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当事他者探究

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「当事他者」についての探究
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#当事者研究

当事他者探Qその3

 当事他者の存在の前提に当事者がいるように、当事者にも当事他者がついてまわる。当事者と当事他者とは、切っても切れない関係いわば「共同存在」という言い方ができるかもしれません。

 「共同存在」は、哲学者ハイデガーの『存在と時間』に由来します。ハイデガーは、「現存在」(とりあえずのところは「人間」の意)はすでにつねに「他者との共同存在」であるとして、次のように書いています。「現存在の存在には、他者た

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当事他者探Qその2

 「部分的」につながるとは、「分かち合う」ことであり、哲学者ジャン=リュック・ナンシーが言うところの「パルタージュ(partage)」です。「パルタージュ」は、『声の分有』(1982)のキーワードとして登場し、「分割=共有」の意味で「分有」と訳されます。
 「パルタージュ」の意味について、伊藤潤一郎さんの整理するところでは四つの意味があります。「分割」・「部分」・「共有」に加えて、「出立」の意味も

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当事他者探Qその1

 「当事者(party)」と「当事他者(partner)」との、つながりは「部分(part)的」です。それには消極的理由と積極的理由があります。
 消極的な理由として、「部分的」とはまず「全体的」ではありません。「全体的つながり」とは、「当事者」の日常の手助けから資産管理まで何もかも、あるいは空間的にも時間的にも四六時中かかわっているような、つながり方です。

 「全体的つながり」において、一つに

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「当事他者探Q」宣言

 とりあえずの「当事他者論」の構想について思いつくままに。

 「当事他者論」は二部構成で、第Ⅰ部は「非当事者研Q」、第Ⅱ部は「当事他者探Q」と題してます。第Ⅰ部の「非当事者研Q」は「非当事者」の検討から「当事他者」の提案までで、内容はすでに書いたようなものです。
 そして第Ⅱ部の「当事他者探Q」は、「当事他者」から連想できることやインスパイアされたことについて考えながら、「当事他者」としての構え

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