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HAX Tokyo Batch 3 DemoDay レポート

HAX Tokyoは2021年5月13日にHAX Tokyo Batch 3のDemo Day(成果発表会)を、オンラインで実施しました。今回はBatch 3に参加したスタートアップのピッチやイベントの様子を一部抜粋して速報としてレポートします。

PRENO

PRENO(プレノ)は大型モニター付きのDX自動販売機を開発するスタートアップです。

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従来の自動販売機よりも付加価値の高い機能を備えた自動販売機を通じて、顧客は「接客を受ける」という心理的なハードルを回避し、事業者はスタッフを介さずに販売するソリューションを提供しています。

これまで自動販売機の対象ではなかった高価格帯商品の販売をメインとし、化粧品やジュエリーを都内の商業施設で販売。中には200万円弱の売上を記録した事例もありました。
「お店の敷居が高くて入りにくかったけど、これなら気軽に買える」といった消費者からのポジティブな感想も得られ、店員不在でも売上に貢献できることが証明された結果となりました。

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PRENOは今年7月から国内大手化粧品会社に自動販売機を納入するほか、ロボット接客に関する共同開発やD2Cブランドの立ち上げを予定。併せて資金調達を予定しており、事業会社やVCからのコンタクトを引き続き募集しています。

MU

MU(ミュー)は患者にかかる負担の少ない自走カプセル内視鏡を検査に使用することで、消化管がんの早期発見に貢献することを目指すスタートアップです。

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消化器がんで亡くなる患者は全世界で年間200万人を超えますが、ステージ1で治療すれば96%以上の患者が生存できます。そのためには検査回数を増やし、検査の精度を上げることが重要だと、MUの創業者で龍谷大学名誉教授の大塚尚武氏は指摘しています。

一方で内視鏡による検査は患者にかかる負担が大きく、既存のカプセル内視鏡は自由に操作できないため、体内を漏れなく検査できないというデメリットがあります。MUは体内を泳ぐように自走するカプセル内視鏡を通じて、患者に対する負担が低く、精度の高い検査を提供することを目指しています。
遠隔医療にも応用可能で離島等の医療従事者が不足している地域でも高度な検査が実現できるほか、コロナ禍でも感染リスクの低い検査体制が提供できるなど、日本の医療が抱える問題にも貢献する技術であるともいえます。

MUピッチスライド

現在、医療機器としての承認手続きを並行して、5つの国内医療機関での試験導入を目指し、各機関と協議を進めています。また、事業会社やVCからの出資や共同開発、薬機承認などのサポートを募っています。

FutuRocket

FutuRocket(フュチャーロケット)は小売店やオフィススペース向けに、手軽で安価に導入できるAIカメラを開発しているスタートアップです。

同社が開発するAIカメラ「ManaCam」はECサイトでは計測が容易な来訪者数を計測し、マーケティングや施設の稼働状況の管理など、リアルな場のDXを支援します。屋内のカメラ導入は費用面や設置工事の負担に加え、必要以上に機能が多く使いこなせないなど、運営者が抱える課題が多々あります。

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ManaCamは本体価格1万1000円、月額990円で利用でき、照明用のソケットやレールがあれば配線不要で設置可能です。既存の施設でも容易に後付できるというメリットがあり、電源とWi-Fiがあれば数分でスタートできます。すでに都内のコワーキングスペース5箇所で設置し、実証実験を開始中です。また、コロナ禍においてはオフィスの利用実態や、売り場における滞在人数や密度などの状況を計測できるといった点で好評価を得ています。

FutuRocketでは実証実験用に20台のManaCamを用意し、実証実験に参加する企業を募っています。

大企業×スタートアップ事業開発事例トークセッション

スタートアップからのピッチの後にはトークセッションとして、大企業とスタートアップによる事業開発事例の紹介がありました。

第1部としてHAX Tokyoを共同運営する住友商事グループから住友商事マシネックスの渡邉隆夫から同社におけるスタートアップとの取組事例や、2021年5月から開始した「SMX Open Innovation Lab」の紹介がありました。

第2部では本田技研工業の羽根田里志氏が登壇し、同社が進める「Honda Xcelerator」について紹介。国内外8拠点で展開するアクセラレーションプログラムの取組が紹介されました。

この2社のセッションは後日あらためて詳細をレポートしますので、どうぞご期待ください!

HAX Shenzhen Alumniによるピッチ

DemoDayの後半ではHAX Tokyoの次段階に当たるHAX Shenzhenに採択され、各方面で活躍するスタートアップ4社がオンラインで登壇しました。本レポートでは各社が手掛ける事業を紹介します。

RZero

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Rzero(アールゼロ)は医療利用レベルでのUV(紫外線)消毒デバイスを開発しています。
医療機関で一般的に使用されている紫外線消毒機器よりも高性能かつ価格を抑えたモデルを実現しています。使用状況はアプリで管理でき、消毒作業の人為的な抜け漏れを防ぎます。プロスポーツチームや医療機関、学校などに販売し、六ヶ月で1500万ドル(約16億円)以上の売上を達成するなど、大きな成果を挙げています。

AI SIGHT

AI SIGHT(エーアイ・サイト)は製造業向けに、機械の故障やメンテナンスのタイミングを予測するAIソリューションを開発しています。

製造業の現場において機器の故障は大きな機会損失につながります。AI SIGHTが開発したセンサーキットは既存の機器に簡単に後付けでき、振動や温度、磁場を検知し、デバイス内で機械学習と分析をすることによって、異常が起きうるタイミングをオペレーターに通知します。27件のPoCと、約1000台のセンサーの設置を通じて年間約60万ドル(約6600万円)の年間経常収益を達成しています。

Cradlewise

Cradlewise(クレイドルワイズ)は眠りの浅い乳児向けのベビーベッドを開発しています。創業者夫婦の子育て経験から開発されたベビーベッドは呼吸や動き、音の変化を感知し、必要に応じてベッドを優しく揺らすことで乳児の安眠をサポートします。
2021年から全米で予約注文を開始し、約3ヶ月で2000件以上のオーダーを受注しています。

https://cradlewise.com/

ASIOT

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ASIOT(アシオット)はエッジAIを活用した安価な自動検針デバイスを開発しています。

水道・電気・ガスなどの検診機にデバイスを後付けし、消費量を計測して1日・1時間単位でグラフ化するサービスを2020年10月から日本国内で提供開始しています。今後は計測したデータを分析し、最適な省エネ対策の提案やエネルギーの消費予測、また消費量の推移から独居高齢者の見守りサービスなどへの応用を準備しています。

検針機器メーカーとのスマートビルディングシステムの共同開発や、大手外食チェーンとの実証実験も進めており、さまざまなシーンにおけるエネルギー消費のスマート化の支援を進めています。

スタートアップ各社へのお問い合わせ
今回紹介したBatch 3の3社はそれぞれ関連する業界、企業との実証実験や、試験導入先を募集しています。
お問い合わせは各社webサイトもしくはHAX Tokyoのウェブサイト上のお問い合わせ窓口からお気軽にご連絡ください。

HAX Tokyo Batch 4応募受付中(〆切:2021年6月1日)

創業から間もないハードウェア・スタートアップに特化したアクセラレーション・プログラム「HAX Tokyo」では、現在Batch 4(第4期)に参加するスタートアップを募集中です。

AX Tokyoは、日本のシード・アーリーステージのハードウェアスタートアップの発掘と育成を目的とし、HAX深セン、HAXサンフランシスコと連携するプログラムです。

日本の才能溢れる起業家・スタートアップにHAX Tokyoへの応募を検討いただくべく、また卓越した技術やビジネスアイデアをもつエンジニアの起業を促進すべく、HAX Tokyoについて、さまざまなご質問にお答えする説明会「HAX Tokyo Weekly office Hour」を5月27日までの毎週木曜日18~19時にオンライン(Zoom)で実施します。詳細は下記の記事をご覧ください!

文:越智岳人