「射る」中にいる、イップス

イップスは、もともとゴルフで発見?命名?された症状ですが、現在では様々な競技で市民権を得ています。
まだまだ腰痛や肩こりのように、日常生活のなかで誰もが経験する可能性が高いものではないため、「経験者の増加や広がりの中で徐々に市民権を得た」というよりも、メディアがニュースで「イップス」というワードを扱うたびに一気に名を広めてきた、と考えた方が自然かもしれません。
と考えると、「イップスを聞いたことはありますか?」

という問いに対して
「ニュースでは聞いたことある」という回答程度の方は、

続けて「イップスはなんの競技で起こるかご存知ですか?」
と尋ねると、
「野球とかゴルフ」と、メディアで取り上げられた競技で起こるという認識でいることがほとんどです。

しかし、実際のところイップスは多くの競技で報告されており、ゴルフや野球特有の症状では全くもってありません。他人事ではない、ということです。(さらに申し上げますと、スポーツ特有の症状でもなく、日常生活のあらゆるシーンで起こり得ると考えられます。さらに、他人事ではないということです。

そんな中、イップスの知名度が抜群に高いちょっと意外な競技の一つが「弓道」です。
しかも弓道イップスは、「弓を引き、狙いを定めて、矢を放つ」、この素人からすると非常にシンプルな動作の中に起こるイップスが、4つに分類までされています。
「イップス先進競技」ですね。

4つの分類とは、
① 「早気(はやけ)」→狙いを定める時間を十分に取れず矢を放ってしまう
② 「もたれ」→矢を放ちたくても放てない
③ 「びく」→狙いを定めようとしている最中に勝手に腕が動いてしまう
(※多くは矢を放たずに済む)
④ 「ゆすり」→弓を引いている途中に上腕が振るえてしまう
(※狙いは定めることができ思った通りのタイミングで矢を放てる)

というものだそうです。
なるほど、こう並べてみると、それぞれ違った症状の特徴がありそうです。
放ちたくても放てなかったり、放ちたくなくても放てなかったり、いずれにしても弓道界では、これらの症状を、「好調不調」「技術力うんぬん」として扱わず、ずいぶんと早い時期から「イップス」をして扱っていたようです。

私の個人的な「武道」のいうイメージから考えると、少し、いやかなり意外です。

弓道やダーツは、競技動作が比較的動きが少ないため、リアルタイムの脳波や表面筋電図のデータが取りやすいため、実験がしやすいのではないかと考えています。

着々と次回の実験の話も進んでいます。
科学的解明に向けて、一歩一歩進んでいきます。


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