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すぐ読める千葉戦プレビュー~コンパクトに・したたかに~

苦しむ千葉相手にホームで祝杯を

2戦連続アウェイの次は2連続ホームで迎えることができる今節。
ここ3試合は3戦3分けで勝ち点3とそのまんま試合数=勝ち点ペースで進んでいる。(まだ試合数は少ないが)一般的に"自動昇格"の目安の勝ち点84には平均勝ち点2ペースが必要で、(今年の降格枠4の場合)平均勝ち点1は自動降格ペースとなるので、満足できる勝ち点ではないどころか危機的な勝ち点推移というのはデータとしてある。(ちなみに勝ち点1.5でPO圏ペース)

「まだ慌てる時間ではない」という声も聞こえてきそうだが、順調にシーズンを進めていくためにも"最低でもPO圏ペース"は保っていたいのが本音としてはある。この試合で勝つことはできれば4試合で勝ち点6、勝ち点1.5ペース=PO目安に乗せることができるため、試合数が増えて差が少しずつ出てくる前に、また84を目指すために「最低限」のペースには載せておきたい。

そんな今節の相手はジェフ千葉。甲府、愛媛、秋田を相手にして2分け1敗、2得点4失点の17位。堅守をウリにしていたチームが3試合連続失点中とスタートダッシュで苦しんでいる。特に前節は昇格組の秋田を相手に70%超えの保持を記録するもシュートまでが遠く、0-2で完敗。どちらが尹監督のチームなのだろうか?と分からなくなるようなスタッツを記録し、自分たちが得意としていたようなスタイルでやられてしまった。

その敗戦の後と会って追い込まれた犬はなんとやらという怖さもあるとはいえ、こちらもこれ以上勝ちなしは続けられない。背水の陣のつもりで次こそ多くのサポーターの前で結果を残したい。

<予想スタメン>

千葉スタメン

・松本

GKは好調の圍は鉄板。CBは篠原・常田の復帰で再び組みなおしをする可能性が出てきた。少なくとも得点面や後方からの組み立てを考えた場合はレフティー常田は左に入れておきたいところだが……前節篠原の試運転を優先させたことからこの並びを予想した。その場合、WBは安定したパフォーマンスを続ける2人になるのが順当か(ただし中盤の構成次第では前の場合も)。
中盤の3枚はベースとなる佐藤、前。そして前線との距離感はテコ入れを図りたいところなのでリンクマンとしての能力が高い河合を組み込んだ。平川や安東にも十分可能性はあり、WBと同じく前のポジション次第になってくるか。
2トップはFWで1、2のチョイスとなっている阪野と鈴木に。古巣戦となる戸島や442ブロックのギャップで受けることができる小手川が絡んでくると面白い。

・千葉

今季初の敗戦で傾向は変わってくる可能性もある。しかし、昨季山雅も苦しめられたベテラン新井・田口・川又らが怪我、期待の外国人サウダーニャも合流できていないなどテコ入れしようにもできないというのが現実か。手数の差では山雅に大きく分がある。

GKの鈴木椋、両SB、CB鈴木大、DH小島、CF大槻は3試合連続先発と信頼が厚く、引き続き先発予想に。開幕スタメンだった岡野の代わりに入っているチャンミンギュも固そう。前節は2点リードされているにも関わらず、攻撃的なサイドを変えようとしなかったところからSHも岩崎・福満・三木以外の選択肢に苦しんでいる感じは受ける。
となると、テコ入れしてきそうなのは戦術的にも合っていない2トップだが、こちらも実績と安定感があるのは前節先発の大槻・船山、選択肢は多くない。代わりの選択肢であるブワニカ・櫻川ソロモン(・岩崎)を入れて根本的な解決になるかと言われると微妙なところか。

<展望>

■山形戦を受けて…

・最適解を模索中、今節の答えは……

山形戦は京都戦のメンバーをほぼ継続。前と表原のポジションは逆にしてスタートさせるも結局それも元に戻すなど厳しい言い方にはなるが、京都戦の手応えにすがりすぎてしまった感がある。

ただ、最初のプレスはある程度ハマったものの、時間が経つにつれてその違いに苦しんだ。もちろん京都戦の組み合わせも選択肢の1つとして確立はされたが、今年の最適解というにはほど遠く、相手によってやり方を変えていく柔軟性は持っていきたいところ。

今の山雅の場合、「同じメンバーで戦術を変えていく」というよりは「人を変えることで戦術を変えていく」というやり方を取っているため、千葉戦もまたメンバーを変え、最適解を探っていく必要があるだろう。

特にテコ入れが必要なのは後半。ゲームプランだけではなく、ベンチの組み方・交代のタイミングは注目していきたい。

・ポジションのズレを利用して前節の再現を

前節の先制点はWB外山を起点としてIH前のランから相手の442を攻略。ただこのようなポジションのズレを使ってゴールに迫ったシーンはこのシーンのみ。2トップVS2CB、WBVSSBのように個の質で勝負しようとしているシーンが多い。

幸い今節の千葉は442の並びになるのがほぼ確実。ブロックを組んでくる相手をズラすのに使わない手はない。左はCBが高い位置を取るシーンも多いのでサイドで2VS2の形を作っておいて斜めの動きで3人目が意図的にズレを生んでいきたい。

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■対千葉にむけて…

・変革の千葉、変わった部分と変わらない部分

さて、ここからは相手にフォーカスした話。
堅守速攻の尹監督のもと、ハードワークと堅守速攻のスタイルに生まれ変わっていた千葉。しかし相手にボールを持たれすぎて攻めにパワーを使えないという問題を抱え、(去年の終盤からその傾向はあったが、)今年は本格的に自分たちでボールを握っていこうという姿勢が見て取れるようになった。実際にここ昨年は平均保持率46.6%の17位だったのが、ここ3試合の平均保持率は60.7%の1位。アンチポゼッションとまでは言わないまでも「守備を危険に晒してまで保持はしない」という姿勢だった尹監督からは考えられないほどのポゼッション率を記録している。

ただし、保持率というのは100を相手と取り合うデータなので相手との相関性が非常に強い
3戦の相手の保持率を見ると△甲府(14位)、△愛媛(20位)、●秋田(22位)なのは考慮が必要。秋田戦では後半2点ビハインドという点を取るしかない展開で、60分以降で支配率70%以上と圧倒的なポゼッションを誇るもシュート0本と明らかにこの「保持」で問題点を露点。持たされている面も大きい。
時間との推移を見ると、3試合いずれも保持率で大きく上回っていたにもかかわらず終盤押されてしまう、シュートまでいけないと相手を疲れさせるどころか、自分たちが「持ち疲れ」してるとすら感じられる試合が続いている。

一方、DFからのロングボールを多用する点や442ブロックの組み方など尹監督らしい変わらない点も。千葉側も勝てていない状況というのもあってなりふり構わずに勝ち点3を取りに来る可能性は高く、去年のように半ば強引にでも時間を稼いでくることも考えられる。この辺りもスタイルが変わっても変わらない点だろう。もし先制されて粘り強く守られるとなかなかに厄介な展開となるので、自分たちのやり方を押し付けるだけではなく相手の良さを消す努力はしていきたい。

・あえて持たせるのも勇気、コンパクトを保つ

ここで一旦山雅に目を移す。山雅も保持率だと41%の18位。言うまでもなく、保持はそれほどこだわっておらず、千葉の傾向からするとデータ上「やりにくい」部類の相手となる。

ただ、山雅の試合を振り返ると試合開始15分の保持率は比較的高いが、そこから徐々に失速し、終盤は特に相手に保持される。「持たせる」というよりはプレスが弱くなって「奪えずにいる」「繋げない」という印象が強いので保持を抑えたとしても押し込まれてしまってはこちらも苦しくなる。

そこを加味した上で……千葉の攻略のためには「相手にポゼッションをさせてでも90分間守備のコンパクトさを保ち、前進を阻止。ターゲットマンタイプではない大槻・船山らにロングボールを蹴らせたところで人数をかけて奪う」というのがベター。

もちろん指揮官の理想のように(?)90分走って、ハイプレスしてすぐに奪うというのも手ではあるが、相手も危険になったらすぐにロングボールを蹴ってくるので前に人数をかけると裏返されるリスクが増す。そうなってくるとFWは消耗し、これまでの試合のように終盤間延びするような展開になってしまうだろう。

ならばハイプレスを仕掛けつつ、体力を持たせるためにこちらが保持するというやり方もあるが、これはどちらかというと千葉の本来の強みがでやすくしてしまう方法。相手の苦手な保持をさせ、なおかつこちらも90分"高い位置で"コンパクトを保つためにも、あえて「持たせ」て、FWを守備で消耗させないことも勇気あるプランだと思う。

・スペースを埋める意識の強い44ブロック

ここまでは「試合を有利に進める」ための攻略法だったが、最後は「勝ち切る」ための攻略法。勝つためには点を取るしかない。

尹監督と言えばやはり強固な44ブロックが代名詞となってくるが今年もそれは健在。マンツーマンとは違い、相手の陣形が変わろうとも基本形は崩さず、中に侵入してきたところを奪ってロングカウンターというのは得意としているスタイルとなっている。

ただし、欠点としては442の紐づきが強すぎてスペースを埋める意識が強く、人に付けていないシーンが出てくることで今期は特に目立つ。秋田戦が顕著であったが、

1点目のように左サイドに侵入されたときにはブロックごと左にずれるのが原則としてあるため、右の大外が空きがちに。2点目はゴール前にDFの4が吸収されてしまったため、2列目の4も下げられてしまい、マイナスがドフリーになってしまった。

中勝負で無理やりこじ開けるのはシンプルでそれに越したことはないが、より再現性のある形を狙うのであればサイドを攻略したときの逆のWB侵入やマイナスの佐藤和のミドルが打てる状況を作りたい。

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プレビューは以上です。

「負けなしをポジティブに」と選手も(自分も)言ってきましたが、本当の意味でポジティブなものにできるかはその先に勝ちがあるか?負けがあるか?で大きく変わってくると思います。

まだまだチームとして最適解には程遠い感じもありますが、ひとまずはチームの完成よりも勝ち点3が欲しいのが恐らく多くのサポの本音……。勝ち点84、得点84への希望を残すためにもまずはそこではないでしょうか。

現地に駆けつける多くのサポーターのためにも、なかなか松本市に足を踏み入れられない県外民のためにも、そしてJ1昇格のためにもこの千葉戦でまずは大きな1勝を期待しましょう!

END

(画像は松本山雅・ジェフ千葉公式より、データはfootballlaboより)



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