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私も。
随分、回り道をした気がする
そんな恋でした。
3年間の遠距離恋愛は、次に会える日までの1ヶ月がが1年に感じる位長く
やっと一緒に過ごせるようになってからは、あっという間すぎて1週間がまるで1日のよう
思い返すと、付き合い始めた当初からずっとそうだったかもしれない
彼が赤色が好きだといえば、私も。と返す
肉じゃがは、豚肉より牛肉が好きだと言うと
それも、私も!と返した
自分の意志が無い訳では無い
彼と好きを共感し、共有したかっただけだった
彼の好きなものを、私も好きになりたかった
ホラーは好き?俺は好き
…私も!
精一杯の強がりだった。
まさかその次のデートでホラー映画を見る事になるとは思ってもみなかった
私は怖い話が大の苦手、でも子供だなって笑われるのが嫌で強がった結果がこれ。
せめて、ポップコーンでも食べていれば気が紛れるんじゃないかと、大好きなキャラメルポップコーンとコーラを手に席に着い事を後々後悔することになる。
序盤も序盤、開始15分ほど
ありきたりな、振り向いたら…なんてシーンで
ビックリしすぎて抱えていたポップコーンを全部ぶちまけてしまい、頼みの綱を失った。
唯一の救いは、最後列で誰にも見られていなかった事。
映画が終わった後、2人で床にしゃがみこんでポップしてしまったポップコーンを拾い集めたのも
怖いの苦手なの?と笑われた事も
怖すぎて涙でドロドロになった顔で、怖くない!と強がったのも
どのシーンも、今でも笑い話の思い出。
そんな風に育んできた愛。
2人で幾度となく季節を越え
身内だけの小さな小さな結婚式。やっとこの日を迎えられた
指輪を交換し、誓のキスをして
結婚証明書にサインをする。
彼が書いた後に、少し小洒落たペンを取り証明書に目を落とすと
名前と一緒に書かれた文字
″愛してる″
気を緩めるとうっかり緩みそうな口元を、キュッと結び私もサインをした
″私も。″
きっと、これから
しわくちゃのおじいちゃんおばあちゃんになっても
彼が好きな物、好きな事を口にすると
私も。と応えるんだろうと思う。
そんなことを、寝息を立てる彼の横で綴ってみた
きっと、こんな事を書かれてると知ったら
やめろよーと不貞腐れるんだろうな。
逆だったら、きっと…
私も。
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