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命の恩人

娘は大変ないたずらっ子でございまして、被害者はたいてい私。

去年の私の誕生日には、これまで撮った(ほとんど隠し撮り)動画や写真を編集したバースデーカードならぬ、「バースデービデオ」を贈ってくれたのですが、これが笑えぬほどひどかった。

ソファーでうたた寝しているところや、寝っ転がってアホ面でスマホをいじっているところ、天丼を前にそれはそれは嬉しそうな私のにやけ顔など、とても喜べないバースデービデオでございました。

ただ最後に…

「これまで自分のことは後回しに、私のためにいろいろ我慢して、ここまで育ててくれてありがとう」という嫁入り前のようなビデオメッセージがありまして、ホロっときた、最近涙腺の緩い50代でございます。

それにしてもよくもまあ、私の憐れな姿ばかり集めたもんだね、と呆れていましたら、娘はスマホのアルバムに「ひどいママ」というフォルダを作り、私の醜態を撮った写真やビデオを「いつでも使えるように」整理しているというではないですか!

「見ないほうがいい」と言われましたが、ちょっとだけ見て、「1枚につき1ドルあげるから消してください」と交渉しましたが、却下されました。


さて先月でしたか、娘がスマホを手に、嬉しそうな顔で「これ見たい?」と。また私のひどい姿を隠し撮りしたことはすぐにわかりました。

今回は1分ほどの動画ということでした。再生した途端に私の寝顔が画面に大写しされ、「グォー」「ガー」という大いびきに、われながら笑ってしまいました。

「かわいそうに、よっぽど疲れているのね」と、2人でしばらく笑いながら見ていたのですが、最後のほうで突如「グォー」「ガー」が聞こえなくなり、10秒ほど静寂が続くと、そのあと「ブハー」と苦しそうに息を吐き出していました。

もしや、これは睡眠時無呼吸症候群?

すぐにウェブサイトでチェックしましたら、目立つ症状として「日中に強い眠気やだるさ、倦怠感」とありました。実はこの8カ月ほど、私は毎日午後2時間ほど、ベッドに倒れ込んで何もできないほどの倦怠感に悩まされておりました。

すぐにかかりつけの医者に相談すると、専門医を紹介してくれました。

その日に自宅でできる検査装置をいただきました。寝るときに装着し、起床後に「検査停止ボタン」を押すと、自動的に睡眠時のデータが専門機関に送信されるとのことでした。

そして結果は「中程度の睡眠時無呼吸症候群」。看護師さんも日中のひどい倦怠感に悩まされ、睡眠時に装置をつけるようになってから「元気100倍!」と励ましてくれました。

家族は「寝苦しそう」と同情してくれていますが、あの辛い倦怠感が解消されると思うと、装置が届くのが待ち遠いしいというのが本音でございます。


ところで、こちらの「ハワイ在住女子5人」の仲間に、睡眠時無呼吸症候群が判明するまでの経緯をお知らせしたところ、「娘ちゃん、お手柄!」とまるで命の恩人のように称えていただいております。

ただですね、「あのビデオのおかげで助かったわ~」などと褒め称えてしまうと、ヤツは今まで以上に「母親の醜態盗撮」に張り切ってしまいそうなので、やめておきます。

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