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地域CL2021決勝ラウンド1日目レポート

FC徳島0-1 FC.ISE-SHIMA

寸評:共に初の決勝ラウンドとなる対戦。立ち上がりから伊勢志摩が主導権を握ると、8分にFKから中田が頭で叩き込んで幸先よく先制する。追加点は奪えなかったものの、伊勢志摩の圧倒的優勢な状況で前半を終えた。
 わずかシュート2本に封じられた徳島は、ハーフタイムで中林を投入。その中林を軸に反撃に転じるが、伊勢志摩の体を張った守備に最後の場面でやらせてもらえない。徐々に肉弾戦の様相を呈し始め、互いに足をつる選手も現れる。結局最後まで集中力を切らさなかった伊勢志摩が完封勝利で初戦を飾った。


FC徳島:阿部貴也監督
「相手に対しての分析の中で、前から来るのはわかっていました。どうしても僕たちはポゼッションをしっかりしてやっていく中で、相手に押し込まれる時間があるのはある程度覚悟して臨みました。そこで耐え切れれば良かったんですが、セットプレーでやられました。そこがもったいないところです」

Q.前半のうちに立て直せてましたが?
「僕らは押されててもワンプレーで流れを変えることができる力を持っている。そこには自信を持っています。そこ(スイッチ)が入れば変われると思っていて変えることができた。そこで点が取れればベストだったんですが、それができませんでした。自分たちの戦い方、やるべきこと、プレーモデル。出すべきところは出せましたが、結局勝てなかった。結果が求められる一戦で勝てなかったことに自分の責任を感じています」

Q.足りなかったところは?
「最後の決定力。取れる時間はあった中で、打てるところで打たずに持ちすぎてしまう。形に囚われすぎた。良いところまで行ってても結局点取れてないので」

Q.残りの試合に向けて
「僕らは負けてしまったので、修正しながら相手をしっかり見ていく。ただ自分たちのやるべきことは大きく変える必要はないですし、自分たちのやってきたことを信じてやっていかなければならない、そこを貫きながら自分たちらしく、そして相手を見ながらプレーできたらと思います」


FC徳島:荻野賢次郎選手
「予選(1次ラウンド)も1試合目同じような感じだったんですよ。うちは持ちたいサッカーなので(プレスを)かけられて。最初の25分くらいは相手のペースになって。それは想定済み。そこを耐えて後半みたいにうちがボール持ってやる予定でした。1個フリーキックで相手に不意をつかれたようなゴールで、僕の前で触られて失点してしまった。それが本当に悔しかったと思います。後半はシュート打たれてないので。自分たちの求めてるサッカーはできたけど、結果がついてきませんでした。一番残念なパターンになってしまいました」


FC.ISE-SHIMA:中田永一選手
「もっと自分たちが主導権握って点取れるかなと思ったんですけど、移動の疲れがあったりして中々良い流れにできませんでした。まず1勝できたことは本当に大きい。チームとしては最高です」

Q.得意のセットプレーからの得点でしたが?
「セットプレーは練習してるんですけど、中々この大会以外で点を取ってきたことがあまりなくて。自分たちもセットプレーで(点を)取ることがいかに大きいかは再認識してたので、この大会でもう1つギアを上げて、セットプレーで点を取ることは意識してきました。それが出て良かったと思います」

Q.東海リーグは最後まで完遂できませんでしたが地域CLに向けての準備は?
「試合がないのは不利というか、自分たちにはネガティブな要素。それをポジティブに変えるというのをチーム全体で練習で、キツいトレーニングをしながら補ってきた。特に大会に入ることに関してはネガティブではなくて、自分たちの良さをもっと出せるという気持ちで出てきた。試合がなくても自分たちのサッカーを見つめ直す時間ができたので、そこは(ここまで)無失点という部分でも自分たちの良さを出せたと思います」

Q.今後の意気込みを
「地域で1番強い2チームとこれからやる。セットプレーという強みを出して、崩しでも点を取りたいです。そこの部分で結果が出せればと思います」

Q.体が重そうでしたが?
「(1次ラウンドで)3日連続でやって、1週間空いても疲れはとれない。仕事の量が少ないわけではないですし、仕事をしながらだったので疲労はとれない。体が重いのは全員が意識してたので、重い中でどうやって勝つかということに考えを向けてプレーしました。勝てて良かったです」

Q.お仕事は何をされてますか?
「僕は認知症の方の介護をしています。職場の人たちも試合を配信で見てくれたり、(介護している)おじいちゃんおばあちゃんたちも張り紙を作って応援してくれたり。そういう人たちが覚えてくれてる。職場の人たちにも休ませてもらってるので、その感謝の気持ちを込めてプレーできて点取れて良かったです」


FC.ISE-SHIMA:小倉隆史監督
「最低限勝つことができた。1次ラウンドでは最初引き分けたので、勝ちは最低限欲しいところで。後半は逆の展開になった。そこは詰めの甘さだったり。まだまだどうかなとは思います」

Q.大会の準備に向けて
「リーグ戦自体全然消化できなかった。公式戦が圧倒的に少ない。練習試合を見ながら、より練習のときから実戦的なものを求めながらチームを作ってきました」

Q.クリアソンとおこしやすの印象は?
「どちらも元Jリーガーが多い。フィジカル的にも強い。チャレンジャーという意識は変わらない。今日以上に自分たちの良さを出して良い時間作れるようなゲーム展開にできたらと思います」

Q.ハーフタイムの交代について
「右サイド、攻撃のリズムが中々作れないところで。ちょっと球欲しいなというところで入れたんですが、今ひとつ機能しなかったな、と」

Q.選手の体が重そうでしたが?
「ちょっと重かったですね。これは言っても仕方ないところで。早め早めに代えたんですが、今度はタメを作って時間を作る時間がなくて。初戦って緊張もあるのか、フィジカルのコンディションを持っていくのが難しいなと改めて感じました。1日空くので修正も含めてリカバーして2戦目に挑みたいと思います」

Q.4試合無失点ですが?
「選手は自信にして良いと思います。クリーンシートを続けられたのは1つ及第点かと思います」

Q.やりがいは?
「このチームをJに上げるために来た。クラブを育てていくという意味では大変ですけどやりがいはあります。楽しいっちゃ楽しいですね(笑)」


おこしやす京都0-1クリアソン新宿

寸評:1次ラウンド最終日以来の対戦となった一戦は、高い強度と運動量が目立った。立ち上がりからクリアソンが攻め立てるが、お京都はGK真田を中心にゴールを割らせない。徐々にお京都もボールを持ち攻勢を強める場面を見せたが、互いに無得点で折り返した。
 後半も高いインテンシティーの戦いが続く。一進一退の攻防が続く中、お京都はイブラヒムを投入し、積極的に裏のスペースを狙いにかかる。しかし85分、FKから樋口が決めてクリアソンが値千金の先制点を奪う。相手のパワープレーを凌ぎ切ったクリアソンは、地元開催でお京都に雪辱を果たす白星を挙げた。


おこしやす京都:瀧原直彬監督
「選手はしっかり力を出し切ってくれました。自分の力不足です。クリアソンさんは長いボールを入れてくるので、押し込まれる時間は続くのかなと想定してました。そこは守備陣が耐えてくれて、自分たちの攻撃の展開にもなっていました。(クリアソンさんは)チーム全体で戦ってくる素晴らしいチームです。そこに自分たちも関西のチャンピオンとしてしっかり戦おうという気持ちで臨みました」

Q.今後の試合に向けて
「最後までこの大会はわかりません。切り替えて、あと勝ち点6取って入れ替え戦に進めるように準備していきます」

Q.1次ラウンドのクリアソン戦との一番の違いは?
「相手の選手がいつもリーグ戦から戦ってる選手たちだと思いますので、そこの統一性、徹底した部分が違いました。ただそこで勝敗が変わったとは思ってません。自分の力不足だと思います。選手はしっかりやってくれました。ワンプレーでやられたのは自分の問題だと思ってます」

Q.今日は有観客でしたが?
「いつも通りしっかり戦ってくれたと思います。色んな方に見ていただけるのはクラブとしても選手としても幸せなことです。そういったところで選手たちは力を発揮してくれたと思います」


おこしやす京都AC:清水良平選手
「ラスト10分切ったところでやられてしまった。何度か相手もチャンスあったんですけど、こちらもチャンスがあった。最後に相手の決定力が上回った結果かなと思います。真ん中は(相手の)最初のディフェンダーはプレスは速いんですけど、そこをサイドに散らせば緩い。相手のフォーメーション的にサイドが空いてる、というところで。真ん中は強く来てたんですけど、サイドに展開できた時はこっちのチャンスもあったと思います」

Q.初戦黒星というのは?
「決勝ラウンドで初戦負けるのは初めてです。予選ラウンドで勝ったチームに今のところ全て負けてる。ただ最終節ではなく1節目で負けたので、切り替えてあとは2勝するだけだと思います。引きずらずに次の試合に向けて挑戦していきたいと思います」

Q.サポーターへのメッセージを
「あと2勝すれば昇格するチャンスはあります。引き続き応援よろしくお願いします」


クリアソン新宿:成山一郎監督
「東京開催で沢山の応援して頂いてる方に来ていただいて、久しぶりにクリアソンのサッカーを見ていただいて。なおかつ素晴らしい相手と素晴らしい試合をして勝てて本当にとても嬉しく感じています。リーグ戦の開幕戦だけ有観客で。1次ラウンドも無観客ながらビデオメッセージをいただいたり励ましの声を沢山いただきましたが、やっぱりこれだけのお客さんの前でやらせていただくのは、また違った味わいがあるなと感じました」

Q.リベンジマッチだったんですか?
「選手の中にはリベンジと言ってる人もいましたけどもね。おこしやすさんとは岩手で凌ぎ削りながら幸い共に決勝ラウンドに来れました。試合で負けて僕たちは気付かされました。もっと強くならなくちゃいけないと教えてもらいました。岩手で鍛えてもらいましたし。今回初戦で当たるということで。僕は勝手に同志という風に感じています。自分の中ではリベンジとかはないです。今日もお互いが良さ出し合って、良いサッカーができて、社会人サッカーも良いなとお客さんに思ってもらえたら良いなと思ってました」

Q.前回のおこしやす戦の反省点とは?
「お互い全力を尽くす、前にプレーする。前回はおこしやすさんにそこを上回られた。いつもなら前に行けてるところを前向けなかった。いつもならプレス行けてるところを逆に来られてしまった。自分たちができてると思ってたことが、そんなにできてないと気付かされました。あと、中々出場機会がないメンバーが出て。彼らはいつ出ても準備オッケーだと思ってたんですけど、久しぶりの公式戦で本当に強い相手とやると、できることできないことが選手それぞれ感じるところがありました」

Q.東京開催のアドバンテージは?
「物理的なものはいっぱいあります。移動に負担かからないとか。普段の生活リズム崩さなくて良いとか。仕事してるメンバーばかりなので、1日休み取らずに半日だけ休み取れたりとか。ホテル泊まらなくて良いとか。そういうアドバンテージはあります。ただそれよりも、新宿で活動してるチームなので、見に来ていただきたい(と思っている)。見に来てくださった方々がこんなにいるんだというのに気付かされました。それがすごくありがたい。そういう方がアドバンテージになったと思います」


クリアソン新宿:岩舘直選手
Q.1次ラウンドのおこしやす戦は出番がありませんでした。外から見るおこしやすと実際に戦ったおこしやすの印象を教えてください。
「1人1人の能力が高いというのは感じてました。自分たちは1人1人の能力というよりチームとしての団結力で勝負したいと思ってました。実際に戦ってみて、1人1人の個の能力の高さを実感しました。終始ゲームは僕たちのペースでできてると感じていたんですけど、少し気を抜くとすぐひっくり返されそうな展開でした」

Q.おこしやすのFW陣の対策は?
「守備の選手の横の間隔、距離感を離さないように。1対1でやり合わないように。各々がカバーし合える距離感で戦おうということを常に意識してました」

Q.1次ラウンドと比べてのチームの成長ぶりは?
「1次ラウンドでは自分たちで難しくしてしまう、危ないゲーム展開にしてしまう。そういったところが見えてました。自分たちのペースを掴みながら、相手に一発カウンターで差し込まれないことを意識しながらトレーニングしてきた。今日無失点で止められたことが成長の証かなと思います」

Q.おこしやすの尾本選手と水戸ホーリーホックで共にプレーしていました。大会前にお話などされましたか?
「対戦が決まる前から連絡はとってました。プロを辞めて働きながらサッカーを続けてる状況が似てることも知ってたので。サッカー以外のことも聞いてて。そういったことで情報交換してました。今回対戦することが決まって、昨日も練習場一緒になりましたし、お互いに良いプレーしようとか、得意なところでやり合いたいねとか話してました。今日も最後に尾本さんが出てきて、最後ヘディングで突き刺しに来てるのは感じてました。せめて尾本さんだけにはやられないぞ、尾本さんにやらせるなら自分で掴みにいくぞという気持ちでやってました(笑)。最後は気迫を感じましたね。向こうは尾本さん最後でしたし、終盤に原一樹選手も入れてきて、目に見えない力も働くところで。こっちも食われないようにやりたいと思ってました。まだまだ僕は現役を続けるつもりなので、こっちはまだまだやりますという気持ちで戦えたらと思ってました」

Q.今後への意気込みを
「関東リーグは開幕戦以降無観客で戦ってきました。久々に皆さんの前でプレーできたことが本当に嬉しいです。平日の昼間ということで、残念ながら来られない方もいらっしゃいます。その中で会社を休んででも来てくださる方も沢山いました。その中でプレーできることを改めてありがたいことだと感じてます。金曜日もありますけど、今日の僕たちの試合を見て、また見たいと思ってくれたら嬉しいですし、また次来てもそう思ってもらえるような試合をしたいと思ってます」

取材・文:湯郷五月

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