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子どもの為なのか、子どもの所為なのか。

先日、子どもの発達相談の受診日だった。母親である自分のメンタルが揺らいでいる時は極力避けるようにするのだが、メンタルダウンは前もって分かるものではなく、ちょうど周期的なものも重なり、私自身がボロボロ状態で子どもの発達について相談することになった。
メンタルダウンしているとき、自分のどこに涙スイッチがあるか分からないものだ。子どものことを上手く話そうとしても頭が回らない。先生の話を聞きながら唇を噛み、泣くもんかと堪えたが、ふと気を緩めた瞬間に涙は溢れ出た。
子どもは周りのスタッフさんに連れられ、絵本や遊具で楽しく過ごしてくれたようだが、母親である私は貰ったティッシュを何枚も使い、溢れる涙を止めることは出来なかった。

子どもの為を思って受診しているはずなのに、自分の理想と自分に対する安心感が欲しくて受診したんじゃないかと、心の中でモヤモヤする。

子どもの話をゆっくり聞けていない自覚がある。夜もイライラして寝かせることに必死になる。優しい声かけよりも叱ることが多くて、子どもの口癖や仕草、話し方を見れば、自分の影響を受けているんだと痛感する瞬間がいくつもある。

子どもに対して「そんなこと言っちゃダメ」「どうしてそんな話し方をするの」と注意しながら自分を責める。
他でもない、自分が普段から子どもに対して見せている態度じゃないかと。
ゾッとする。自分の所為なんだと、自分に呆れる。

そもそも発達相談を受けようとした始まりは、寝付きの悪さだった。他にも気になることがあり、通院していたが、初めは寝付きが第一であった。
寝かせようとしても2時間以上掛かり、最終的には思いっきり叱って眠らせるだけの毎日。馬鹿らしい。自己嫌悪の毎日だった。
睡眠時間が確保できないことで、お互いに苛立ちもあるし、朝もスッキリしない。
睡眠薬があるならすぐにでも使いたい。
そんなことを毎日思って過ごしていた。

周りに相談しても返ってくる言葉は同じ。

『早く布団にはいること』
『お昼寝を短くすること』
『たくさん遊んで疲れさせる』
『寝る前に絵本を読む』
『添い寝してトントンする』

とっくの前から試したことばかり。
それでも寝ないから悩むのだが、相談した相手からは「寝かしつけが出来ていない」と思われて終わるだけ。

「普段は」「普通は」が頭に付くと余計に悲しくなり、ひっそりと泣いた。

ああ、やっぱり普通じゃないんだと思いたくなくても思わされる瞬間だった。

寝る。ただそれだけのことが出来ない。
寝る時間がずれ込んでも、朝は必ず起きなければならない時間があり、ぼーっとしたまま1日が始まる。それが分かっているのに上手く行かない毎日だった。

夜9時に眠る子の話を聞いているときは、辛かったし虚しかった。
早く子どもを寝かせて、そのあとでリフレッシュだとかリラックスだとか、母親が自由な時間を楽しんでいると聞いたからだ。その間、私はいつも薄暗く照明を落とした部屋で子どもと過ごしている。
なんだか悲しかった。世界で取り残されたような気分になるから。

発達相談で何度か状況を説明した。
幸いにも担当医は親身に寄り添い、良い方向になるようハンドリングしてくれた。漢方や小児用の薬を処方してくれた。

帰宅し、布団に入る時間の手前くらいで服薬する。
こんなとき、本当に自分勝手だとは思いながらも、薬の準備をする間に少し泣いた。メンタルダウンの影響もある。
無理矢理に眠らせるみたいで酷い母親だと思う気持ちと、少しでも早く寝てほしいという気持ち。
どちらも自分と子どものため、子どもと自分のため。
間違ったことじゃないのに、間違いなのかと思う。
それだけ自分自身に刷り込まれた固定観念や偏見があるということなんだろう。

服薬のタイミングが良かったのかは分からないが、寝かしつけというほど時間を割かなくとも眠りについてくれた。
これで少しでも沢山眠れたらいいのだが。寝顔を見て、安心と後悔と罪悪感が数秒ごとに切り替わる。

子育てに正解はないと言うけれど、
自分の選択が子の為になったのか、
自分を守っただけなのか。
いや、自分を守らねば子は守れない。
でも、自分が主体になりすぎてはいけない。
難しい。本当に。こんなことで悩むとは思いもしなかった。

そしていつも思うのは、ここでこんな悩んで考えて泣いて苦しんでも、なぜか
母親しか出てこないということ。
とあるアパレルブランドが販売を止めた商品デザインが話題になっていたが、あのデザインを見た時、正直いうと「欲しい」と思ってしまった。そっち側だった。
多数ある意見のうち、「逆だったらどうなんだ」とヒートアップしていたが、そんなことを考えられる冷静さを失っていた。思考が凝り固まっていた。恐ろしいことだ。
でも1つの事実ではある。

発達相談に行くのも、何を相談するのかまとめるのも、結果を聞いてこれから先のことを憂いたり悩むのも、毎回母親だったなと。

子どものために優しくありたい。
他人を攻撃し、自分を責め、子どもに悪い影響を与えたくはない。

感情はぐちゃぐちゃで苦しいが、
何を大事にするかくらいは揺らがずにいたい。

そう思う夜であった。

お気持ちだけでも嬉しいです。 サポート頂いた分は、主に書籍購入として使わせて頂きます。時折、メンタルケアにも。