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ハトノス広島講座

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私が「黒い雨」の再検証検討会に対して興味を示せない理由

私が「黒い雨」の再検証検討会に対して興味を示せない理由

 2020年11月16日、厚生労働省は「黒い雨」の援護対象区域を見直すための有識者検討会を開きました。そして、私はこの検討会についてかなり冷めた目で見ています。「広島―原爆」をまなざす者として黒い雨訴訟については注目してきたし、個人的にも黒い雨地域の拡大を望んでいます。今回は、この検討会がどのようなものか整理してみたうえで、タイトルにも記したように、私が醒めた目で見てしまう理由について記していきま

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「黒い雨訴訟」とは何か

「黒い雨訴訟」とは何か

 今年の夏、「黒い雨訴訟」を巡る判決がニュースとなりました。広島地裁が原告の訴えを認める判決を出し、その後国の要請によって被告である広島県・市は控訴した。このニュースについて、私の大好きなTwitterでは、(いつものように、)勉強になる投稿から見たくもない誹謗中傷まで沢山の声が集まっていました。でもどうしてかこのズレまくった誹謗中傷さえもなんだか「一理ある意見」的に見えてしまう、それが大変やるせ

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ハトノス広島講座④ 「分からない情報」への立ち向かい方

ハトノス広島講座④ 「分からない情報」への立ち向かい方

 「広島-原爆」についての演劇を作っているハトノス・青木が「今『広島-原爆』から何が見えるか」について考えていくハトノス広島講座。第4回目は「『分からない情報』への立ち向かい方」。情報の取捨選択について、私の体験を話していきます。

 過去3回と比べると「原爆」から遠ざかっているような気もしますが、原爆について考え始めた私が最初に出会った大きな壁についての話です。

■1.きっかけ ーなにが「陰謀

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ハトノス広島講座③「原爆の図」の持つ力が発揮されるのは”今”なのか

ハトノス広島講座③「原爆の図」の持つ力が発揮されるのは”今”なのか

「広島-原爆」についての演劇を作っているハトノス・青木が「今『広島-原爆』から何が見えるか」について考えていくハトノス広島講座。第3回目のテーマは「原爆の図」です。

現在、「原爆の図」を所蔵・展示している原爆の図丸木美術館がコロナウイルスの影響を受けて休館しています。今後も美術館を継続して運営していくために、今回の減収について寄付の呼びかけが美術館からなされています。ハトノスでは勝手ながら今回の

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ハトノス広島講座② 原爆ドーム―歳をとらない被爆のシンボル―

ハトノス広島講座② 原爆ドーム―歳をとらない被爆のシンボル―

 「広島-原爆」についての演劇を作っているハトノス・青木が「今『広島-原爆』から何が見えるか」について考えていくハトノス広島講座、第2回で取り上げるのは皆さんご存知「原爆ドーム」です。

 前回被爆建物である「広島陸軍被服支廠」の保存について取り上げました。今回は既に永久保存が決定している「原爆ドーム」の今について見てみましょう。

↓前回の記事です。文字ばっかりだけど読んでね。

■1.原爆ドー

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ハトノス広島講座①-広島陸軍被服支廠の存廃議論から考える「被爆建物を残す理由」が必要な理由-

ハトノス広島講座①-広島陸軍被服支廠の存廃議論から考える「被爆建物を残す理由」が必要な理由-

 私は「広島-原爆」というものを身近なものと感じながら生きてきました。自分の価値観を形作る中での大きな要素として、広島を離れた今でも自分の中に持ち続けています。私の書いて来た戯曲のほとんどは「広島-原爆」を起点にしています。自身を振り返ると、ハトノスの公演もまた、「広島-原爆」の発信なのでしょう。ここまでこれに価値を感じて取組んできたし、それはこれからも変わりません。けれども、その活動を変わらずに

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