スローな社会文化 「都市でのスローライフの楽しみ方」
はじめに
#0では、「スロー」の広範な定義に触れました。
では、都市で生活する人々にとって、スローライフはどのように愉しまれているのでしょうか?
その手がかりとして、
都市型農業に参加する/家庭菜園を行う
を挙げようと思います。
1.都市型農業に参加する/家庭菜園を行う
都市型農業=Urban Farming とは?
都市部で遊休化している場所などを上手く利用し、植物を育てる。
そのような取り組みが世界各地で拡がっています。
まずは、「IDEAS FOR GOOD」が述べる定義を眺めてみましょう。
都市型農業は、消費する人が、生産者に変わり、都市に住む人々の食物への関心が高まることで、
これまでの産業化社会が築いてきた生産者/消費者の確立した境界を、曖昧化するところにおもしろさがあると思います。
フランス・パリの事例
ヨーロッパやアメリカでは、盛んに都市型農業が取り入れられています。
その一例として、パリのポルト·ド·ヴェルサイユ見本市会場の屋上で、2020年から実施されている「NATURE URBAINE」があります。
※「NATURE URBAINE」HP : https://www.nu-paris.com/
広さは14,000平方メートルであり、約30種類の野菜や果物が育てられています。夏の盛りには1日500キロのトマトを収穫した日もあるというほど。
バジルや、バナナの香りのするミント、ほかにもハーブ野菜やいちご、ズッキーニなどが栽培されています。
併設したレストランでは、収穫したての野菜を食べられ、一部のスペースをレンタルすることもできるそうです。また、その野菜は、製品販売も行っており、この場所に来ると、農薬を一切使用していない野菜が手に入るのです。
日本・東京で進められている活動
近年、東京においても、都市型農業が進められています。
株式会社博報堂による研究機関「UNIVERSITY of CREATIVITY(ユニバーシティ・オブ・クリエイティビティ)」に、
JR東日本が展開する山手線ブランド「東京感動線」、プランティオ株式会社、株式会社プロトリーフが参画し、
2021年より実施されている「Tokyo Urban Farming」を見てみましょう。
※「TOKYO URBAN FARMING」HP :https://tokyourbanfarming.jp/#vision
「Tokyo Urban Farming」は、ビルの屋上などを活用し、実際に都市に農園を創っています。また、ファーミングイベント、ワークショップも実施し、都市に住みながらも農業に触れることができます。また、「grow SHARE」を通して、育て方のアドバイスや収穫時期など、学びながらスペースの一部をシェアすることができます。
都市に住みながらも、自らが生産に関わり、新鮮な野菜や果物を食べたり、売ったりできる生活が広がりつつあるのです。今後、以上のような活動は、様々な場所で行われるようになるのではないでしょうか。
まとめ
都市型農業は、これからの「スローライフ」の姿を描く、一つの手がかりなのではないでしょうか。従来の地方で生産された野菜や果物が都市に大量輸送され、消費されるというサイクルは、生産者が見えづらく、環境負荷も高いため、限界があると言えるのではないでしょうか。
都市に住む人は、その分断される生活から逃れ、愉しく生活を送るためにも、さまざまなイベントにアンテナをはり、積極的にそのような活動に参加してみる、または調べたり、何か行動してみることがいいのかなと思います。
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