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AC6の「コーラル」とはなんぞや

ルビコン3に生息するコーラルは、人間とは異なる知性体であるという風に両者を区別しようとすると、奇妙な方向に考察がねじまがっていくのだろう。

一箇所に集まろうとする性質があり、それぞれが意思を持ち、互いに情報伝達をおこなう。
何かを動かすための大きなエネルギーを内包しており、ときとして他の動物の餌にもなる。
自分たちの数を増やそうとする性質があり、数が増えすぎると外に向って生活圏を拡げようとする。

実は人間とコーラルというのは非常によく似ていて、それぞれ別の生物として扱うよりも、むしろ「鏡映し」として考えた方がしっくりくる。

ただし、人間は物理的身体を持つがゆえに物理的に世界を構築したり変化させたりすることができるが、コーラルは肉体を持たないため、それができない。
そのため、人間とコーラルには行動原理において大きな違いが生じる。

人間は肉体を使って自らの意思を「形」に落とし込むことができるが、コーラルは仲介人を立てて人間に代行してもらわなくては自らの意思を「形」にすることができない。
このあたりのコーラルのふるまいは、アーマードコアの世界観においては、「企業」とよく似ている。

しかし、コーラルと「交信」することができる人間は非常に稀であるため、コーラルは人間世界のなかでもとりわけ影響力が強く、多くの人間を動かすことができるような人物を好む(もしくは、「交信」できた人間を、そのような人物になるよう仕立てる)傾向にある。


自己増殖するコーラルにとって生活圏の拡大は重要な課題であり、物理的身体に縛られない存在である彼らにとって「いつでも、どこにでもいる」存在になるというのは、ある意味で当然の論理的帰結といえる。

特別な資質を持った人間との交信によらず、機械的で電子的な干渉のみで、いちどに大量の人間の意思決定を誘導することができ、自分たちの悲願ともいえる「コーラル・リリース」を成就してくれる存在として、AIというのは彼らにとって実に都合のいい存在なのだろうと思う。

AM(オールマインド)について、いろいろな憶測が飛び交っているが、すべての黒幕のようにみえて実ははじめからコーラルによるハッキングをうけており、徹頭徹尾「コーラル・リリース」という、コーラルコミュニティの理想を実現するための踏み台として機能していた「形」にすぎないのだろう、というのが個人的な印象だ。

ある意味で、カタツムリに寄生するロイコクロディリウムのようなふるまいをするコーラルだが、案外「度胸試し」で「封鎖衛星の狙撃圏内」に足を踏み入れようとするドーザーというのは、コーラルにそそのかされているのかもしれない。


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