(雑感)投資銀行ビジネス:ビジネスをファイナンスのサイドから考える

以前、下記の文章を記載しましたが、私は、りそな銀行や新生銀行の事例に関し、日本の金融機関の破綻処理や公的支援という観点で関心をもっていました。新生銀行がSBIにTOBされ、これで公的資金が返済されると考えていたところ、村上ファンドが出てきて、学生時代を思い出しました。村上さんは目の付け所が違うなと感じました(今の学生はこれを見てどう思うのでしょうか)。私としては公的資金注入について改めて色々考えさせられる事件でした(これからあおぞら銀行の事例などを取り上げようと思います)。
新生銀行への公的資金返済:SBIと旧村上ファンド事件|服部孝洋(東京大学) (note.com)

私が学部時代に就職活動をしていたときは2000年代前半で、今よりずっと証券会社のビジネスが勢いがあったころでした(見方を変えればバブルだったのですが)。ちょうど私が学生時代、インターンをするような時期に、当時ライブドアの堀江さんとニッポンの事件があり、これに村上ファンドも大きく関係を持っていました。

この事件の詳細は随分と忘れてしまいましたが、私はこの事件について証券会社の視点から見たという記憶があります。私の記憶では、ライブドア側とニッポン放送側にそれぞれ証券会社がアドバイザーとしてついており、私はその一つの証券会社でインターンをやっていました。転換社債などの金融商品の商品性についても当時は、今よりずっと多くのメディアで取り上げられていた気がします。

これらの一連の事件は、当時の学生にとって会社とは誰のものか、あるいは、資本主義とは何かなどについて、学生の間で議論するきっかけをつくる事件だったようにおもいます。これは一例ですが、岩井克人先生の「会社はだれのものか」はベストセラーになり、私の周りは皆読んでいました。
会社はだれのものか | 岩井 克人 |本 | 通販 | Amazon

実際に証券会社に足を踏み入れると、証券会社の中における投資銀行ビジネスの意味合いがより一層はっきりと理解できました。もっと具体的にいえば、私の周りで投資銀行ビジネスを選択した人は、どちらかというと金融に関心があるというよりは、事業そのものに関心があって、事業について金融の側面からみてみたい、という気持ちが強かったと思います。ちょうど齊藤元局長に私がインタビューをしたときに、財務省の入省を選んだ理由として、「予算や税などを通じて、自分が興味のあった日本の政策の決定プロセスを、裏側から見られて面白いかなと感じました」と指摘していましたが、似たような感じをうけました。
財務省「ファイナンス」:齋藤通雄氏に聞く、日本国債市場の制度改正と歴史(前編)|服部孝洋(東京大学) (note.com)

実際に、投資銀行ビジネスをやっていた知り合いは、将来は起業したいとか、どこかでベンチャー企業にCFOなどに入りたいという将来を考えていることが典型でした。彼らの中では、例えば、外資系の金融機関に行くより、会社を自分で起こしたり、事業会社に行って実際の事業に関わるほうがリスペクトされていたという印象もあります(これはあくまで私の印象論にすぎませんが)。

私は結果的にマーケットサイドの仕事がメインであり、周りの人間は、マーケットの面白いさや様々なデリバティブの仕組みなどに関心を持つ人が多かった気がします。今思うと投資銀行ビジネスは私にとってあまりに体力的にハードすぎるので、マーケットのほうが働きやすいという印象もありますし、マーケットの仕事のほうがより金融をやっているという認識も得られます(一方、マネーゲームにすぎないという意見もあり、実体経済への影響を感じることが少ない点も事実ではありますが)。

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