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あらう

わたしは生きていて、それがよくわからない。
とても。

宇宙もにんじんもタイムカードを切る時のかさついた手も興奮するおなかの感覚も、爆弾の音もあのひとの横顔、あの目も、せんぶおなじで在るらしい。
同時にそんなにこられてもこまる。
私にはそれを受け止めるなにかがない。


体が存在してる場所にもどろうと思うのに、それにいつも少しずつ失敗しているような気がする。
私はどこにも戻ってない。
でも、いつも動いてもいないような。

どこからなにが出てるんだろう。
私が今姿勢を傾けたわけとか、鼻水がでるわけとか、あの声をこう感じるわけとか、皮をむくわけとか、肺が重くなるわけとか。
なにがでてるんだろう。
自分から出てるものは、なにも、意識的じゃないみたいだ。

こわかった。
たぶん、とにかく、こわかった。
恐れていた。
怯えている。
だれかからボールが飛んでくるように、私の輪郭に触れるものを。
でもものすごく願ってる。
触りたいし、触ってほしいのに。

匂いにつつまれるのがすき。
夢はアールグレイの茶葉のなかで眠ること。
ハイジみたいに。
私はずっとハイジになりたかった。
ああやってかけ続けたかった。
寝転ぶ草とそらの軽さを感じ続けられたら。

まぁそんなことは、いちぶ。
いろんなことが混ざって来てしまう混沌のなかでは、なにかだけを切り分けることはできない。
私はいつまでも混沌になれない気もする。
だって仕事に行きたくないし。
ひととこわい話をするのを嫌がる。
私もあなたも箱のなかにいるんだって言われるような。
私は川の方がよかったな。

いつか混ざっていられるようになったら、大好きな人も大事にできるかもしれない。
考えてることが分からなくても、ひとが出しているものが分からなくても、息をしてめぐることを最高だって言えるかもしれない。
私はそうなったら、しあわせだろうか。
今も在る。

まわるリズムにのれてない気がする。
流れるプールですごくぐねぐねしながら、壁に手とか擦りながら流されてるみたいな。
鼻の頭とかこめかみにも擦り傷がある。
鼻から水もたくさん吸った。
だすものを理解するのはむずかしい。
ずっとむずかしいわけじゃ、たぶんなかった。

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