カサンドラ症候群脱却のための4ステップ その④自他境界を確立する ⑴自他境界とは

今回の記事では自他境界について解説していきます。
これまでの記事ではカサンドラ症候群脱却のためのステップを大きく分けて下記の4つについてお伝えしてきました。

①自分を癒す

②ASDの特性を理解する

③定型発達の特性を理解する

④自他境界を確立する

今回は4ステップの最終項目にして最難関となります。

「ASD者は自他の境界が曖昧」とはよく言われることであり、確かに特性上もそうなりやすいです。
しかしそれはカサンドラ症候群になりやすい方の傾向としても言えることです。
「まさか自分が!?」と思われる方もいるかもしれませんが、ひとまずはこの記事を読み進めていただければと思います。

ここを突破すれば必ずカサンドラ症候群脱却へ向かえます。
もっと言えば、誰とのどんなコミュニケーションであっても円滑に進めることができるようになるでしょう。
このあと解説していく中で、もしかしたら果てしなく遠い道のりのように感じてしまうかもしれませんが、難しく考えることなく一歩を踏み出してください。

【自他境界とは】

自他境界とは「自分と他人は別のものである」ということです。
そんなの当たり前だと誰でも思うのではないでしょうか。
しかし実際、自他の境界を全く踏み越えたことのない人はいないでしょう。
つまり、無意識のうちに他者の心の領土へ侵入してしまっていることが誰にでもあるのです。
また、逆に他者に自分の心の領土へ侵入させてしまっていることもあります。

自他境界のイメージは少しつかみづらいところがあると思いますので、自他境界が曖昧な例を見ていくことで、具体的なイメージをつかんでいただければと思います、

【自他境界が曖昧な場合】

自他境界が曖昧な場合、焦り、不安、葛藤、傷つきやすさ、依存となって現れます。

『自分→他者』のアプローチ例

・期待したとおりに相手が行動してくれないことに対してイライラして仕方ない
・相手の考えに納得がいかず、説得しようとする
・相手も自分と同じ気持ちだと信じて疑わず、相手の意にそぐわない形で押し付けの行動をしてしまう
・自分の考えが唯一の正解であると疑わず、思考が固まってしまう
・自分の考えは相手に伝わっているという思い込みがあり、伝達がおろそかになる
・友達なんだから、親子なんだから、夫婦なんだから○○だ。○○すべき。という思考に捕らわれる


『他者→自分』のアプローチ例

・他者に言われたことをそのまま受け入れ、自分の意思を表現できない、または自分が持つ考えに気づけない
・他者から言われた意見と自分の考えとの違いに折り合いが付けられず、頭がパンクしてしまう。
・被害者意識に捕らわれて前向きに進むことができない

このように、自身が受けるストレスがかなりのものとなるうえに、他者に与える影響も良いものとはいいがたいものです。
例を見てもうお分かりかもしれませんが、これらはASDかどうかによらず、子供のころからの成長過程において乗り越えていく課題をクリア出来ずに過ごしてきたことが原因です。
他者に適切に意思を伝えることや適切に協調することが必要なのです。

しかしもし今、出来ていないことがあると感じていても気を落とさないでください。
今までが過っていいたわけでもないですし、悪いことをしていたわけでもありません。
何かを学ぶタイミングは人それぞれ。その人に適した時に訪れるものです。
今から学んでいけばいいのだと私は考えます。

次は未来に目を向けるためにも、自他境界を確立するメリットを見ていきましょう。

【自他境界を確立するとどんなメリットがあるのか】

自他境界を確立すると、安定感、安心感、自己効力感、自己肯定感、自立となって現れます。

具体的には
・他者と長く良好な関係を築ける
・他者の言動や行動にいちいち心を乱されることがない
・他者からの理不尽な要求を突っぱねることができる
・自分に芯がある安心感、安定感を得られる
・他者に依存することなく頼ることができる

【自他境界の確立はなぜ必要なのか】

メリットから見ても自他境界を確立する意義は大きいものだと感じていただけるかと思います。
ストレスなく(出来る限り減らして)生きるためにも、他人のタイミングに振り回されないためにも、自分も他者も尊重して生きるためにも、ぜひ自他境界を確立していって下さい。

最後になりましたが自他境界は確立しているかしていないかのゼロイチではないことに留意してください。
出来ている時もあれば出来ていないときもある。そういうものです。
そこから少しずつ、出来ていることが多くなるようにしていく意識が大切です。


次は自他境界を確立する具体的な方法についてお伝えしていこうと思いますが、記事にまとめるのに時間がかかりそうなので今回はこの辺で。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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