心地よいSCって?? その2

某研究会で先日、お話した「心地よいSC」についての第2弾。

今回は、具体的な事例についての話を公開いたします。

まずは、 東京・上野御徒町エリアの新たなランドマークとして、11月4日にオープンした「パルコヤ」です。

23階建ての複合施設「上野フロンティアタワー」の核テナントとして開業。内覧会はもちろん、オープン1カ月後の様子を確認しに行ってきました。

ここは、もともと松坂屋上野店南館があった場所で、パルコヤはビルの1階から6階、地下1階には松坂屋上野店の婦人靴売り場と、観光案内所の機能をもつ編集売り場「上野が、すき。ステーション」があり、7〜10階にシネコン、12〜22階にオフィスが入っています。

パルコとしては、6年前にJフロント傘下に入って以降、ハード面では初めての取り組みだそうです。そして、渋谷パルコのオープン以来、44年ぶりの東京23区内への新規出店で、しかも東東京は初出店ということです。

コンセプトは「ともだちを誘いたくなる、ちょっとおしゃれな大人のたまり場」で、中心ターゲットは30〜50代。若者ターゲットのサブカルイメージが強いパルコですが、間口を広げて、こだわりを持つ大人世代も楽しめる店づくりにしたということでした。

テナント数は68店舗。その8割にあたる52店舗が上野御徒町エリア初登場で、地元にゆかりがあったり、ものづくりに根ざした企業が11店舗。飲食店は14店舗、コスメは11店舗。幅広い層に対応するため、「食」と「コスメ」を強化しているということです。

売り場面積8200㎡とコンパクトな店舗で、売上げ目標は60億円です。

では、パルコヤの心地よい取り組みとは何か

それは、街との親和性を重視し、上野御徒町という土地柄、地域特性を生かした店づくりにあると思います。

このエリアは、上野公園のほか、美術館や博物館などの文化施設が充実していて、大学や図書館も集積する学術・文化の中心地です。また、有名な近代建築も多く、アカデミックなエリアですが、その一方でアメ横(アメヤ横丁)や、落語の定席があったりして、庶民にも親しみやすい下町エリアです。また、若手デザイナーや職人が多いものづくりの街でもあります。

私自身は、以前働いていた会社の東京支社が湯島にあり、出張のときに御徒町駅を経由した程度で、ほとんど馴染みがなく、上野公園にも行ったことがありません。
ですので、このエリアについてうとい、私のような人間でも、出張や観光で街を訪れたときに、商業施設が情報発信拠点になっていると、とても便利です。MD面でもわかりやすく地域色を出してくれると、街の魅力がわかって楽しめます。

もちろん、地元の住民や働く人にとっての利便性や心地よさも重要なので、どれだけ地域色を出すのか、そのバランスは必要ですが、パルコヤの場合は、地域色と利便性がバランスよく考えられているように思いました。

具体的なテナントでいうと、上野御徒町エリアに縁の深い、こだわりのものづくりで有名なブランドがいくつも出店しています。1935年創業の「吉田カバン」の専門店「クラチカ バイ ポーター」が上野初出店。吉田カバンの創業者が修業を積んだ街が上野で、今でも、台東区の縫製工場にも依頼していて、職人が手作業で作っているそうです。

もうひとつは、上野発祥の帽子ブランド「カシラCA4LA」です。
1989年、ウィーブトシの社名で、アメ横のガード下で始めた小さな帽子店が原点だそうです。内覧会には、吉澤社長が来られていて、上野の今後に期待を寄せているとおっしゃってました。

そして、バングラデッシュ、ネパール、インドネシアなどの途上国でバッグやストール、ジュエリーを生産販売する「マザーハウス」も、本社は御徒町で、本店は秋葉原にあります。

こうした上野御徒町にゆかりのあるブランドのテナントが、パルコヤ上野店の顔となって、施設全体の魅力づくりに貢献していくのだと思います。

そして、心地よい取り組みのふたつめが
「食をファッションの視点で捉え」、「地元の老舗も新たな試みに挑戦する」ことで、ワクワクを提供していることです。
パルコは「新しい刺激を作るのが館のテーマ」ということで、食においてもファッションの視点で新たなことにチャレンジしているということでした。

地元の老舗飲食が新しいことに取り組んむことで、従来からの地元客も楽しめます。
実際、一昨日パルコヤを見てきましたが、平日の昼間だったこともあり、顧客のほとんどが50代以上の年配客で、地元の人気あんみつやさんで友達と楽しそうにして過ごしている姿が見られました。

アパレルから食へとシフトしている点についていうと、
パルコの牧山社長が「いまは食が一番のファッション」とおっしゃっていたのが印象的でした。ちみなに、パルコヤでは、アパレルは全体の3割におさえ、食とコスメを強化したそうです。

食関連で注目のテナントとしては、
湯島で創業し、いまでは予約がなかなか取れないといわれるミシュラン獲得の日本料理店「くろぎ」が展開する和スタイルのカフェ&バーがそのひとつ。店舗は建築家の隈研吾さんが設計デザインしたそうです。
和風パフェやかき氷、わらび餅など、作りたて、切りたて、練り立てを大事にした大人向けのスイーツが充実していました。

他には、明治25年創業の行列のできるそば屋「うえの やぶそば」も初のビルインで、新たな試みとして、そば粉を使ったもちもち食感のガレットを提案していました。

では、課題はというと、
やはり、アパレルテナントということになると思いますが、平日の昼間とはいえ、アパレルの店舗は閑散としていました。雑貨店にはまだ客が入っていましたが、アパレルは結構厳しいのではと思われます。
4階をのぞく全フロアに、スタバやハーブス、ディーン&デルーカ、地元の人気あんみつ店など集客力のある有力店が入っていて、上階のレストランも結構賑わっていますが、ファッションゾーンとの差が大きいのが目立ちます。

唯一、アーバンリサーチストアでは、デジタルフィッティングなどの最新テクノロジーを導入していましたが、他の店舗ではとくに新しい取り組みや個性は見られませんでした。


次はギンザシックスです。
ギンザシックスについては、みなさんのほうがよくご存じだと思いますので
大きな特徴だけ簡単に説明しますと、

・銀座中央通りに面して、間口約115m、奥行約100m、延床面積約15万㎡におよぶ圧倒的なスケールをもつ、銀座最大の複合施設ということ。

・そして、中央通りに面する全長約115mには、6つのラグジュアリーブランドが旗艦店を出店していて、2~5層の大型メゾネット店舗を構えていること。世界のラグジュアリーブランドの旗艦店を多数集積した初のラグジュアリーモールといえます。

・Jフロントリテイリングの子会社である大丸松坂屋百貨店と、森ビル、Lキャタルトンリアルエステート(LVMHグループの不動産投資・開発会社)と住友商事が共同出資する、GINZA SIXリテールマネジメントが開発し、大丸松坂屋百貨店は、脱百貨店をめざしているということ。

・旬なブランドが241店舗入っているだけでなく、屋上庭園や観世能楽堂など体験スポットもあること。

・中央の吹き抜け空間に、草間彌生さんの作品であるかぼちゃの巨大バルーンが吊り下げられていたり、壁面には、チームラボが手掛けるデジタルの滝が流れていたり、館内のさまざまなとろこでアートな体験をできること。

などです。

そして、年間売上げ目標については、初年度600億円、年間来館者目標は、約2000万人で、8月末までの4カ月間の売上高は、220億円、入店客数は700万人だったようです。

発表によると、平日は平均4万3000人、週末は平均6万7000人。
30代の買い上げが一番多く、インバウンドは3割弱ということです。

おとついは、ギンザシックスにもリサーチに行ってきたのですが、
平日の3時から5時過ぎだったせいか、思った以上に客の入りは少ない印象でした。
銀座以外の立地であれば、納得いくのですが、
日本一の商業地でしかも一番ホットな商業施設なのですから
もっと客が入っていてもおかしくないと思いますが
とくにファッションフロアは閑散としていたのが気になりました。

それと、地下の化粧品フロアと食品フロアも、
百貨店のデパ地下や化粧品売り場ほどにぎわっていませんでした。
外国人観光客がたまたま少ない時間帯だったのか、理由はよくわかりません。

ただ、食品売り場では、1000円のこだわりの高級のり弁当を売っている専門店「刷毛じょうゆ 海苔弁山登り」にだけ行列ができていました。

レストラン以外の飲食で人気があったのは、お茶の中村藤吉本店と、スターバックス、ワインショップ・エノテカですね。
人気が集中しているテナントと、そうでないテナントがあり、テナント間で明暗がわかれているのかな、と思いました。

では、ギンザシックスの心地よい取り組みとは何でしょう。

まずは、国内外のラグジュアリーブランドの圧倒的な集積と贅沢な店舗環境のなかで、ゆったりとした買い物が楽しめることです。ただ、これは富裕層にとって心地よい取り組みであり、そうではない客にとっては、完全に場違いのところにきた感が強く、何も買うものがないと、疎外感を感じるといった声も多いようです。実際、私も一度見ればもういいかなっと思っていました。

ただ、よく見て歩くと、高級なモノを買わなくても結構楽しめるところがあります。

さきほども言ったように、ラグジュアリーな雰囲気の館のなかで、草間彌生などの人気アーティストのアートを無料で楽しめることです。

また、蔦屋書店では、国内外のアート雑誌や希少価値が高いヴィンテージ本など約6万冊のアートブックが揃っていて、中央のギャラリースペースでは結構おもしろいイベントが開催されています。いま銀座店では「猫とアートとクリスマス」というフェアが開催されていて、イベント空間では、現代美術作家のヤノベケンジさんのアート作品が展示されていました。
巨大な猫の彫刻を見て、みんなスマホで写真をとってしましたし、関連グッズも販売されているので、お土産として買って帰る人も結構いるように思います。
蔦屋には、日本刀と関連本を集めたコーナーもあり、本を売るというよりも、本を通してアートに触れる機会を提供しているように感じました。それが、どのようにモノ消費へとつながっていくのかは、別の機会にまた取材したいと思います。

ラグジュアリーブランドの旗艦店のなかでも、実は楽しめるフロアがあります。
ピエール・エルメとコラボした「カフェ・ディオール」では、ディオールの世界観を表現したインテリア空間のなかで、ピエール・エルメのスイーツを味わえます。

それと、高級ブランドばかりではなく、国内のデザイナーブランドやセレクトショップも出店していて、手の届くアパレル商品も販売しています。
デニムブランドの「デンハム」では、ワンウォッシュのデニムをその場で洗ってくれたり、お直しの様子を見学したりでき、コト消費を実践しています。
また、着物デザイナーの斉藤上太郎さんの旗艦店では、スイーツを味わえるカフェが併設されているほか、京都で手作りしたアイスバーも販売していて、着物を買わなくても、誰でも気軽に店内に入れて、着物の世界に触れることができます。

地下の化粧品フロアでは、シャネルの口紅自動販売機など、デジタルツールを駆使したユニークな仕掛けやイベントがあり、また全店舗の3分の1が個室を備えているので、美容に関心の高い女性には、楽しい売り場だと思います。

ただ、売り上げの多くを占めるのが、ラグジュアリーブランドのテナントの売り上げだと思いますので、ラグジュアリー市場が活況でありつづければ、施設全体も賑わうし、逆にラグジュアリー市場が低迷すれば、苦しくなるわけで、それはラグジュアリーモールの宿命といえます。

オープン前に運営会社のプロモーション担当の部長にお聞きしたところ
「ネットでモノを買う時代だからこそ、特別な空間やサービスを体験できるリアルなスペースが価値を生むので、圧倒的な旗艦店の集積が相乗効果につながると期待している」とおっしゃていましたが、やはりターゲットは富裕層だと思われるので、アジア中の富裕層をどれだけ集客できるのかが、今後の戦略のポイントになるのでは、と思います。


次は、昨年5月に、京阪枚方市駅前にオープンした「枚方Tサイト」ですが、
こちらも、みなさんよくご存知だと思いますので、
改めて特徴だけ簡単に説明しますと、

・代官山、湘南に続く3店舗目のTサイトで、関西初出店。
枚方は、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)の増田社長の出身地で、1983年に蔦屋書店1号店が開業した創業の地でもあるので、郷土愛から誕生した施設ともいえます。

・館内には、レンタルのTSUTAYAと蔦屋書店を核に、ファッション、雑貨、食などの物販から飲食店まで40数店舗が入り、プレミアエイジ(高齢者)から親子、ワーカーまで幅広い層をターゲットにしています。

・従来の百貨店と異なるのは、ネット時代のリアル店舗のあり方を追求している点です。ポイントカードのTカードと連動した専用アプリを利用すれば、店頭在庫の確認や関連情報を入手できるほか、レストランの予約や駐車場の空車チェック、電子決済もできます。
「スマホと一体化した百貨店」をコンセプトにしています。

・商圏は広域ではなく、半径わずか2キロに設定。圏内住民を確実に取り込み、「ゴールは毎日行きたくなる百貨店」(増田社長)ということでした。
 商圏に合わせて、2キロ圏内の住民が普段使いできる生活提案型のショップを導入。地下1階〜1階はフードマーケットと食マルシェ、2階はエンターテイメント、3階はブック&カフェ、4階は暮らしと美容、5階は子供と学び、6・7階は銀行、8階はレストランでフロア構成。
 書籍は15万冊、カフェや300席以上の休憩スペースがあり、自宅にいるように心地良く過ごせる空間に仕上げています。

・早朝から仕事帰りまで気軽に立ち寄りたい飲食が充実しています。
その理由について、増田社長は、「普段の生活で一番消費するものは朝昼晩の食事。世の中の先行きが不透明になってもそれは変わらない。逆にいえば、食事を楽しくすることで、モノを買わなくても人生が楽しくなる」とおっしゃっていました。

・食物販や雑貨、書籍など各分野にコンシェルジュを置き、ギフトや作品選びをサポートする体制を整えました。各ショップは蔦屋書店の関連書籍とシームレスにつながっていて客の興味や関心が自然に広がることを意識しています。

CCCは、代官山T-サイトで書店スタイルに一石を投じ、湘南では商業施設の新たなあり方を提案しました。そして、枚方では、あえて「生活提案型デパートメント」と謳っています。これは、地方百貨店の再生モデルとして打ち出していくからなのではと、思われます。

では、枚方Tサイトの心地良い取り組みとはについてですが、
さきほどあげた施設の特徴のほぼすべてが、
CCCが考える心地良い商業施設の取り組みだといえます。

とくに、次の点が、個人的にも評価したいポイントです。

1.代官山Tサイトのコンセプトをビルのなかに再現しており、すべてのフロアが快適で落ち着いた空間を創出し、自宅で過ごしているかのような雰囲気を味わえます
2.コーヒーを飲みながら本を読むというスタイルを楽しめると同時に、顧客自身のライフスタイルや興味にあった情報に触れられ、知的欲求も満たされます
3.朝7時からオープンするカフェや、夜軽く飲みたいときに立ち寄れる飲食店が揃っています。8階には深夜1時まで営業しているバーもあり、毎日行きたくなる人も多いのではないでしょうか。蔦屋書店とスタバは7〜23時まで営業していてとても便利です。
4.昨年7月、地下フロアにフードマーケットがオープンしました。こだわりの食材が揃っていて、デパ地下の感覚で買い物を楽しめます。また、イートインコーナーも設け、買ったお弁当や惣菜をその場で楽しめます。いま流行りのグローサラント(グローサリー+レストラン)にも似たスタイルですね。

実際、先日、このフードマーケットで鮮魚を購入したのですが、
自宅近くの大手スーパーにはない、魚や加工品が売っていて、
ホントに枚方市民がうらやましくなりました。

どのフロアにも、本を読んだり、休憩したり、会話を楽しんだりしている人がいて、館内全体ににぎわいがあったので、枚方Tサイトは、すっかり枚方市民の生活拠点、サードプレイスとして浸透しているんだなあと痛感しました。

ですので、このままもっと進化していってほしいと思います。


ちなみに、枚方Tサイトではありませんが、国道1号線線沿いのレンタルショップが、11月1日に新しいコンセプトショップとしてリニューアルオープンしました。

ここには、中古本が約25万冊、新刊本が約5万冊揃っていて、コーヒーを飲みながら本を読むスペースもあります。1号店は、昨年7月に福岡にオープンし、好調のようなので、CCCの新しい事業として注目していきたい業態です。

次の写真は、CCC初の宿泊施設「GOEN ラウンジ&ステイ」です。枚方Tサイトの裏にオープンしました。ドミトリータイプのホテルで、ラウンジは宿泊しなくても時間単位で利用できます

次は、京阪流通システムズが運営する「京都タワーサンド」です。

京都タワーの地下1〜地上2階が全面リニューアルし、4月14日に「京都タワーサンド」として京都観光の新たなスポットに生まれ変わりました。
コンセプトは「街・駅に続く、3つめの選択肢へ。これまでにない、これからの京都」で、メインターゲットは、京都好きの大人の女性と外国人観光客。
地下1階にフードホール、1階に京都土産になる逸品を集積、2階は、八つ橋などの和菓子づくりや寿司の握り方講座、食品サンプル製作などのコト体験フロアになっていて、施設全体で計55店舗が入っています。

京都タワー自体は、誰もが知る京都のランドマークなんですが、
商業施設としての認知度が低く、展望室の入場者数もここ数年、約40万人にとどまっていたそうです。一方で、京都を訪れる観光客は年々増加しているので、タワー全体の回遊性を高めることで入場者数を約70万人まで増やしたいということでした。

テナントリーシングのポイントについては
●駅直結の百貨店や商業施設と棲み分けを図るため、
これまで京都駅周辺にはなかった専門店や飲食店を誘致したこと
●大型ショッピングモールで人気の高いフードコートのスタイルを導入し、観光客はもちろん仕事や買い物帰りの地元客も楽しめる、お酒の飲めるフードホールを開設し
たことです。

京都タワーサンドの心地よい取り組みなのですが
私の個人的な評価を話すよりも、実際に業績がかなり好調だとお聞きしたので先日お話しを聞いてきました。

担当者によると、
オープンから7か月の売り上げは、当初計画の2割増のペースで推移しているそうです。

とくに、地下1階のフードホールは、新しい試みだったので、どれだけ受け入れられるかが不透明だったそうですが、思った以上に反応がよくて、周辺のオフィスで働く人や地元客、国内外の観光客が利用しているそうです。
「通常、閑散期といわれる8月もお客さまが多く、ロングバケーションの欧米客や、夏休みの家族づれなどが来店して、ホテルやタワーとの相乗効果があらわれている。
地下のフードホールのおかげで、来店頻度が高まり、顧客化できている」とおっしゃってました。

フードホールは11時から23時までの営業で、アイドルタイムなし。
駅前周辺には、飲食やカフェが不足していて、一方、駅ナカは常に混んでいる状態です。
ですので、認知が高まるにつれて来店客が増えているそうです。
土日は、終日、7割から10割が満席で、平日のランチ・カフェでも6割から8割、夜は6時頃から8割、10割の充席率になるそうです。
「グルメの舌にもこたえられる、こだわった店を誘致したこと、23時まで飲めて、駅直結で雨風にも合わないという点が支持されたのでは」とおっしゃってました。

ただ、売上げについてはテナントによって強弱あるそうで、中には当初予定の2倍近い売り上げをあげている店もあるようです。

一方、1階の土産物が並ぶフロアは、
秋口から観光客の認知が高まり、計画を大幅に上回るようになりましたが、
2階の体験フロアは、
修学旅行などの団体客が多く、まだ工夫が必要とのことでした。

注目したいのが、イベント開催に力を入れておられることです。

定例イベントのほかに、サントリーのクラフトビールのPRイベントを、テナントとコラボで開催したり、11月5日のきものの日には、京都タワーのライトアップ点灯式があり、きものの日PR大使の倉木麻衣さんのトークショーをフードホールで開催したそうです。
その際、きものを着て来店すれば、館内で飲食や買い物を楽しめるクーポン券をもらえるサービスも取り入れたそうです。

今後も京都の企業のPRや美術館・博物館との双方向の送客につながるイベントを積極的に仕掛けていくということでした。

実際にフードホールをのぞいてみましたが、平日のランチ時から活気があり
年配客から子供づれ、近隣で働く人やカップル客、欧米人の姿も見られました。
インテリアデザインをカフェの森井さんが手がけているので、
イスとテーブルがある共有スペースも、とてもおしゃれな雰囲気で落ち着きます。
そんな空間で京都のこだわりの味を自由に堪能できるわけですから、
とても贅沢な食の体験施設といえるのではないかと思います。

関西の人でもまだ、知らない人も多いようなので
これからもっと認知度が高まれば、連日満席の超人気フードホールになるのでは
と期待しています。

次回は、ファッション業界のオムニチャネル戦略「パルグループのSNSを活用した取り組み」のほか、「今年ヒットしたモノとコト」「異業種に見る集客のヒント」について公開いたします。


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