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あらすじ・要約・ポータルガイド(『ハニカムウォーカー、また夜を往く』)

これはファンタジーパルプ小説「ハニカムウォーカー、また夜を往く」の導入記事です!

ちょっと長くなってきたので、これまでを振り返るひとや、どんな話なのよと気になる人向けにあらすじを書きます。ネタバレやだよ、というかたは本文をどうぞ

物語の面白さの骨子は、それぞれに「理由」があって、自身を動かす「理由」に忠実に生きる登場人物を眺める心地よさかと思います。

この小説には物語のために、ストーリーラインを進めるために「都合のいいこと」をしてくれるキャラクターがほとんど居ません。あらすじもまあまあ大事ですが、基本的にこの小説の可食部分は「次に何するか予想つかないけど、その人がそうやって行動するのは、まあ、そうだろうなあ」を積み上げていく厄介な登場人物たちの姿かなと思います(今のところイカれた女の登場割合がめちゃくちゃ高い)。

主人公のメアリ・ハニカムウォーカーは龍の国に流れ着いた元暗殺者、現在も似たような仕事をしています。そんな彼女は、基本的には「起きた事態に対する論理的な対応」を取っています。
彼女が大事にするのは何よりも『マナー』、それも彼女の決めたマナーです。この人のいう『マナー』がなんとなくわかる人は面白い、合わない人は合わない、そんな小説かなと思います。

本文を公開しているし、わたしは作者なのでネタバレを一切恐れず行きますが、一応、これ読んでから本文読んでもそんなに面白さは損なわれないように書きます。
面白さの本質が「キャラクター」なのであればそういう風に書けるはず。はずだよなと祈って。

第一話 「ルールとマナー」

舞台は、伝説上の生き物である『龍』が君臨する龍の国。
「掃除屋」をしている元暗殺者、メアリ・ハニカムウォーカーは、ぎちぎちに縛り上げた可哀そうなエルフ、グラスホーン・パトリックノーマンマクヘネシーを拷問しようとしている。彼女は彼の周りを歩きながら、色々なことを喋る。守るべきルール、マナー、龍の国のへんな習慣、この拷問の依頼人、そして二週間前、宮廷で殺された少年騎士・ヴァレイのこと。
彼女はグラスホーン相手にひとしきり好き勝手に喋ったが、時間が来た。彼女は話を切り上げ、残酷な処刑を始めるのであった。

(ちなみにこの第一話はまるまる全部、ボイスドラマになってます。無料だしクオリティもハチャメチャにいいので、ぜひ通勤のお供とかに聴いてください!)

第二話 「緊張と弛緩」

ハニカムウォーカーがグラスホーンを拷問したのは、第一にはそれが「仕事」だったからだ。縄を解かれたグラスホーンは縛られている時に聞いた彼女のお喋りから「本当の目的」を見つけ出す。
少年騎士殺しの犯人を追うこと。
グラスホーンがハニカムウォーカーとともに宮廷に潜む謎を捜査するのを約束した瞬間、二人は王の警護を担うはずのロイヤルガードの襲撃を受ける。辛くもそれを撃退した二人だったが、どうしてこのタイミングで、誰がそれを差し向けたのか、何一つ謎は解けないまま、死体だけが一つ増えた。
そして二人は、ハニカムウォーカーは宮殿の外から、グラスホーンは宮殿の中から事件を調べることを約束するのであった。

第三話 「敵、敵の敵、敵の味方」

別行動をとる予定だったグラスホーンは数時間後、なぜだか龍の国の地下牢獄にいた。声をかけてきた隣室の囚人、初めて出会ったはずのソフィア・ウェステンラによって彼は再び拘束され、行きがかり上、脱獄の片棒を担がされた挙句、地下牢獄からどこかへ拉致されてしまう。
一方そのころ、ハニカムウォーカーは旧知のホビット、プラムプラム・フーリエッタの経営する酒場に来ていた。手掛かりである謎の小瓶と、襲撃してきたロイヤルガードの生首を検分したところ、首はロイヤルガードの一兵卒ではないことが分かった。それは宮廷会議の一員であり、有力な傭兵一族の嫡男であるゲッコーポイント・アンデレックのものだった。
考え込む二人を、今度は謎のダークエルフ、グレイ・グー・エッジハットが襲撃する。すぐに取り押さえられハニカムウォーカーとプラムプラムの手によって拷問にかけられる彼女だったが、狙いが何なのか、誰かに差し向けられたものなのかもはっきりしない。
隙をついて拘束から逃れたグレイ・グーとの再戦闘中、二人はゲッコーポイント・アンデレックの首の入った箱を持ち去られてしまったのであった。

第四話 「悪」

視点は龍の国の地下にある迷宮に変わる。
赤襟傭兵一族の客分である女騎士フランチェスカ・ピンストライプと、口の利けない探索者ラーフラ・ダンバーズは、シジマと名乗る旅の巡礼僧の護衛任務で地下礼拝所の強制捜索に突入していた。
中に潜んでいた男と人食いの猛獣ムル喰いを難なく無力化した三人だったが、サイコメトリー能力を持つラーフラを狙った罠にかかり、一転、窮地に陥る。
敵の正体は死体を自由に操る死霊術師であった。
ラーフラに続いて、その精神攻撃にフランチェスカが倒れ、残されたシジマが奮闘する。シジマは各地で死霊術師を殺して回る死霊術師の天敵だったが、今回は敵の方が一枚上手であった。
ラーフラは意識を取り戻し、倒れたフランチェスカと傷ついたシジマを守るため抵抗するが入念に準備された罠の前に力及ばず倒れた。
パーティーは全滅した。

第五話 「わたしたちは友達が少ない」

ハニカムウォーカーに巻き込まれたプラムプラムは夜更け、ひとりで旧友リィン・スチュワートキャニオンスクラムキルグラスハートヨルスクリームの屋敷を訪問していた。
ロイヤルガードに変装したゲッコを差し向けたのが誰なのか、グレイ・グーの襲撃にも関わっているのか、情報を聞き出すためだった。
リィンは、ハニカムウォーカーをグラスホーンの屋敷に差し向けた張本人でもあり、龍の国でも屈指の「陰謀に関わる者」であった。
リィンは、プラムプラムの酒場に納入しているリザードマンを、治安を乱した関係者として捕えるつもりであることを彼女に告げ、プラムプラムが一連の騒動に関わっているのではないかと疑っていることを明かした。ほどなくして、振舞われた酒に混ぜられた薬によってプラムプラムは昏倒する。
プラムプラムの護衛として潜んでいたハニカムウォーカーは、彼女の気絶を受けて姿を現し、リィンと対決して追いつめるが一歩及ばず倒れてしまうのであった。

第六話 「好奇心が猫だけを殺す」

リィンとの決闘に敗れ、気絶したハニカムウォーカーが目覚めたのは宮廷の地下牢獄だった。壁に大きく開いた荒っぽい裂け目。武装は解除されていたが拘束はされていない。
その牢獄の中で彼女は意外な人物と再会を果たす。お互いの事情を探りあう二人の話の途中で、ハニカムウォーカーを始末するために送り込まれたという刺客が二人を襲った。刺客が語ったのは、ハニカムウォーカーが「龍の敵」、国家に対しての討伐対象として指定されたという身に覚えのない驚きの情報だった。
その真偽も、誰が味方で誰が敵なのかも分からぬまま牢を出る二人。そんな二人の元へ、次に現れたのは旧知の用心棒ベティ・モーだった。様々な角度からいくつもの情報が更新されてゆく。当座の新しい目的が決まった。
モーと一行は、市街地に出たという「歩く死体」の元に向かう。

第七話 「鉄血」

女たち三人は、それぞれに事情を抱えながら宮廷を出る。
仇敵である少年騎士殺しの犯人と、消えたグラスホーンを追う者。
自己の記憶と連続性を疑いながら、大切な友人の「死体」を追う者。
表情に出ない激情を隠して、自分の結んだ契約を全うしようとする者。
三人は、酒場「左脚亭」へと足を踏み入れる。
酒場の中には、緩慢に蠢く死体が群がっていた。執拗にすがる死体を処理しながらハニカムウォーカーが辿り着いた最奥には、見立て殺人のような形で死に瀕した一人のエルフが残されていた。


現在連載中です。
適宜追加します。

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