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感情のドローイング

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感情を詰め込んだ魔法瓶。いつか自分の武器を持つために。
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2020年6月の記事一覧

書くことの、もっと高い場所へ。(cakesコンテスト結果発表に寄せて)

書くことの、もっと高い場所へ。(cakesコンテスト結果発表に寄せて)

スマホの画面に映し出された文字を、必死で追った。
名前があってほしい、という気持ちが半分。
もう半分は、ないかもしれないという恐怖。
それから、ほんの少しだけ、ないといいなって、そう思った。

だけれども、なのか、驚くことに、なのか、安心した、なのか。
私の名前は、二枚目のスライドの下の方に、ちまんと並んでいた。

  〇

書いたものに、自信がないわけではなかった。自分の中の大切なものを、精一杯

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バケツの底の小さな穴

バケツの底の小さな穴

・人が寝静まったあとのほうが、筆が進むと思う。なぜだろう。思考が静かになって、邪魔をされない気がする。

・何かを書こうと思い、パソコンをつけて、そのまま布団で寝てしまった。起きたら家人は寝静まり、少しこもりがちな部屋の空気と、蛙の泣き声だけが残っていた。

・そういえば、この土日にどこもかしこも田植えをしていた。空を映す鏡張りに、小さな苗が行儀よく等間隔で並んでいる。かわいくて、微笑ましい。

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感情のドローイング

感情のドローイング

日々、雲が流れるように、つぼみが膨らみ、ほころび、枯れるように、感情は絶え間なく動く。

誰かを攻撃的な目でみた、その次の瞬間に、風をはらんだカーテンの軌道に身が奪われて、そして世界を愛したくなる。

苛烈と、静寂と。瞬きと、安堵と。
振り子のように行き来する感情を、それでも言葉につめて、残したい。
私という人間の、形を知るために。

  〇

ここ二月ほどの自分の文章を読み返して、急に恥ずかしく

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