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「なぜやろうと思ったの?」スタートアップは常にWhyを突き詰めよう

HAX Tokyoでは日々スタートアップとの面談や壁打ちを実施しています。その際に私たちは「なぜ、そう思ったのか・決めたのか」を何度も質問しています。

アクセラレーターやVCにとって、スタートアップが「事業について、創業者はどれだけ考え抜いているか」は、意思決定する上で非常に重要です。

・なぜ、今あなたがその事業をやらなければないのか
・なぜ、その課題解決方法を選んだのか
・なぜ、その市場を狙うのか

こうした疑問に対して、スタートアップは相手が納得する答えを常に用意する必要があります。とりわけ、出資や事業提携など重要な場面では表面的な言葉や情報だけでなく、背景にある情報が意思決定に大きく左右します。

「なぜ」を突き詰めていくと、自分自身の経験やバックグラウンドに話が及ぶことがあります。テクノロジーやビジネスの話をしていたはずなのに、自分のバックグラウンドに関する質問を受けると不快に感じる方もいるかもしれません。

しかし、私たちは単に創業者のバックグラウンドを興味本位で知りたいわけではありません。「なぜ」を問いかけることによって、事業に対する思い入れや、スタートアップの強みや秘めた可能性を理解しようとしているのです。


なぜの答えは、整っていなくてもいい

創業から間もない時期であれば、論理的に答えようとする必要はありません。そこにかける思いや結論に至った過程をオープンマインドで話すことが何よりも重要です。
たとえば、その技術を採用するのかという問いに対して、「好きだから」というのも立派な回答です。ただし、「好き」を肉付けする情報として、その技術と課題解決との相性や市場での可能性など、出資者や支援者にとって関心を惹く要素も用意しておくと良いでしょう。

一方でシンプルな言葉ではなく、ストーリー性のある「なぜ」は共感を呼びやすく、それだけで多くの人を惹きつけることがあります。しかし、そこに紐づく技術やソリューションが創業の原点や解決したい社会課題とマッチしていなければ、事業に対する評価は別のものになります。狙う市場と社会課題、解決するための技術と製品、それらの背後にある背景に一貫性があってこそ説得力が生まれるのです。

こうした「なぜ」に対する答えを創業者自身だけで紐解いていくことは難しい作業です。自分自身の原体験から現在までの経緯を棚卸しするには、第三者との壁打ちを活用することをおすすめします。周囲に壁打ちの相手がいない場合には、私たちのようなアクセラレーターやVCに壁打ちを依頼するのも良いでしょう。もちろん、HAX Tokyoでもスタートアップからの壁打ちを受け付けていますので、お気軽にお問い合わせください。

あらゆる場面で登場するWhy

こうした「なぜ」は資金調達や商談に限った話ではありません。例えば、外部の工場とやりとりする際にも発生します。

・なぜ、この素材・サイズなのか
・なぜ、防水性能が必要なのか
・なぜ、その通信モジュールを採用するのか

こうした問いに対して具体的な想定利用シーンや、これまでの実験の記録など、明確な理由や根拠を提示できれば、工場側もこれまでの経験に基づいた改善方法やコストダウンの提案がしやすくなり、後々のトラブル回避にもつながります。

また、年間の販売目標数や販売ルートやエリアなどが盛り込まれた事業計画があると、アフターフォローも含めた部品調達計画が立てやすくなり、量産を請け負う工場側としても安心してスタートアップの案件を引き受けられます。仕様や要件の背景にある「なぜ」を共有することで理解の解像度が上がり、「こんなはずではなかった」という事態の回避にもつながるのです。

また、採用面でも「why」は重要です。
・なぜ今、そのスキルを持った人材が必要なのか
・なぜ、その人に入社して欲しいのか

といった採用の背景を社員や株主とやりとりすることで、採用時のミスマッチや入社後に「こんなはずではなかった」というギャップに悩むリスクを回避することができます。

whyにはスタートアップの熱意が詰まっている

不確実性の高い事業に挑むスタートアップには、重要な判断を求められる状況が何度も訪れます。その際に「なぜ、この事業をやろうと思ったのか」という原点を再確認することで、判断のブレを最小限に抑えられます。

また、事業モデルの転換や狙う市場の変更、開発している製品の見直しなど、何かしらのピボットをせざるをえない状況が立ちはだかった時、創業の原点や譲れない要素を明確にしておくことで、創業メンバーや株主と議論を建設的に進めることができるでしょう。

一人のプロジェクトからスタートアップというチームにシフトする過程においては、創業者が大切に思うことやビジネスを進める上での譲れない点は、自社の組織文化の形成や、今後の経営計画へとつながります。

取材・文:越智岳人(シンツウシン)

イベントのお知らせ(2023/7/25@大手町)

HAX TokyoとIncubate Fundの共催によるミートアップイベントを2023年7月25日に開催します。

当日は「起業・資金調達・チームづくりについてのリアル」をテーマに、VC・アクセラレーター、スタートアップの各当事者たちによるトークセッションを予定しています。また、イベント終了後は懇親会も予定しています。HAX TokyoやIncubate Fundの担当者も参加しますので、各プログラムに興味をお持ちの方は是非ご参加ください。

参加費は無料です。詳細は以下の申込ページをご覧ください。

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