ASD者向け書籍レビュー『入社3年目までに身につけたい 上司のトリセツ』 横山信治著

帯の「オレばっかり、なんで!? となりがちな人のクイズで分かる処世術」という文言に引かれて購入しました。

【分類】
著者:定型発達
誰向け:定型発達の若者向け
ASD者へのオススメ度:星4つ  ★★★★☆
周囲の方へのオススメ度:星3つ ★★★☆☆


【ASDの人が学んでおきたい普遍的な処世術】

定型の若者だけでなくASDの人にとっても流用が大いに可能な対人関係の処世術が満載の一冊です。
ケーススタディになっているので、その状況状況でこの発言をすると相手にどのように受け取られるのかや、周囲へ与える影響、それが時間の経過とともにどのように職場環境に浸透していき自分に返ってくるのかが丁寧かつ簡潔に書かれているので分かりやすいです。

しかし、ASD者の特性の程度によってはなぜそうなるのかといった流れを理解するのに苦労するかもしれません。
そういった意味ではクローズ就労できる方やせざるを得ない方向けの内容かもしれません。
それでもこういった“学校では教えてくれない世の中の仕組み”について学べる本はASD者にとっては一読の価値ありです。

ASD者が身近にいる定型発達者にとっても、この本の内容をかみ砕いて身近なASDの人に伝えることができれば、きっとコミュニケーションの補助になることでしょう。

と、ここまではこの本の良いところを書きましたが、そうでもないところも私は感じましたので書いておきます。

それは著者の横山信治さんの価値観に所謂“昭和のオジサン”的なところがあることです。
それ自体が悪いことということはないですが、対象者が入社3年目の若者と思われるタイトルであるにもかかわらず、「ちょっと価値観が古いなぁ」と感じる部分があるのです。

しかしそれも含めて読めば、「まだまだこのような古い価値観を持っている上司はたくさんいるんだろう」と心構えをする助けになります。

多角的な視点で読めば、日常の中に活かせる部分がたくさんあるとても良い本です。



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