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信じるか信じないかはあなた次第?! 〜 陰謀論信念の形成メカニズムに関するサーベイ実験

青山学院大学 経営学部 服部ゼミ 4年生:
小川 璃子・丸山 玲香・宮田 柊平

概要

世の中には様々な "陰謀論" が溢れています。一見、あり得ないと思えるような突拍子も無い話を、人はなぜ、どのような環境で信じるようになるのでしょうか。

本研究は、陰謀論への傾倒を促す要因を、ランダム化比較試験の手法を用いた2つのサーベイ実験で明らかにします。最初の実験(実験 1)では、信憑性の低い、いわゆるトンデモな陰謀論のストーリーを読んだ直後の人と、信憑性や真実味の高いストーリーを読んだ直後の人では、どちらが「あやふやな陰謀論」を真実であると判断するのかという、陰謀論傾倒へのダイナミクスを探りました。具体的には、大学生の実験参加者(N=133, 男性59%)を、信憑性の高い陰謀論から順番に提示するグループ(高低群 N=69)と、信憑性の低い陰謀論から順番に提示するグループ(低高群 N=64)にランダム割付を行い、様々な陰謀論への信憑性とその推移を比較した。結果として、科学への信頼度が高い参加者においては、信憑性の低い陰謀論から評価した場合、それらが高い陰謀論から評価した場合と比べて、有意に高い陰謀論への傾倒をもたらしました。

二つ目の実験では、科学的 or 非科学的な感情誘導を行なうことで、陰謀論への傾倒が大きくなるのか小さくなるのかを明らかにする実験を行いました。具体的には、大学生の実験参加者(N=185, 男性46%)を、非科学的(vs 分析的 vs コントロール)な感情誘導を行った後に、同一の陰謀論への信念について聞き取り、比較しました。結果として、非科学的感情介入によって、陰謀論信念が有意に高くなるということがわかりました。また、その効果には、非科学的感情誘導によってもたらされた「外的支配感」、つまり「世界には自分の力が及ばないものがある」という感覚が媒介することが明らかになりました。さらに、科学的な感情誘導によって、陰謀論信念が有意に低くなることもわかりました。

これらの結果は、人がどのような心理状況や環境において、陰謀論に傾倒するのかについて、新たな知見をもたらしてくれると考えます。

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