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新型コロナウイルス禍の中で-黄誠秀選手インタビュー-

 2020年の日本列島を襲った新型コロナウイルス禍は、スポーツ界にも多大な影響を及ぼした。それはサッカー界も例外ではなかった。
 JリーグはJ1・J2が第1節を終えた時点で長い中断期間に入った。J3は開幕延期、なでしこリーグも同様に開幕延期とせざるをえなかった。
 社会人サッカーへの影響も甚大だった。JFLは開幕延期及び第1節から第15節を中止とした。各地域リーグもリーグ戦の縮小やトーナメント化が余儀なくされた。また、JFL昇格枠争いにも関わる全国社会人サッカー選手権大会(通称・全社)も中止となった。
 その中で、今回は関東1部リーグを戦うCriacao Shinjuku(クリアソン新宿)の黄誠秀(ファンソンス)選手にお話を伺うことができた。現場で戦う地域リーガーが感じた今をお伝えしよう。

 本文に入る前に、クリアソン新宿というクラブについて簡単に紹介しよう。昨シーズン関東2部リーグに昇格したクリアソンは、初参戦のリーグで見事優勝。今シーズンから関東1部リーグに昇格した。東京都新宿区という東京を、そして日本を代表する大都市を本拠地に、将来のJリーグ参入を目指す新進気鋭のクラブである。
 クリアソンの特徴は、クラブの運営会社である株式会社Criacaoがサッカークラブの運営だけでなく、教育事業やコンサルティング業務もこなしていることにある。チームで戦う選手は株式会社Criacaoに雇用されており、サッカー以外の仕事にも従事しながら選手としてトレーニングや試合に挑んでいる(なお、全ての選手が株式会社Criacaoで雇用されているわけではない。他の企業で働いている選手もいれば、学生選手も所属している)。
 クラブの運営会社が選手を雇用するという体系は、株式会社Criacaoの事業にサッカークラブ(スポーツクラブ)の運営があるという点で、Honda FCのような実業団チームとは異なる。あくまでクリアソンは純然たるクラブチームなのだ。その画期的な運営方法は、社会人サッカー界にセンセーショナルな新風を巻き起こしている。
 そんなクリアソンで昨年から戦っているのが、今回インタビューをさせていただいた黄誠秀選手である。ジュビロ磐田、ザスパクサツ群馬、大分トリニータでJリーグ通算100試合以上に出場、大分時代の2016年にはJ3優勝も経験、北朝鮮代表候補にも選出されたことのあるベテランが、まず新型コロナウイルスによるチームの変化から口を開いてくれた。

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