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地域CL2021決勝ラウンド2日目レポート

FC徳島0-2おこしやす京都

寸評:初戦で敗れたチーム同士の対戦。1戦目とは異なり、徳島が立ち上がりから攻勢を見せる。積極的な相手に翻弄されたお京都も次第に流れを取り戻し、サイドを起点に仕掛けていく。しかし、最後の精度を欠いてネットを揺らせない。ATには高橋が抜け出して決定機を迎えるも枠を捉えられなかった。
 後半は立ち上がりからお京都が猛攻を見せる。すると67分、里出のタックルが危険なプレーと見なされ一発退場。徳島は微妙な判定に泣かされ、数的不利に立たされる。勢いを増すお京都は75分に原一樹を投入すると、ファーストタッチで清川のゴールを演出。終盤に青戸の貴重な追加点も飛び出したお京都が、勝って最終日に望みをつないだ。


おこしやす京都AC:瀧原直彬監督
「まずしっかり結果を出せました。1-0から2点目を取りに行く姿勢を見せて、そこを結果に表せた。選手を称えたいと思います。(イブラヒムの先発起用は)プランとしての起用です。徳島さんはビルドアップをしてくる。相手の後ろのディフェンスラインの形に対して準備をしてきました。想定より徳島さんがサイドの強みを出してシンプルな展開で、入りは押し込まれるところもありましたが、そこも選手が対応してくれたと思います」

Q.青戸選手と清川選手の起用について
「イブラヒムが前半から特徴を出して背後への抜け出しをやってくれた。相手のディフェンスラインがかなり疲弊してくると考えてました。その中でスペースができたので青戸の得点力、清川の個人の打開力が活きると考えていました」

Q.次戦への意気込みを
「これまでの決勝ラウンドで自分たちが経験したことない黒星からのスタートでした。残り2戦を勝つことで自分たちで次のラウンドに進めるというのは全体に伝えてます。あと1戦勝って自力で勝ち点6を掴みたいと思います」

Q.立ち上がり押し込まれましたが?
「想定としてはビルドアップを徳島さんがしてくると考えていたんですが、シンプルにWBを使ってきた。出だしとしては想定とは違う形になりました。ただ、徳島さんの強みも理解してましたし、そこへの対応は徐々にできたと考えてます。もう1つ前半から攻撃でギアを上げられたら更に良かったと思いますが、前半0-0で折り返したことが後半につながったと思います」

Q.按田選手が痛めながらも前半最後までプレーしましたが?
「本人の意思でいかせました。本人もいけると言ってました。交代回数もありますので、そういったところも睨んでの起用となりました」

Q.1戦目敗れましたが切り替えは?
「過去に初戦勝ってその後落としたこともあります。2年前は高知さんが初戦落として連勝して、最後に自分たちが負けて上がられた経験もあります。そうなっても(初戦落としても)自力で突破できることを伝えながら、勝ち点3を2回取って勝ち点6を取れば自力で(突破できる)というところはチームとして方向性決めてやってます。もう失うものはないですから。自分たちは勝ち取りにいくだけ。切り替えられてます」


おこしやす京都AC:清川流石選手
「終盤で相手も1人少ない状況で誰かが点取るしかなかった。思い切って振れました。加入してから中々出番得られませんでしたが、干されてたわけではないですし、チームのやりたいことと僕のイメージしてたことをすり合わせる期間になりました。出られてない時間も外から見てて、こういうプレーしたら良いと勉強する時間だったので、それが今日につながったと思います」

Q.サポーターへのメッセージを
「うちは初戦負けて今日の結果次第では厳しい戦いになる可能性がある中ですが、ピッチの上で全員がハードワークして勝ち点3を取りにいくだけです。サポーターの皆さんの声援も僕たちの背中を押してくれます。それに応えるだけです」

Q.大会に向けて個人的な意気込みは?
「僕は(昨年末に愛媛FCを退団してから)中々チームが決まらない中でサッカーをできない苦しい時間があった。ピッチで味わった悔しさはピッチの上で返すしかない。人一倍その思いは強いです。明日もそうですし、これから先もずっとこうやって表現したいと思います。(無所属の期間は)練習参加させていただいたり、自分で体を動かしたりして。その時間も今日こういう風に結果が出て、無駄じゃなかったと思います。良かったです」

FC徳島:阿部貴也監督
「地決に向けて色んな方々に応援していただいたり支えていただいてる中で、結果が出せなかったことを残念に思いますし申し訳ないです。まだ明後日あるのでがんばります。今日の試合に関しては、自分たちのやるべきことを背負って選手たちはプレーしてくれました。前半良いプレーができて0-0で折り返せた中で、残念な退場者が出てしまった。そこでチームとしてもメンタル的に落ち込みましたし、僕自身も対応できなかった。チームのみんなに対して申し訳ないです」

Q.立ち上がりは良かったですが?
「前線は良い選手が揃ってる。誰が出てもそれぞれの特徴を出しながら各選手のやるべきことをやってくれる。前からの守備ではめ込んで自由に蹴らせずに抑え込めたと思います」

Q.次戦に向けて
「僕らは手ぶらでは帰れない。色んな人たちに支えられてる。その思いを背負って全てをかけて必ず勝って徳島に帰ります」

Q.今日で26歳の誕生日ですが、お若い中で素晴らしいチーム作りができてますね
「普通の会社員をやりながら練習に行かせてもらってます。今年頭から監督やらせてもらって、四国リーグが途中で打ち切られた中で戦ってきて、僕自身も若いとか経験ないとか言われてました。ないものはないで割り切りながらやってきました。自分についてきてくれた選手に感謝しかないです。半信半疑の中、ここまで来た選手たちを誇りに思います」


FC.ISE-SHIMA 0-0クリアソン新宿

寸評:初戦で勝利したチーム同士の対戦ら、出足の鋭さと強度の強さが目立つ一戦に。球際でのぶつかり合いも激しくなった前半は、互いにシュート3本ずつに終わった。
 後半も互いに運動量を落とすことなく走り合いが続く。伊勢志摩は堅い守備を軸に相手ゴールに迫るも、最後のところでやらせてもらえない。クリアソンも終盤、自然と沸き起こった手拍子の中怒涛の攻めを見せたが、GK増田の攻守にも阻まれ得点ならず。激しさあふれる一番は痛み分けに終わった。


FC.ISE-SHIMA:小倉隆史監督
「最低限引き分けも想定はしてました。ゲームの中で最後のところ押し込まれてよく凌いで、クリーンシート続けてくれて良かったです。欲を言えば勝ちたかったけど、新宿さんも守備が堅い。中々決定機作れなかったですね。徳島さんとやった時も初戦の緊張感もあって足止まったところもあった。後ろ重たくなると結局受けてしまう。最後の方もそういう形になりましたけど、立ち上がりからしっかり自分たちの前から行くところは徹底するように、と(伝えました)。間で受けられるとは思ってた。そこでしっかりつないでいこうとしたけど、立ち上がりは怖がってつなげなくて。前半途中からやれるようになった。最後は少し息切れかなという感じでした。それが最後までいけると良いんですけど難しいですね」

Q.勝ち切るために必要だったものは?
「こういう試合の中で、周り見られる、アイデア、精度というところ。そこの部分かなと思います。動き出しだったり、最後の精度やアイデアといったところがもっと出てくると、もう1つ面白い段階に入ると思います。そこの足らなさは僕の責任です」

Q.最終戦への意気込みを
「しっかりと勝てるように。2試合終わって疲労もあると思うので、しっかりとコンディション面整えさせて勝ちにいきたいと思います」

Q.クリアソンさんの印象は?
「元気ですね。アップの時から大きな声出して。元気良いし、見たことあるような元Jリーガーもいますしね。技術もあってフィジカル的にも強いチーム。やっぱり強かったです」


FC.ISE-SHIMA:増田将選手
Q.終了間際にビッグセーブが飛び出ましたが?
「上にボールが上がった時に、味方でシュートの出どころが見えないとわかった。ゴールラインまで下がってから、止められる範囲は止めようと思って構えました。運良く自分の触れるところに来たので良いところで弾けた。いつも練習でやってる通りのことができて良かったと思います」

Q.相手の攻撃陣の印象は?
「すごい走りますね。めちゃくちゃ走るし、前向きな声をみんなかける。岡本達也さんが被ってないんですけどジュビロ磐田ユースの先輩で、試合前にお話しさせていただいて。めちゃくちゃ良い人だなと思って。どんなプレーヤーなのかなってワクワクしてて。(相手に引っ張られるように自分も)楽しんでサッカーすることができました」

Q.次戦への意気込みを
「5試合連続クリーンシート。6試合連続狙います。欲言わず練習通りのことを試合で発揮できるように、今から良い準備をして次のラウンドに行けるように全力を尽くしていきたいです」

Q.クリーンシートの要因は?
「CB含めみんなが体張ってディフェンスしてくれてます。僕やディフェンス陣に限らず、チーム全員でできてるクリーンシート。(みんなが)走れてることが継続の要因だと思います。連戦でフィールドプレーヤーはキツいと思います。すごい消耗してるにもかかわらず走れてる。このチームは勢いがある。真野(直紀)選手は30超えてても中身は若くて、下の子とちょけてたり。そういう意味ではフレッシュで良いチーム。勢いがあると思います」

Q.勢いとは?
「去年の東海リーグがトーナメントになって初戦で負けてしまった。その悔しさが今年に上手くつながった。小倉さんが来てから3年。僕も同タイミングでこのチームに来たんですけど、その3年間の積み上げがあって今があると思います」


クリアソン新宿:成山一郎監督
「悔しさと、悔しさの中にポジティブな感情があります。沢山観に来てくださってる中で自分たちの力を出し尽くせたという充実感もあります。残念ながら点取れずに勝ちを見せられなかった悔しさもあります。半分半分くらいですかね。伊勢志摩さんの守備がすごく良かった。公式戦でも東海リーグで1失点してるだけ。うちのコーチたちも分析してくれて守備が堅いと話はしていた。わかっていたんですけど、実際にやってみるとすごい良い守備してくる手強い相手だと思いました」

Q.多くの観衆が集まりましたが?
「本当に嬉しいですしありがたいです。だからこそ、最後一緒に喜びたかった。その辺は残念でした」

Q.次戦に向けて
「地域CLはすごい大会だと改めて実感してます。どことやっても強いチームです。徳島さんも強いチームだと思います。お互いが良さを引き出し合えて、一昨日や今日のような白熱したゲームになるように全力で準備して臨みたいと思います。引き続き応援よろしくお願いします」

Q.伊勢志摩の守備に対しての攻略法は?
「相手が4バックでうちはWBがいるフォーメーション。4枚の距離がすごく良い。幅使いながら4枚広げた瞬間に、どこかでプラス1名、4枚に対して5枚になるようにライン突破して出ていけたらズラせるんじゃないか、と。ズラせたらスピードと精度が要ると思いました。最後そこら辺が足りなかったのが反省残ります」

Q.終盤に自然と手拍子が起こってましたが?
「鳥肌ものですね。涙が出そうになるくらい嬉しかった。選手も同じように感じてると思います。伊勢志摩さんもしっかり集中し続けていた中、そこから力が湧き出た。自分たちも、点は取れませんでしたが、手拍子のところからまたチャンスを作れました。一緒に戦わせてもらってるとすごく感じました」

Q.バスで移動せず選手個々が自宅からスタジアムに来ているそうですが、瞬時に統一性を取れるものですか?
「会場に集まってから何かをしようというのじゃ手遅れです。集まる前にある程度意思統一はできてます。岩手でもバスを使わずに個々人で移動してました。コロナ禍ということで我々は新宿のチーム。しっかり対策して正しく行動することで、クラスターを起こさずに1年間活動できる。そういうことを新宿のチームができることは良いことだと思ってます。やれることは全部やろう、と。それでバスは使ってません。東京なので公共交通機関を使うことに慣れてる。リーグ戦も公共交通機関で各々で移動してました。特に今大会でみんなで集まって何かというのは最初から考えてませんでした。今までそういう風にやってきてまとまってないとは感じてないですし、このままで良いと思ってます」


クリアソン新宿:大谷真史選手
「率直に悔しいです。僕が決定機を外して引き分けという結果に終わって責任を感じてます。伊勢志摩さんも良いチームで手強い試合になった印象です。CBから気迫を感じましたし、そこに対してどう戦っていくのか、試合中何度も考えました。そこを崩せなかったのは自分の伸びしろだと感じます。成山監督は『仲間との距離、前に進む頻度を継続しよう』と。僕はFWなので前線を引っ張る意味で前に前にという気持ちでやりました」

Q.最終戦に向けて
「3千人の方がもしかしたら駆けつけてくれるかもしれない。本当に幸せですし、その中で自分はこのチームの理念や大事にしてるものを表現する者として全身つるくらいまでやり遂げます」

取材・文:湯郷五月

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