けてる時ほどそこは繊細で、複雑になっていくのは自然なことです。例えば金曜日にレビューをかけたはいいものの、今更上げるのはなんか違うぞとそのまま下書きに眠ってたりとか……表現が過激になってないか読み直したりとか……。こういう事態になって改めて考えさせられることが多いです。

もちろん自分の考えは現場の人間に比べれば浅はかなので、考えて、考えて、考えぬくことに苦しさはあります。ただそうすることで「もしかしたらこうなのかもしれない」とチームのやりたいことや抱える苦労や悩みに少しでも共感できるようになってきます。まあ、プロは苦労や悩みがあってもとにかくやるしかないのですが。

ただ、いくつかの可能性を考え、想像する事で、考えてる自分自身も意外とイライラよりも後押ししたい気持ちが強くなったり、勝負どころが見えてきたりします。あとは自分だけでは考えにも限界があるので、違う人の考えにも積極的にアンテナを立て、吸収したくなるのも大きいです。僕らサポーターも産みの苦しみを味わい、発信するのもこういう時やれることなのかなあと感じています。

自分のサッカーと直接は関係ないですが、最近だと「中途半端にレビューをあげるくらいなら考えを発信する機会を増やそう」や「よりライトな層にまで考えを伝えたい」という思いから最近は媒体をTwitterに移しがちだったのもあるはあります。ちょうどそんなときにnoteについての山雅サポの方の投稿をいくつか見て、noteの良さを再認識することができたりなんてこともありました。「あー自らnoteの可能性を否定してたんだなー」と気付かされ、ここでのインプット・アウトプットの大切さを改めて感じています。

脇道に逸れましたが、ピッチ外のことはこれくらいにして……本題に入ります。

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<勝手にチームMVP>

・MVP:榎本樹
→要求の強さからも自信が現れている。これまでの背景を考えても、"これまで経験にないほどゴールが取れてない"FW陣の中で唯一"今はゴールを取れる"という手応えとメンタリティを持ててるはず。ちょっとFWとしての振る舞いが伊藤翔に似てきた。

・次点:圍謙太朗
→榎本同様、大半のサポーターからプラスの評価を得そうなのがこの選手。ポジション上、パフォーマンスに波があるのが評価に大きく響いているが安定してる時は驚くようなセーブを見せる。

<戦評>

■狙いのはっきりしたスタメン選考

山雅は前節から4名変更。
伊藤・表原・小手川・星→山口・外山・佐藤・野々村。

伊藤を山口にしたことで機動力のある選手を前線に揃え、前半は前線がハードワーク&ロングカウンター狙いに。前節狙い撃ちされてしまった右サイドは下川・宮部コンビにして、左には外山。前節は評価が上がっている小手川が入っていたボランチもよりバランスを取れる佐藤和に。低いラインに設定することや右サイドを横ずれさせないやり方に合わせ、カバー範囲よりも中央でのタイトさを重視して野々村が起用された。

逆にベンチには榎本・伊藤・セルジという最もゴールを生んでいるユニットを合わせて準備させ、小手川や田中パウロという途中からリズムを生み出せる選手も控えていた。最悪、星への放り込みも視野に入れていたかもしれない。

スタートで阪野を組み込むという選択肢もあったかとは思うが、相手のCB・ボランチの性質上この選択になったことだろう(これは後述)。

対して、町田は4名変更。ドゥドゥ・アーリア・安井・深津(出場停止)→中島・吉尾・太田・森下。水曜日の試合は前線の主力は休ませており、この試合が本来のスタメンに近い。水本ではなく、森下を選んだところからも後ろから保持して試合を支配していこうという意志が伝わってきた。

■前半のプラン

先ほど書いたように前半は"機動力のある3枚"と"(今動ける中では)最も後ろを固められる面々"をスタートで起用してきた山雅。

前半の大きなテーマとしては「失点を抑える」「60分で相手が落ちてくるシチュエーションを作る」ということは試合前からも、監督コメントからもプランが見えていた。結果どうであったかについては突っ込まれそうなところではあるが、サッカーは偶発性が高いスポーツなので結果が出なかった=プランが間違っていたとは必ずしもならない。プランで上回っていたのに反則助っ人のゴラッソでやられてしまう、シュート数で圧倒しても1つのシュートでやられてしまう……なんてことはよくある話である。

ただ、結果負けた以上はプランの合理性を示すにはそれなりの理由がいるだろう。この試合の前半では4つのフェーズでこのテーマに即した狙いが見られた。

・町田戦の保持はロマンなのか

この試合では時折ゴールキックで繋いでいこうとしたり、安東が最終ラインまで下りて組み立てるシーンが見られた。もちろんこれで相手を崩せれば良いのだが、そうはいかないのはチームも織り込み済み。そして、繋ぐ=ポゼッションサッカー・パスサッカーが目的ではない。

名波監督も就任当初には「休む時は自分たちのポジションに就いてから保持しながら休む」ということを話していたのもその根拠の1つ(逆に先ほど書いたロマンあるサッカーを目指すような発言もしてない)。ただ、失点すると休んでいる心のゆとりや余裕がなくなることや元々山雅にその文化がないことで浸透してこなかった(当然、足元で崩す目的でもなかったとは思うが)。

この考え方は監督が突拍子もなく出してきたわけではなく、イニエスタなどスペイン系の選手がJリーグに来た時に課題として口にする「パウサ」という考え方に近いだろう。前でタメを作れるターゲット系の選手がいないチーム(スペインなどはまさにそう)ではよく行われるこのプレー。

「パウサ」とはスペイン語で“小休止”を意味する。サッカー用語ではゲームの中でプレーのリズムを落とし、適切な間を作ることnumberより)

これがないと自分たちの時間が作れない、ペースが一定で単調になってしまうことが多い。

現実的にはそれがうまく浸透していなかったのでこれまであまり触れてこなかったが、町田戦では主に安東によってこのパウサ(小休止)がもたらされたこともあってこの意識は比較的感じることができた。

町田の運動量を前半で削るためにプレスをかけさせ、逆に守備一辺倒になっていた自分たちが休む時間を作ること
ターゲットマンがいない中で裏へのロングボールに正確性を持たせること

町田のハイペース。特に守備面ではこのパウサ(小休止)がなければ町田に対してハイペース勝負が繰り返されていただろう。

まあ、そうはいってもできてないことをやらせようとするのはある意味「ロマンを追っている」という面もあるかもしれない。が、やはりこれまで山雅がやってきたことだけでは主に攻撃面で限界がある。長年研いできた槍に限界を感じて色んな武器に手を出している現状はあるので、再び槍で戦おうにも尖れていない状態。それならば槍を使うにも頭を使って工夫していく、違う武器も使いながら戦う必要があるというのが今のリアルだと思う。

・その他のフェーズ

他のフェーズはどうだったのか。
トラジション時は分かりやすく相手のCBの裏。町田の佐野高江の素早いプレスバックを警戒して、鈴木・山口は思い切って裏のスペースを狙い、CBとスピード勝負。最低でもコーナー。裏でロストしても再びセットして、ネガトラはここから始めるというのが基本形だった。
阪野も守備でのタスクやロングボールを収めることに関しては鈴木よりも秀でている面はあるが、"FWがセンターバックを背負って周りがフォローに行く形"ではなく、"2枚のFWで裏勝負をして攻撃を完結させること"を選択したものだと思われる。

一番やってはいけないのは佐野・高江のフィルターに引っかかって前線がセットできない状態で相手の攻撃を喰らってしまうこと。言ってしまえば2点目のような形である。

非保持時は基本的に後ろは5+2で固めて前3枚はハードワークでシステムのズレを埋めるというやり方。ハーフスペースで受ける選手はHVが潰すというやり方をしていたがここのズレを早々に突かれたことで中盤を厚くして対応する事を余儀なくされる。このあたりは対応力や経験がものを言うCB。若い選手達を使わざるをえない現状は本来目を瞑らないといけない部分もある。失敗を強い言葉で責め立てるべきではない。ただし、その分伸びしろがあるのが彼らの強み。なんとかこの経験を次につなげてほしいところだ。

■後半で2得点は狙い通り

・プランに沿った得点

後半は早々の失点が足を引っ張ることになったが、プランという意味ではまさしく前半からの狙いが実を結んだ。

後半開始から榎本・伊藤のセットで相手のCBに圧力をかける。
前半とは違い、直接FWにボールが入る機会が増え、相手を背負ってのプレーも多かったが、相手のプレスバック(主にボランチ)の動きが鈍ってきていたのでこちらも優位に試合を進めることができていた。

1点目は狙いの時間を超えた65分。直前の63分に投入された小手川が相手の中盤のマークを搔い潜り、フリーでボールを受けると縦にスルーパス。同じく交代で入った榎本がCBとの勝負を制してゴールをゲット。球離れの良さはチームの中でも長けたものがある小手川とノってる男・榎本の見事な関係、監督の采配が見事にハマった。

そして、榎本が叩き込んだ2点目も直前はセルジ・小手川と繋ぎ、下川から榎本へのロングボールを森下が処理を誤ったところから。このFK奪取もパス回しは単なる餌であり、狙いはFWとCB勝負という点で狙いは共有されていた。

なぜ前半からできないのか……確かにそう思ったプレーがなかったわけではなかったが、プラン的には後半の方が山雅側が力を発揮できるのも、町田の運動量が落ちるのも既定路線というのもある。

・まずは要所を抑えるところから

だが、プランニングが良かったとは言っても負けたのは事実。
残念だった点はやはり"耐えるべき時間に耐えることができない"という脆弱さだったか。

これまで散々言われてきた立ち上がり。何とか1点で抑えたHTの直後。ようやく1点を返して狼煙をあげた直後。全て10分以内にやられてしまっている。まずはここを5分、10分と守り切れる時間を伸ばすことでHTや給水タイムなど挟むことができ、大きな修正も施せるようになっていくのでまずはその5分、10分を耐えきるところから始めていきたい。

■運命の新潟戦

我ながら何度目の運命の決戦なのかという感じだが、それでもこの言葉を使わざるを得ない。
技術のあるGK・CBからボールを繋いでいき、敵陣に押し込んだ状態で保持・即時奪還を狙い、ゲームを支配するスタイルの新潟に対してどのようなサッカーを展開するか……。

町田戦のように"自陣に押し込まれるのはある程度許容して相手の裏のスペースを狙うサッカーを展開する"か、"対新潟で意外と主流になっている序盤に力を使って圧力を掛け、押し込ませない策に出る"か……。

キーとなるのは「榎本樹」という切り札をどこで切るか、榎本の3G1Aの全てで相方として出場している「伊藤翔」とセットで先発するor控えになることがあればメンバー選考の時点でその答えは出そう。

とにもかくにもやるしかない。
だいぶ前からもうこれからは信じるしかないと思っている。これは全肯定していきたいというわけではなく、力を最大限に出すには騙されたと思ってでも同じ方を向くのがベストということからだ。結果が出なくて信じきれないという気持ちになるのは自然なこと。ただせめて試合当日、試合中だけでも「今の山雅」を信じて、共に戦っていきたいと願う。

END




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