47都道府県へのサッカー旅という無謀な企画がはじまった"思わぬ理由"
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47都道府県へのサッカー旅という無謀な企画がはじまった"思わぬ理由"


今日はサッカーの日だ。

家を出て、スタジアムへ行こう。

すたすたぐるぐる、歩いて行こう。

スタジアムにはなんだってある。

試合がある、スタジアムグルメがある、ビールがある、音楽がある、たくさんのサッカー仲間がいる。

サッカーを観に行こう。その前後にすたすたぐるぐる歩いてみよう。

そんなことをしているうちにサッカー仲間が集まってきた。

そして、サッカーの愛し方を語っているうちに、『すたすたぐるぐる』という本になった。

この本はサッカー旅の本。旅の本だから、サッカーという競技について詳しく知らなくても大丈夫。


(後略)

『〝サッカー旅〟を食べ尽くせ! すたすたぐるぐる 埼玉編』
序文「日本全国すたすたぐるぐる宣言」より

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この企画の趣旨を表した序文を引用してみました。

序文というものは本当に大切で、序文にやる気がない本はたいてい良くない本です。逆に、序文から気合いがみなぎっている本は内容も素晴らしいことが多いです(序文だけで力尽きていることもあります)。

これは拙著『サポーターをめぐる冒険』(ころから)を書いた時に、パブリッシャーの木瀬さんから教わったことでもあるし、その後書店員をしながら痛感したことでもあります。

本の顔は表紙です。
そして序文は、本の魂なのです。

ライターとは文章を生産することを生業にしている人のことを指します。大事なのは納期までに規定の文字数を埋めることです。

一方で物書きというのは、文章に魂を込める人のことです。これはぼくの定義なので、一般性はないかもしれませんが、ぼくはそう思ってやってきました。

魂を込める——。

ぼくが1番好きな序文は『ジャン・クリストフ』です。

いずれの国の人たるを問わず、

苦しみ、闘い、ついには勝つべき、

あらゆる自由なる魂に、捧ぐ。

ロマン・ローラン

『ジャン・クリストフ(一)』(岩波文庫) p.20


魂を込めて書くということを教えてくれたのは、ロマン・ローランでした。生々しい言葉と燃えるような文章、そして、美しい清らかな理念。ロマン・ローランの文章は、単なる情報ではなく情動であり芸術でした。

『サポーターをめぐる冒険』の序文も魂を込めて書きました。

「浦和レッズのサポーターって怖いの?」

友人にそう聞かれた時、ぼくは歌ってみせることにした。

「これは、浦和レッズのサポーターが一番大事にしていて、勝負所で歌う曲なんだ」

ぼくは「プライド・オブ・ウラワ」という曲を大きな声で歌った。友人は、
その優しく穏やかなメロディーに驚いていたようだ。


『サポーターをめぐる冒険』(ころから)


今読み直すと、文章が上手とはいえないけど、その時の全力は尽くしました。まだ経験も実力も乏しかったから、魂を込めて書き切ることだけに集中したことを覚えています。

この本は、分不相応にも「サッカー本大賞」を受賞しました。けど、それは実力があったからというよりは、ぼくが一番気合いが入っていたからだろうと思っています。実際に、その後は実力不足で酷く苦しみ、ある程度書けると思うまで5年間、足掻きました。

今になって思いますが、物書きが成長するためにはこのくらい時間が必要なのでしょう。ちまたでは「文才がある」とか「ない」とかいう議論が出ることもありますが、才能があろうがなかろうが、少なくとも10年は必死に書き続ける必要があるようです。

これから文章を書こうと思う方には是非読んで欲しい記事があります。ぼくが大学院を飛び出してライターと名乗りはじめたころに書いたものです。

「設計で大切なのはセンスだ。センスは時代を先駆ける。技術は後からついてくる。」

「ブラボー 美しい夢だ。創造的な人生の持ち時間は10年だ。設計家も芸術家も同じだ。君の10年を力を尽くして生きなさい。」


ぼくの10年はまだ過ぎていません。まだ2年は創造的に使う余地があります。もちろん10年というのは1つの目安なのですが、そこまではやればやるほど伸びると考えて、一生懸命書いていこうと思います。

というわけで一生懸命書き始めた時期に書いた記事がこちら。

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この記事では、Jリーグを初観戦した僕が、その価値に気付いていく過程を描いています。この記事が信じられないほどの勢いで拡散されたところで運命が変わりました。

一瞬で10万PVを超え、サーバーが吹き飛んだのは懐かしい思い出です。その後、Jリーグに金をもらって書いている説なども出ましたが、すぐに鎮火しました。

その時、サポーターといわれる人達から繰り返し言われたこと。

FC東京vs鹿島アントラーズの試合で、こんなに感動していただけるなんて…
次は是非、埼スタでレッズ戦を観戦してください。
非日常どころか、人生観、変わりますよ。
浦和レッズサポーター(ブログコメントよりクラブ名のみ改変)

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いい記事をありがとうございます。
スタジアムでの楽しみ方は十人十色ですね。
熱く応援する人、スタジアムグルメをあれこれ楽しむ人色々居ていいと思います。

東京といえばJ2の東京ヴェルディもありますし、JFLには町田ゼルビアも所属しています。実際に色々なスタジアムに足を運ばれてみるのをおすすめします。(できればIAIスタジアム日本平にもおいでいただけるとありがたいですが遠いですね・・・)

清水エスパルスサポーター

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良い記事をありがとうございました。私の周りにも『サッカーは好きだが、興味の中心は「自分でプレイすること」、「日本代表」および「海外サッカー」』な友人がたくさんいるので(笑),早速FB等で共有させていただきました。「これはサッカーの問題じゃなくて、人生の問題なのだ。」
まさにその通りと思います。私は海外在住のレッズサポですが,スタジアムでの応援には行けなくとも,試合結果や選手コメントのチェック等は生活の一部です。

味スタ通いに慣れてきたら,是非次はアウェーの埼スタへお越しください!

浦和レッズサポーター ほりけん氏
(もしかしてOWL magazineで書いているほりけんさん?! )


このようなコメントがたくさん並んだ。数えた限りでは2000件以上はいただきました。

すべてはもう見つけられないのですが、はてなブックマークコメントはまだ読めます。

「私の応援する○○にも来て下さい。」こう言われ続けた結果、そこに行ってみることにしたわけです。

ぼくの活動って、よく考えるとこれがすべてなんです。

来て欲しいと言われたところに行って、それを文章にする。それだけのことをやってきたわけです。

お金にならない、というよりも、計算するまでもなく完全なる大赤字です。地方へと行脚し、宿泊してご飯も食べると、安くても3〜5万円はかかります。

しかし、記事の買い手はいません。いたところで2〜3万円程度でしょう。どうやっても赤字になるわけです。ぼくの月収は月あたり10万円いかないことも多かったので、国内旅をするのも命がけです。

赤字に赤字に赤字なので仕事としては続けられないのですが、ぼくは全国の都道府県にサッカーを観に行き、ついでに観光するという「活動」をし続けてきました。

文章にするつもりがうまく書けずにただ行っただけのこともありました。なんで自分はこんなことをしているんだろう。楽しいからいいんだけど、楽しいだけでは家族に負担をかけるばかりで何にもならない。

そう自問自答することもありました。それでも、行き続けました。書き続けました。

そして、旅とサッカーを紡ぐウェブ雑誌OWL magazineを作って書き続けました。このマガジンにはもう100記事以上書いています。

「私の愛する地域を見に来て下さい」

これってとっても素直で純粋な言葉だと思うのです。だからぼくは見に行き続けてきたし、これからも見に行きます。そして書きます。

それを継続した結果、『〝サッカー旅〟を食べ尽くせ! すたすたぐるぐる』という企画に辿り着いた。ただ、それだけのことです。

「国内旅なんて地味だよね。」

そう思っていた時代も確かにあります。けど、Jリーグに出会って以来、国内旅が楽しくて仕方がありません。その楽しさを突き詰めて、濃縮して、それを色んな人の視点から組み合わせたものが『〝サッカー旅〟を食べ尽くせ! すたすたぐるぐる 』です。

マーケティングの考え方だと需要が多いところを狙うべきなんでしょうが、我々は47都道府県すべてを回ります。

勝算はありません。売れないところもあると思います。でも、ぼくは自分の経験から確信をもっています。日本全国につまらない都道府県など存在しないということを。

そして、そのすべては、見に行くべき価値があるし、文章にする価値があるということも。

この企画はそれなりにお金がかかります。こたつ記事ではなく旅記事だからです。また、ずっと大事にしてもらえるように装丁などにも気をつかっています。

今までお金にこだわったことがないのですが、この企画だけは何としてでも経済的に成功させる必要があります。そうでなければ、47都道府県をすべてまわることは不可能でしょう。

ぼくを動かしているのは、ぼくの人生を変えてくれたサポーターの先輩達の言葉です。

もっとJリーグを楽しんで欲しい、愛して欲しい、色んなところを見に行って欲しい。

2013年に頂いた言葉が本当に嬉しくて、それがぼくの人生になりました。


クラウドファンディングによる先行販売は、残り2日です。

額面は88万円となり、プロジェクトは成功しています。しかし、本の制作にかかる費用はおおむね150万円と想定しています。だから半分くらい回収できるかというところです。つまり現状では大赤字です。

この企画を続けて行くためにはもっと大きく成功する必要があります。

そのためには一人でも多くの皆様に、ご購入いただく以外の方法はありません。出版社は、本の売り上げ以外に収入はないからです。

良い本を作り、一生懸命売る。

それが我々に出来る唯一最大の手段です。

だから、もう一度言います。是非この本を買って下さい。そして読んで下さい。この本には魂が籠もっています。

これまで存在しなかった、本当の意味で「地域密着」の現状と向き合った本です。と、同時に非常に気楽に読めるツーリズムの本です。

今ならお名前が書籍に掲載されるプランもあります。あと2日が過ぎると、永久に機会が失われます。

是非ご検討下さい!!!


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スポーツと旅を通じて人の繋がりが生まれ、人の繋がりによって、新たな旅が生まれていきます。旅を消費するのではなく旅によって価値を生み出していくことを目指したマガジンです。 毎日1本の記事を更新しています。寄稿も随時受け付けています。

サポーターはあくまでも応援者であり、言ってしまえばサッカー界の脇役といえます。しかしながら、スポーツツーリズムという文脈においては、サポー…

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中村慎太郎 旅とサッカーを紡ぐOWL magazine

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タクシードライバー、文筆家、会社経営者。 東京23区を中心にタクシー営業中(休業中)。愛する東京が職場です。 旅とサッカーのウェブ雑誌OWL magazine代表。サポーターを主役にした紀行文を書き連ねています。 株式会社西葛西出版代表取締役社長。本を作ってます。