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アロハ通信 #10 (2023年4月)

シアトルで見つけた芭蕉の句碑

2022年12月シアトルの娘一家を訪ねた折のことです。孫たちと一緒に人形劇を見た帰り、寒い夕方にスペースニードルへと急いで歩いていると、公園の植え込みの中に見慣れない岩がありました。顔を近づけてみると、何やら一行の文字が英語で記されており、下に「BASHO」と書いてありましたので、驚きました。「松尾芭蕉」の英語の句碑だったのです。とりあえず携帯電話で写真を撮り、家に帰ってから調べてみました。
「Beside the road a pink hibiscus flowered, which my discriminating horse devoured!」BASHO
         「道のべの槿は馬に喰われけり」

槿

槿を英語でピンクハイビスカスと言うとは驚き、「喰われけり」をdevouredと翻訳してあるのに別の俳句を読んでいるような思いがしました。

「海を越えた俳句」佐藤和夫著を再読していますと、レーガン元大統領が日本を訪問した時に「草いろいろ各々花の手柄かな」という松尾芭蕉の俳句が好きだと、日本の国会でスピーチしたそうです。

俳句は明治維新のころフランスに、第2次大戦後にはアメリカで禅と共に広がり、今では世界中に俳句愛好家がいるそうです。しかし外国には季語と言う概念がなく、日本の5・7・5にとらわれない、3行の短い自由律の詩の形式が多いそうです。また日本語には主語を省略したり、複数形の表現があいまいだったりして、日本語と同じように外国の言葉で俳句を作ることは難しいそうです。

  また短歌は枕詞や決まり事が多いので俳句ほどに普及するのはむつかしいのだそうです。

最後に「古池や蛙飛びこむ水の音」の英語と中国語で翻訳されたものを「海を越えた俳句」の中から紹介します。

ハリー・ベーン 翻訳
 「An old quite pond・・・  A frog jumps into the pond, Splash ! Silence again.」

李 芒 翻訳   
  「古池塘  青蛙入水  水声響」

関本なつ

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