見出し画像

【読書記録#01-4】マーケティングプロフェッショナルの視点

第4章の気になった箇所まとめと全体の感想です。

第3章を読んでない方はこちらから

第4章 マーケティングのこれから

なぜ「20代女性」がターゲット消費者なのか

消費者のデジタル化に呼応してマーケティングのデジタル化が激しく進んでいながら、いまだに「20代女性」と言った消費者定義でマーケティング計画を立案しているのは、不思議だ。

1970~80年代のマーケティング黎明期、多くの人が年齢に応じて均質性の高いライフスタイルで暮らしてきた。

しかし、個々人の多様化が進んだ現在ではそうはいかない。20代女性の中には、実家に同居する大学生から、2人の子供を育てる主婦までいる。20代独身就労女性、子育て主婦、40代独身就労女性、子育て主婦の4者を2つのグループに分けるとき、「20代と40代」で分けるより、「独身就労女性と子育て主婦」に分ける方が的を得ている。

もし直感的に「20代女性」をターゲット消費者に設定したいと思った時は、「なぜ20代なのか」を自問すると良い。人生経験が短いことか、学校などに帰属するコミュニティーが限定的だからか、収入レベルの傾向か、結婚・出産など特定のライフステージを意識しているのか。これらを理由に「20代」を志向するのであれば、年齢よりこうした消費者属性を記述する方が効果的である。

ブランドの定義書に書くべき8項目

1.大義:ブランドが何のために存在しているかを示す。

まず、「Vision」でブランド理念、実現したい世界を描く。「mission」でVisionを達成する際にブランドが担う使命を示す。「Value」でMissionを達成する際に尊重すべき行動や価値観を示す。もし複数ブランドを管理しているなら「role」にブランド固有の役割を示すと、他のブランドと連携しやすい。

2.市場・競合:二つの視点から記述する。

一般的な「製品カテゴリー市場」(万年筆であれば、万年筆市場や筆記用具市場)と「ベネフィット市場」(万年筆であれば、知的なギフト市場)を記述する。

3.ターゲット消費者:消費者群を二段階に分ける。

1つは長期的なブランドターゲットで中長期的にわたる対象者グループ。もう1つはプロモーションターゲットで特定の施策や新商品導入時に限定的に訴求する対象者グループである。

4.ベネフィット:消費者が購入するもの。

例えば、洗剤が汚れを落とすという機能によって消費者がどうなれるかが「ベネフィット(便益)」となる。

5.エクイティ:ブランドが独占的に保有したい意味。

6.パーソナリティー:ブランドの擬人化か、スポークスパーソンを設定するという方法で考えられたブランドの人格。

7.アイコン:記号や色、デザインなどブランドを知覚できる特徴。

8.機能・性能:ベネフィットを提供し、エクイティを体現するための性能や機能的な特徴。

一度ブランド定義書を通して、ブランドを定義できれば、しばらくは変えずにいる覚悟を持つことを勧める。そのためにも、消費者やブランドをよく理解した上で作成することが必要だ。

人間を見よう!

これまでもこれからも、マーケティングプロフェッショナルにおいてとても重要なのは、人間に対する飽くなき興味と洞察である。その手段が、対面的な直接観察から、行動を数値に置き換えたデータの機械による観察に変化したとしても、本質は人間の行動や認識、近くの理解だ。

ブランドを購入する人々を「消費者」と呼ぶことを問題視する向きもあるが、問題なのは呼称ではなく「全員が人間なのだ」というシンプルな本質を忘れずにいることが重要である。


全体を通しての感想

マーケティングプロフェッショナルの視点を持つことになにより大切なのは、観察眼だと私は感じました。

表層的な競合だけに目を向けず、本質的な市場を捉えることも、時代のニーズやターゲット消費者に合わせて、ブランドのメッセージ性を変化させていくことも、マーケティング業務において重要だと著者が説いている目的を明確に示すことも、全ては、固定概念や通年やっている施策だから、というような社内政治に惑わされない、観察眼が大切です。

もちろん、そこに気づけたからといってすぐに高解像度な視点で業務に当たることは難しいでしょう。しかし、本書にあった考え方を知らずに闇雲に模索するよりかは、この視点を指標として行動していく方が、プロのマーケターになる道は遥かに近道です。

音部さんの視点を目標としつつ、まずは、本書の第2章にあった「上司なら何を言いそうか」という視点を持つところから始めていこうと思います。

自分の中にミニ上司を潜ませ、自分が考えうる中でのベストな提案が浮かんだ際に、ミニ上司にクエスチョンを投げることで改善点や修正点が見えてくることがあるそうです。まずはここの視点に気付くことができるかから、観察眼を養っていこう!そう思った一冊でした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?