ハニカムウォーカー 制作ノート(1)

これはレシピのように見せかけて書いていくポーズを取っていますが、自作について語りたい欲がどうしようもなくなって噴出しているだけなので、基本的には生暖かく見守ってください。
一度、Discordとかでネタバレチャンネル作ろうかとか、そのへんのウルトラキモいことを考えたんですが、誰も来ないとか、そんなん作らんでも普段から親しい人にはメッセで話しとるやんけ、という事態が容易に想像できたのでやめました。自制心ほんと大事。

ちなみに、このノートは最終的にはわたしが如何に即興でしか生きていなくて、未来の自分に向けたバトンをどうやって仕込んでいるかという話をして、やっぱ僕天才だな、マジでさ!という自褒めに終始する予定です。そういうの読みたくない人は帰れ。

そんなわけでネタバレ上等というか、ネタバレのことしか書かないので未読の方は回れ右してください。あるいは、ネタバレ読むんだから本編も読んでよねえ、というやつです。
ネタバレ回避のために有料にしました、とか言おうと思ったのだけど読まれないほうが悲しいので課金しなくても最後まで読めます。

前置き

これは「ハニカムウォーカー、また夜を往く」という、文字数的には長編作品に片足を突っ込んだわたしの小説についての与太話です。
いただいたアドバイスや感想によると、わたしの書いているこの作品の魅力は、一番は「度し難い女たち」のようです。二番目に「龍の国」という訳わかんない舞台。三番目くらいに、内容の破綻の少なさに比べてまったく計画性のない作者。
ここではその説明をしていきます。

キャラクター紹介


主人公であるメアリ・ハニカムウォーカーは、来歴不明の掃除屋で、頼まれれば殺しもやります。このあたり、彼女のロングトークの続く第一話「ルールとマナー」に詳しく載っていますが、まだその技術には底が見えません。
故郷ではアサシンギルドに所属していたようですが、あんまりにも自分ルールによって適当な仕事を繰り返してしまったせいもあり、今や追われる身です。
ただ、彼女はそれを気に病む風もなく、適度に友人もつくり、龍の国での暮らしを楽しんでいるようです。

彼女に襲われる(性的な意味ではなく)最初の犠牲者、グラスホーン・ジョンパトリックノーマンマクヘネシー。目が覚めたら、ぎっちり拘束されていて、ナイフを持ったハニカムウォーカーが「おはよう」なんて語り掛けてくる深夜帯。物語はここから始まります。
彼は龍の国に居住するエルフの文官ですが、ひょんなことから国の実力者、悪徳の純粋結晶たるリィン・スチュワートキャニオンスクラムキルグラスハートヨルスクリームに目を付けられてしまっています。「死ぬほど怖い目に遭わせてこい」というのが彼女の希望でした。ちなみに、エルフ族は家名が長いほうが偉いみたいです。

物語は彼女が彼をぎちぎちに拘束したところから始まります。

第一話「ルールとマナー」ネタバレ創作過程メモ

これの書き出し。
創作能力についてのマウントを取るつもりはまったくありませんが、ノープロット、ノー構想で書いてました。どのくらいまで脳を使わずに書いてるかっていうと、なろう版のここの部分。物語的にもターニングポイントになる「少年騎士」の話題が出るところまでは本当に成り行きで書いてます。

一応、ワンギミック、ラストシーンの「選ぶ指」についての趣味悪ジョークを書こうというところだけは決めてましたが、主人公が「ひどい女」なのか「そうでもない」のかも決めずに書き始めました。指についてのジョークを思いついちゃったので、こんな仕打ちを受けたら人はどんな顔になるんだろう、見てみたいな、というのが原動力です。
わたしは人の心を想像する力が乏しいので、その「ひどいジョーク」を受けた人がどうなるか、それはそこまで書いてみないとわかんないな、というのがスタートでした。

語りかけについては聞いてて気持ちいい、だけを優先してます。喋ってる内容は胡乱だったりしてますが、基本的には「龍の国」の情報開示、主人公の自己紹介を兼ねよう、というとこだけを考えて書いてます。この時点では縛り上げられているグラスホーンは容姿、設定、もっというとこのまま殺される可能性が高かったので名前すらちゃんと考えてません。このへんの無法が許されるの、小説ならではですよね。漫画だとこうはいかない。

ともあれ主人公は着々と自己開示をしていきますが、作者サイドとしては無計画に書き始めてしまったので、書きながら誰に頼まれたのかなとか、違和感があるのはなぜだろうとか、そういうのを必死で考え始めてます。書き始めるんだったらもう少し準備したほうがいい。
縛り上げた後に語りかけているので、少なくとも「殺す」のは主目的じゃないな、とか、そうなると「愉しみ」のためにあえて起こしたのかなとか、別の目的があるのかなとか、そのへんのことに対してフォローのように設定を盛りながらお喋りを続けていきます。僕の創作は主に、そうやって「変なとこ」を解決することで進んでいます。(だから話の進みがのろいともいう)

語りかけがあんまりフレンドリーすぎて、殺す気がないんじゃないかって期待を持ちそうだと思ったら躊躇なく暴力をふるう人物であることを見せ、でも拷問が趣味の破綻者を主人公に据えるのはあんまり気持ちよくないから、拷問するのは趣味じゃないって感じにしようとか、でも必要な時はやるひとじゃないと説得力ないよな、とか。ブランコのように情緒が右に行ったり左に行ったりしますね。
要は、キャラクターの紹介する傍ら、読者が疑問に思うことを解決したり、「嫌な感じ」を避けるように書いてました。基本的に自分が読みたいと思うことを書き足していく感じ。つまり、これは下書きナシの一発本番ということです。即興芸術ですね。

これを進めるコツは、「書いていないことは決まってないこと」というのをしっかり自分に徹底することです。
「決まっているけど書いてないこと」というのを自分の中に持っていると、そのアイデアは基本的に腐ります。
書きながら決めていくこと、あるいは「決まっていないこと」を「決めてないまま書いてしまうこと」。大丈夫、その始末は明日の自分がつけます。

振り返ってみると初期は毎日定時に更新しててエラいですが、基本的にはSNSとかやってる時間をそのまま、こちらの創作に充ててた記憶があります。単に時間があったからやってたという話ですね。

ともあれ書き続け、途中で悩むべき時間がやってきます。
個人的には、創作をするうえで重要な勘所というか、「今、ちゃんと考えないとダメよな」というポイントだった気がします。この、物語がダレるかどうかという分岐点のようなものが客観的に見えると、読んでいて退屈かどうかというのがコントロールできるような気がしますね。この場合のターニングポイントとしては、上の方でも書きましたがここの部分。

ここだけ、一日更新に間がありますね。そう。一日考えてました。レシピとしては、ここまでに書かれた情報を総合して、ピースに組み直す感じ。

彼女の語った、何気ない日常の、住んでいるアパートの話。
彼女をメアリさん、と呼ぶ、近所に住んでいる子供たちの話。
あまり仕事に対して真面目でなかった彼女のスタンスの話。
雇い主に対して忠実でないとしたら、彼女は別の意図をもって忍び込んできているはず。
ということは、宮廷で起きている何か、事件のはず。

このあたりの情報をもとに、実は「少年騎士」の話は無から生まれました。そのくらい決めてから書き始めろよ、という声が聞こえてきそうです。我ながらもそう思います。でも、逆に言うとこの無から生まれたファクターによってこの後の物語が割と「長くなる」ことに決まってしまったなあ、という瞬間でもありました。だって、なんも決めてなかったんだもん。

ちなみにこの後の展開については、彼女の目的がはっきりした瞬間、スイスイと決まりました。これまでのやり取りも含め、グラスホーンが悪い奴でないことが分かった時点で、本来の目的である「お嬢様から依頼された仕事」に強引に戻すだけです。この先の物語の行く末が決まったので、もう指のジョークはいいかなと思ったんですが、折角だし、変なところで義理堅いキャラクターというのも面白いかなと思って戻すことにしました。結果的に割としっかりした引きで終われたので、最初から用意したギミックがひとつふたつあるというのは、丸腰で始めるよりはいいことだなあ、などと思いました。
ちなみにその指のジョークの回収。ここへの導入が雑なのは、さすがに雑に戻した方が「見限った感」が強まるだろうという計算の元です。
本当は違うけど、そう言った方が読者が「ふーんなるほど」って思うだろうからそう言いうことにしてやったぜ!!

つづく


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