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【読書記録#01-1】マーケティングプロフェッショナルの視点

読書記録第一回目は、クー・マーケティング・カンパニー代表取締役である音部大輔さん著書のこちらの本をまとめていくぅ!

日々マーケティング業務に携わっている方や、マーケターの視点を学びたい方(私は後者)にお勧めの一冊です。本書では、全4章に分けてマーケティングプロフェッショナルのモノの見方や考え方に焦点を当てて書かれています。

健忘録を兼ねて、各章で自身がなるほどなぁ…と思った箇所をまとめています。興味もある方は是非お読みいただければ幸いです。

第1章 市場創造とブランドマネジメント

Q.万年筆の競合は何か?

まず思いつくのは、同じ棚に並んでいる別の万年筆や、向こうの棚に並んでいる高級ボールペンだろう。しかし、本当にそれだけだろうか?

紙に書く機能という意味では、100円ボールペンや鉛筆も競合かもしれない。文字を記す、という解釈だと、コンピューターやタブレットも競合になり得る。文字を記すことを他者とのコミュニケーションツールと捉えるならば、電話などの他のコミュニケーションツールも競合になってくる。

さらに視点を変えると、万年筆の多くは購入者と使用者が一致しないらしい。つまりはギフトで購入されることが多いということだ。この事実が分かると、競合は大きく変わってくる。ネクタイやちょっといいお酒などギフト市場が競合となってくる。

よって、競合先に併せた適切なメッセージを発することが重要である。

万年筆を売るメッセージとして、「この万年筆はあの万年筆よりも書き味がいい」というのは、対万年筆市場では有効であってもそれ以外の競合先には効果的ではない。

対100円ボールペンなら「万年筆を使っていると使い捨てボールペンよりも洗練されている」だし、対電話なら「大事なことは手書きで伝えよう」だし、対ギフト市場なら「お父さんが次の父の日に欲しいのはネクタイより万年筆ですよ」ということになる。

誰もが自分のブランドが帰属する製品カテゴリーの同価格帯の製品やサービスを注視しがちだ。もちろんこれらも競合の動向は注視したほうがいいが、そこに囚われ過ぎると本質的な競合関係や市場を見逃すことがある。

Q.携帯電話が高校生に普及し始めた頃、カラオケボックス業が縮小した。それはなぜか?

若者にとってカラオケは歌を歌いに行く場というより、歌うことを通して社交する場となることが多かった。より良い社交体験を提供する携帯電話の登場によって、社交の場を提供していたカラオケボックスは顧客の一部を失った。

新市場を創造するから競合はいない、と考えると潜在的な競合相手を見誤ってしまう。

「属性順位の転換」が起きる

「いい〇〇」の定義は時代のニーズとともに変化していく。

洗剤を例に挙げると、1980年代は「小型で白く洗い上がる」→1990年代は「洗濯と同時に除菌できる」→2000年代「溶け残りがない」→2010年代「時短・節水・鮮度と洗濯機と合わせた訴求」とかわってきている。

市場を定義する属性の重要性や順位は変化し、市場の再創造をもたらす。それにつれてブランドのシェアや順位も変化する。

2位が1位になるときは、最上位の属性で1位ブランドを凌ぐ時ではない。「いい〇〇」の定義が変化した時に、ブランドのシェアが大きく変わるのである。米国の大統領選挙の際に米国民にとっての課題の変化によって「いい大統領」の定義が変わり、次の大統領を決めているように、当該カテゴリーで自ブランドが解決できる課題の新しい捉え方や解決方法を提案することで、属性の順位を変化させられる。

マーケティングとは市場創造

もっとも重要な役割は属性の順位を転換して「いい〇〇」を定義すること。

ブランドとは意味

ブランドとは意味であり、ブランディングは意味づくり。その過程で重要なのはパーセプション、つまり認識や知覚。市場創造もブランディングも認識管理が必要。

商品=製品+ブランド

価格=原価+利益

消費者が購入するものが商品でその値段が価格、工場から出てきたものが製品でその値段が原価。であれば、ブランド=利益となる。ブランドの意味が多くの人に一貫して認識されることでブランドの力が強くなり、より大きな利益が生まれる。

顧客獲得はファネルでなくエレベーター型

パーチェス(購買)ファネルという概念がある。100%の対象顧客のうち、認知が80%、そして購入意向のある人がそのうちの8割で64%、実際に新規購入する人がそのうちの7割で16%、口コミしてくれる人がそのうちの約3割で、全対象者のうちの5%といった具合だ。このように上から下に向かって減っていく構造を想定して、各項目間の変換係数を高めて、次段階でもなるべく多く残すことに主眼を置くアプローチである。

対して、エレベーター型は下から考える。再購入しそうな消費者層への認知や興味喚起に集中させ、上の段階での無駄な獲得を減らすことで変換係数を高めていく。上限をむやみに広げることなく、ロイヤルユーザーをいかに効率よく探すかに重きを置いたアプローチだ。これにより、マーケティング活動から無駄は減っていく。


第2章のまとめはこちらからどうぞ。




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