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HAX卒業生のヘルスケア・スタートアップBisuが日本を拠点に置く理由

IoT尿検査装置を開発するBisuは2017年にHAX深センに採択されたスタートアップです。現在は東京のDMM.make AKIBAを拠点に事業を展開しています。

創業者でCEOのDaniel Maggs(ダニエル・マグス)氏に共同創業者や初期メンバーの見つけ方や、シード期のスタートアップへのアドバイスを伺いました。

Bisu
日々の健康を可視化する 手軽なIoT尿検査キットを開発するスタートアップで、2020年10月の販売開始に向けて準備を進めている。
創業者のDaniel Maggs(ダニエル・マグス)氏はケンブリッジ大学で日本語を専攻した後法科大学院に進み、法律事務所に入社。英国法弁護士資格取得後投資銀行でアナリストを勤めた後に、日本のディー・エヌ・エーで新規事業企画を担当。その際にヘルスケアIoTという領域に目がつき、ハードウェア・ベンチャーの立ち上げを決意して退社。自分の父親が前立腺癌になったことからもインスピレーションを受け、次世代尿検査サービスの開発に挑戦している。

変える勇気を持つこと

HAXに採択されたのは2017年でしたが、それ以前に作っていたピッチ用の資料はとにかく文字量が多くて、今振り返るとクソでした(笑)

ピッチ資料において理想的なのは狙っている方向に相手の考えを誘導することです。情報は多ければ多いほど、相手にいろんなことを想像させてしまい、それが難しくなります。
ピッチ用資料はなるべく少ない文字で、シンプルに専門家じゃなくても伝わるように作ることが大事です。表示した瞬間のインパクトも重要です。

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HAXに採択される前の資料(上)と、その後の資料(下)。

資料だけでなく、HAXに入った後にプロダクトもイチから作り直しました。もともとはトイレにデバイスを設置することを想定して開発していましたが、設計やデザインなど各方面のプロフェッショナルや消費者からの意見を反映した結果、現在のようなインターフェースに変えています。

➖➖もともと、HAXに応募したきっかけは?
「今後人々は予防医学にお金をかけるようになるだろう」とHAXの方が語っている記事を見て、自分たちの方向性に近いと思い応募しました。世界はこうあるべきだという考え方と、それを解決する技術と実行するチームが評価されれば、シードステージのスタートアップはVCから評価されます。

➖➖その「こうあるべき」というビジョンがHAXとBisuで一致していたのが、採択につながったわけですね
VCだけでなく、創業メンバーにも同じことが言えます。「こうしてほしい」と要望を伝えて、コミットしてもらうことも大事ですが、基本的には自分がやろうとしていたことに近い価値観を持っている人と組むことが大事だと思います。

物事を形にするのは、自分たちが想像しているよりも時間がかかります。

・柔軟性を常に持つこと
・自分たちの手元にある技術にこだわりすぎないこと
・作ったものに愛情をもちすぎないこと


当時を振り返るとこの3つがスタートアップにとって大事だったと思います。

➖➖Bisuは多国籍なチーム構成でありながら、日本に拠点をおいてますよね。どのようにメンバーとは知り合ったのですか?
ほとんどがオンライン経由ですね。LinkedInで調べて、興味があれば話しかけてみてという流れです。ハードウェア・スタートアップは大変なことが多いけど、採用に関しては非常に効率良くできています。

外国人にとって、日本企業でキャリアを積むのは難しい面があります。どれだけ優秀でも組織の上層部に外国人はなかなか起用されなかったり、言葉の面でも障害となるケースもあります。

もちろん外資系企業であれば、その限りではありませんが、日本が好きで暮らしているけど、仕事面ではフィットしていない優秀な外国人は一定数いるので、声をかけやすいという側面はあります。

共同創業者との関係はもっとシビアに見る必要があります。共同創業者というのは結婚した夫婦関係に似ています。
しばらくの間、その人と一緒にいられるか、作りたいものや実現したいビジョンはそろっているか、きちんと見ておくことが重要です。また、起業したての時に給料が数ヶ月出なくてもやっていけるか、貯金や家族、子供は欲しいかなどのライフプランも話しておくべきだと思います。

あとは自分自身のコンディションを管理することも大事です。創業者はメンタル面も自分で管理しなくてはなりません。無理に徹夜をしない、休みはきちんととるといったことも、スタートアップというマラソンを走りきる上では大事にすべきだと思います。

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HAX Tokyoでは現在Batch 2に参加するスタートアップを募集しています。

採用されたチームには、米国シリコンバレー発、世界的に実績のあるハードウェアアクセラレーター「HAX」にて蓄積された知識やノウハウが提供されます。また、ハードウェアに特化したコミュニティが提供され、ビジネスおよび製品開発の分野で世界をリードする専門家や、住友商事をはじめとする日本のパートナー企業とのコラボレーションの機会が得られます。

さらに、3ヶ月後のDemo Day後には、HAX Shenzhen、HAX San Franciscoのプログラムに参加し、ベンチャーキャピタル等から資金を得て事業を拡大できる可能性があります。

詳しくはウェブサイトまで。3月末までオンライン説明会も開催中です。

HAX Tokyo オフィシャルウェブサイト https://www.hax.tokyo/
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文・越智岳人