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当事他者探究

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「当事他者」についての探究
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2023年9月の記事一覧

当事他者探Qその6

 「当事者」が「問事者」であることから、「当事他者」も「問事他者」であり、やはり「問う」という能動的側面と、「問われる」という受動的側面があります。

 「当事者」が出来事との間で「問う/問われる」関係を持っていました。一方「当事他者」は、「事に当たる」という、出来事を「問う」能動的側面を間接的には持ちますが、「問われる」という受動的側面は、出来事とは別に「当事者」から受けることになるでしょう。

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当事他者探Qその5

 出来事の不確かさを受け止めて問いを開始する「問事者」には、二つの側面すなわち受動と能動の側面があります。まず一つには、出来事を受け止める、逆に言えば、出来事に問われる受動的側面があり、またもう一つには、出来事を問う能動的側面があります。

 「問事者」は、まず出来事を受け止めて、次に問い始めるといった順序を辿るように思えますが、必ずしもそういうわけではなく、むしろ問い始めることで、出来事を受け止

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当事他者探Qその4

 前回の「共同存在」について述べた際、「現存在と他者」を「当事者と当事他者」に置き換えました。それはいわば「現存在」は「当事者」であると言っているようなものです。しかしそれはあながち外れていないのではないかと思います。

 「現存在」という言葉を、前回はとりあえず人間の意味で使いましたが、実際にそれが言わんとするのは、存在を問う人です。存在といっても、あまりにも漠然としています。存在を問う人にとっ

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当事他者探Qその3

 当事他者の存在の前提に当事者がいるように、当事者にも当事他者がついてまわる。当事者と当事他者とは、切っても切れない関係いわば「共同存在」という言い方ができるかもしれません。

 「共同存在」は、哲学者ハイデガーの『存在と時間』に由来します。ハイデガーは、「現存在」(とりあえずのところは「人間」の意)はすでにつねに「他者との共同存在」であるとして、次のように書いています。「現存在の存在には、他者た

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