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ひざからにょろにょろ

昔々、っていうと「あるところに」ってつなげたくなるね。
これが日本人の性ってやつかな。
とはいえ今日は、桃から子供が生まれた仰天現象の話でも海中観光して時空を超えた話でもなく、私の普通の思い出話を書こうと思う。

あれは私が小学校一年生か二年生くらいのとき。

そのとき私は家に一人でいて、こう、膝を抱えて座ってたのね。
膝の頭に白いできものみたいなのが出来てて、「なんだろうこれ?」と思って、潰してみたの。
こう、両側から親指でぎゅーって。

そしたらにゅるにゅるって白いのが出てきたの。

大体こう、ニキビなんかでも出てくるじゃない?
核というか、ちょっと根性のある白い芯。
あれかなと思ったんだけど、それが結構長いの。
一センチくらい伸びて、「なにこれ」と思って手を離した。
そしたら、あとは勝手にゅるにゅると膝から出てきたんだよ。
うねうねしてて。

シャーペンの芯くらいの細さで、真っ白で、三センチくらいのうねうねしたものが膝から出てきた衝撃。

怖くなって、ティッシュを何枚か重ねて、ぎゅって潰して捨てた。
中を見る勇気はなかった。
また動き出したら怖いし。

そうめんみたいな見た目だった。
白くて、ちょっと透き通ってて。
でも、そうめんって自律行動しないからね。
膝から出てくることだってないしさ。

それが現実だったのか、当時から妄想力が豊かだった私が見た幻覚なのかがはっきりしない。
なにしろ他に目撃者がいないから。

私は今でもはっきり覚えてるんだけど、記憶って、改ざん出来るじゃない?
当時の私が真実だと思ったら、それが真実だと脳に記録されちゃうからさ。

しかも、あまりにも怖くて、当時誰にも言えなかったんだよね。
深刻な病気だったらどうしようって。
身体に虫飼ってると思われたらどうしようって。

小学校低学年なんかさ、ちょっと人と違えば「〇〇ちゃんて、変」っていじめられるじゃない?
そういうのも分かってた。
他のお友達がそんな話してるのも聞かなかったから、「やっぱり私、変なのかも」ってこう、ちょっと落ち込んだりして。

一回きりで、その後は一度もなかったんだけどさ。
だから「あの一回は真実だったのだろうか」という疑惑がいつまでも残ってる。

もしかした当時、児童文庫でムーミン読んでたから、ニョロニョロとなにかを混同したのかもしれない。
イメージが触発されて。
だとしたら妄想だから安心なんだけど。

今更確認する術はないので、真相は闇の中。
真実は迷宮入りしました案件。

きっと私は一生この謎と共に生きていくんだね。
幼い頃の私よ。
解決してあげられなくてごめんよ。

と、いう思い出話。

最後まで読んでいただいてありがとうございました。
次回以降もお付き合いいただけると嬉しいです。
それではー。

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