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武蔵野サポーターよ、消えてはならぬ。JFLの行く末を曇りなき眼で見定めよ!



おお、なんということだ……。

信じられないことが起こった……。

この記事では、武蔵野シティと東京ユナイテッドの提携についてやや穿った見方をする。それを踏まえて、緊急放送のラジオをキャプテンさかまき(武蔵野サポーター)、コンスレンテつじー(札幌サポーター)、中村慎太郎(著者、FC東京サポーター)の3人で討議したい。

この記事の段階では、少し波風を立てるような言い方をすることになるのだが、あくまでもそれは、ぼくの正直な気持ちである。正直な第一印象である。

ぼくがいかに懐疑的に感想を言おうが、物事は動き出している。この流れが止まることはないだろう。最終的には、武蔵野ユナイテッド……でいいんだっけ?正式に言うと東京武蔵野ユナイテッドFCであった。このクラブの先行きを応援するという姿勢になるかもしれない。

とにかく、自分の正直な気持ちをまずは書く。
その上で3人で語る。最後にこちらは購読者限定となってしまうのだが、討論を踏まえた上での所感を書くつもりである。

さて。

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これは、OWL's Forestという我々のクローズドコミュニティの書き込みである。気になる人もいると思うので説明するとLVは黙々会という文章をひたすら書くワークショップで、経験値を積むと上がるシステムになっている。

クラブ名間違えて載せるなんて、JFLはのんびりしてるな。ぼくは、そのくらいに思っていた。そして、クラブ名を変更するにしても、シティからユナイテッドというのは、サッカー界の感覚からするとありえないことである。

でもまぁそういうこともあるのかな、とは思った。シティという名前だとサッカークラブ感が出ないため、ユナイテッドにしたのかなと。

世界三大ユナイテッドと言われる強豪クラブがあるおかげで、この名前は非常に通りが良いのである。

世界三大ユナイテッド
マンチェースターユナイテッド
ジェフユナイテッド千葉
福井ユナイテッド

鹿児島ユナイテッド、高知ユナイテッドなども気まぐれで入ることがある。

というわけでぼくは安穏としていたのだが、武蔵野サポーターであるさかまき氏は当惑していた。


そして、リリースが……。


まさかの東京ユナイテッドとの合併であった。いや、合併。吸収合併などという言葉を使うと雨あられのように非難が降ってくることは目に見えているため、慎重にその言葉は避けている。

提携および共同運営である。運営であって経営ではないというのも味噌かもしれない。

以前僕が務めていたITベンチャー起業もメルカリ社に買収されたのだが、その理由は競合アプリを潰すためだと考えられる。しかし、買収と言われてしまうと険が立つので、そうならないように「ジョイン」という言葉を使っていた。

アホかと思うが事実なのである。渋谷のIT業界はルー大柴化が著しいのだ。ちなみにぼくを含めた2人の契約社員んと1人の正社員は、社員がジョインしてしまい誰も残っていないゴースト起業となった会社に所属して半年以上渋谷を彷徨うことになる。

ぼくらの運命はともかく、買収とか吸収という言葉は避けているのではないかとにらんでいる。

実際のところ、メルカリにジョインしていった鶴田氏は1年半程度在籍して、退職したらしい(本人のブログによる)。もちろん、ジョインした人の雇用は維持されているのだろうが、やはり競合崩しが目的だったんだろうなと当事者としては思う。

ぼくは経営についてもITについても詳しくない。しかし、文章ならばわかる。文章を読めば書いた人の意図を予測することが出来る。そして、先ほどの東京ユナイテッドの出した告知分からはどうも「ジョイン」と同じ香りがするのだ。

これはぼくの邪推かもしれない。いや邪推であってくれたほうがいいだろうな。

昨今のコロナ禍がもたらす社会への影響は甚大であり、サッカー界においても今後の展望が見通しづらい状況において、クラブの安定運営と持続的発展のためには、さらなる運営基盤の強化と運営リソースの効率化を図るとともに、新たな経営戦略が必要と判断いたしました。

それらしいことが書いてある。が、この文章はわざと抽象的でわかりづらく書いてある。

コロナ禍で先が見通せない←わかる
安定運営が必要←わかる
運営基盤の強化が必要←なんのこと?
運営リソースの効率化←なんのこと?

運営リソースを効率化しようと思った場合には、遠く離れたところにあるクラブと提携するのは果たして正解なのだろうか。また、決して強固とは言えない武蔵野シティの状況を鑑みるに、提携したところで果たして運営基盤なるものは強化されるのだろうか。

というか、そもそも運営基盤とは何だろうか。

定義されていない抽象用語を多用している文章は非常に怪しい。これはぼくの感覚であるが。

クラブとそこに関わる方々の未来のみならず、日本のサッカー界の未来について様々な議論を重ねてまいりました。

こういうのを読むと、「サポーターとか地域の人のことについては、考えていないわけじゃないんだけど、もっと優先することがあるからね。」と切り捨てるためのエクスキューズ(言い訳)に見える。

ぼくの出身の東京大学では、この手の文章を作るのに長けた人が量産されているのだ。そのあまりのわかりづらさに辟易して、ぼくはわかりやすい文章を少しずつ身に付けていったのだが、それはまた別の話。


武蔵野市と文京区を拠点とする二つのクラブが提携しトップチームを共同運営することで、武蔵野市以東 文京区を包含するエリア、すなわち「東京のど真ん中(the Heart of Tokyo)」から、都民の暮らし、そしてココロを豊かにし、多種多様な社会課題を解決する、新しい都市型スポーツコミュニティの創造を目指します。

この文章は1文が非常に長く、理解させるよりも煙に巻くような書き方をしている。一読しただけで理解できる人は多くないと思うので、少し構造を分解してみよう。



武蔵野と文京のクラブが提携する。

それによって、新しい都市型スポーツコミュニティを創る。

どのような新しいコミュニティなのかというと……。

まず、それは東京のど真ん中から発信される。

そして。

都民の暮らしを豊かにする。

ココロを豊かにする。

多種多様な社会問題を解決する。


わかりますか?2クラブが提携したことで、多種多様な社会問題が解決します。東京都が抱えている社会問題といえば、「少子高齢化」「待機児童の増加」「ヒートアイランド現象」「交通機関の混雑」「外国人へのインフラや制度の整備」あたりであろうか。

一応東京都の社会状況に係わる主な意見という東京都総務局の資料を参照した。

さて、2クラブが提携すると、このような社会問題が解決するのだろうか。そんな細かいことまで見るなと言われてしまうかもしれないのだが、そんなに意地悪に細かく見ているわけではない。単純に書いてあることを読み解いているだけなのだ。

都民の暮らしを豊かにすると書いてあるのだが、さて、この2クラブが提携することによって、どうして我々の暮らしが豊かになるのだろうか。試合を観ることが出来るというのはあるだろうが、試合数は提携前と変わらないのである。

従って、クラブの社会貢献活動が大幅に増加しない限りは、東京都民の暮らしは豊かにはならないのではないだろうか。また、その後でなぜかカタカナで「ココロを豊かにする」と書いてあるのだが……。どういうことなんだ……。

カタカナでココロという言葉を使う意図はなんだろうか。正直ぼくにはわからない。あまりの具体性の低さを誤魔化すために装飾したようにしか思えない。

まるで官僚が書いたような文章である。もっとも官僚はもう少しうまく書くのだが。

具体的にどのような社会問題を解決するつもりなのだろうか。そして、東京には他にもクラブがある。特にJ1にはFC東京、J2にも伝統ある東京ヴェルディ、そして危うくFC町田トウキョウに改名するところだった町田ゼルビアがある。

従って、2クラブの提携によって生まれた武蔵野ユナイテッドは、FC東京や東京ヴェルディおよび町田ゼルビアでは達成できていないことに取り組む必要がある。

それが、東京都民の暮らしを豊かにすること、ココロを豊かにすること、そして社会問題の解決することである。

意地悪なこと言うなよって言われてしまいそうだけど、そう書いてあるんだもの。

わかりましたよ。わかりました。ついつい、ガリ勉くんとして司法試験の勉強に取り組んでいた頃の血が蘇っただけですよ。


もっと踏み込んだ話をしよう。

というよりも、ここについては、ぼくがわざわざ言わなくても、多くのサッカーフリークは感じ取っていたことだろう。

この煙に巻くような内容の薄いリリース文の裏にある、東京ユナイテッドの狙い、あるいは武蔵野シティの狙いは何か。

東京ユナイテッドは、提携するという形でJFLへと昇格することが出来る。武蔵野シティはクラブの運営という重責から開放される。WINWINである。

ならいいじゃないか。とkitenのふくやんからは突っ込まれてしまった。

※最近コロナでご無沙汰だけどふくやん元気かしら。イベントやりたいと思いつつもイベントが出来る状況になかなかならない。ふくやんは拙著の出版記念講演で共演して頂いたご恩のある明太子なのである。


藤枝さんの話はさておき。
JFLを経ないでJ3に上がったクラブも別問題なのでさておく。

東京ユナイテッドの運営と武蔵野シティの運営がWINWINならばいいのかどうか、である。

これは明瞭である。

駄目ーーーー!!!!!!


どうして駄目なのかというと、サッカークラブというものは地域の人に対してベネフィットを提供しなければ存在価値がないのだ。もちろん、地域の人を無視して、独立したエンターテイメント団体としてやっていくという方法もある。そして、そのほうが潔いのも事実である。

しかし、それでは回らないのだ。他のクラブは、地域に貢献するという名目のもと、練習場所や試合場所の提供など様々な支援を受けながら何とか運営している。

そんな中で、吹けば飛ぶような地域リーグのクラブが独立採算制を訴えたところでうまくいくわけがないのだ。もちろん、そういう道もあるのだが、それはあくまでもアマチュアリズムだから成立することなのである。

Jリーグにはプロフェッショナリズムが求められる。また理念として地域密着を掲げているため、Jリーグ入りを視野に入れるということは、地域貢献を十分に果たすことは必須なのである。

ぼくの応援するFC東京も、商店街に旗を立てたり、小学校にコーチを派遣したり、スクールを運営したり、少年院の収容者に対する支援をしたりしている。


何より上に引用したリリース分にも「都民の暮らし、そしてココロを豊かにし、多種多様な社会課題を解決する、新しい都市型スポーツコミュニティ」と書いてあるではないか。

だから、それがどんなものなのかを突き詰めて聞いたところで罪にはならない。というよりも、サッカークラブという金のかかるインフラを都民が支持するかどうかを左右する非常に重要なことではないかと思う。

ここに書いてあることは小手先の、煙に巻くような、中身のないものであってはならない。従って、クラブ関係者に取材すればどのような社会問題を解決していくのかについて、あるいは、他のJクラブとの差別化についてしっかりと述べてくれるはずだ。

とまぁ、蕩々と書いたのだが、このような理由でぼくは非常にすっきりとしていない。今の気持ちとしては、JFLクラブに燃えて頂き、1年で地域へと突き返して欲しいと思っている。

JFLをなめんなよ、地域のサッカーなめんなよ。とぼくがいうと、その当事者として頑張ってきた東京ユナイテッドの関係者に失礼であろう。ただ、感情としては、やはり正規のルートで関東を通過してくれないと応援しようという気持ちにはならない。

これは外野の気持ちとしてはスタンダードなのではないだろうか。


一方で、もっと複雑な心境にいるのが武蔵野サポーターのさかまき氏である。彼が魂から絞り出した記事を是非読んで欲しい。


さて、時間だ。

キャプテンさかまき (twitter)
コンスレンテつじー (twitter)
そして、ぼく。中村慎太郎。

3人でラジオで語るとしよう。

以下有料部分に簡潔ながら、ラジオの感想を綴る。


いやー喋った喋った!!

東京ユナイテッドや武蔵野シティについては、ぼくはあまり詳しくない。しかしながら、スポーツクラブがどのようにあるべきかというテーマは8年掛けて考えてきたことで、自分なりの信念がある。

そういう意味で、東京ユナイテッドのやり方は許しがたいと思ったのは事実だ。

しかしながら、ラジオでの議論を通じて、JFLというものの存在意義を問い直していく中で、これもまたありなんじゃないかとも思えてきた。


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作家・Youtuber。偏差値30からの大学受験を経て東京大学文科Ⅱ類(経済系)→文学部に進学(宮沢賢治の生命観)→大学院は理転して農学系(アワビ類の行動生態および繁殖生態の比較)→自主退学しスポーツ系の物書きに。著書『サポーターをめぐる冒険』がサッカー本大賞2015を受賞。