ハリルホジッチ解任でサッカークラスタが発狂している理由


ハリル解任でサッカークラスタが発狂している理由を箇条書きでゼロから説明してみる。

どうしてサッカークラスタの人が発狂しているかよくわからないという声がいくつかあった。

なので、その答えをツイートしようと思ったのだが、140字でどうこう出来る分量ではなかったのでnoteの記事にする。

代表チームやサッカー協会の内部を取材しているわけではないので不正確な部分もあるかもしれないが、サッカークラスタ(Twitterなどでいつもサッカーのことを書いている人たち)の多数派の心情としては、ある程度整合性があるのではないかと思う。



・サッカーはチェスや将棋のような知的な競技。

・歴史の長さや資金力の違いもあり、海外のほうがサッカーについての知識が蓄積されている。

・将棋では日本人が強いのと同様に、サッカーではヨーロッパと南米が強い。

・そのため、日本サッカーは欧州や南米に追いつき追い越すのを目標にしてきた。

・「日本人らしいサッカー」は歴史上成立したことがなく、現代も「世界から学ぼう」という状態。

・日本のサッカーは発展はしているが、欧州との差は開く一方という人もいるし、ライバルであるアジア諸国の成長も速く、差が縮まってきている。

・w杯アジア予選に勝ち上がるのも簡単ではなく、ハリルやザックの采配のおかげで勝ち上がれたという認識がある。

・日本人では駄目というつもりはないし、最終的には日本人監督が指揮するのが理想だが、まだ海外の知識や経験に追いついていないのが現状。

・そして、サッカー協会も海外から優れた監督を招聘して、日本サッカーのレベルをジャンプアップさせようという戦略を持っていた。

・トルシエ、ジーコ、オシム(急病のため岡田武史へとバトンタッチ)、ザッケローニ、アギーレ、ハリルホジッチと、ずっと外国人監督が続いている。

・もちろん、最初から日本人監督を育てると割り切って、オールジャパン体制でやっていくという戦略もあったはずだが、サッカークラスタならば欧州や南米のほうがはるかに先に進んでいることは知っているため、「世界から学ぶ」という方針には理があることもわかっていた。

・大事なのはどちらが正しいかではない。これまでは「世界から学ぶ」という戦略をとっていて、それに納得した上で、日本代表を支持し、応援してきたという事実がある。

・ブラジルワールドカップで指揮を執ったザッケローニ監督は、非常に優れた実績を持っていて、イタリアのトップリーグ、セリエAでの優勝経験もある。率いていたクラブは、ACミラン。

・ザッケローニジャパンは発足後、破竹の勢いで快進撃をしたことに加えて、どういう狙いでチームを作っていこうとしているのかを懇切丁寧に説明してくれたため、サッカークラスタにとっても良い学びの機会となった。

・期待していたブラジルワールドカップであるが、結果は大失敗であった。

・ブラジルで勝てなかった理由。

・ブラジルという地球の裏側のアウェーの地での開催であったこと(欧州ですら南米ではなかなか勝てない、ドイツは優勝したけど他は散々)。

・選手の一部が「自分たちらしいサッカーをやりたい」と直訴し、ザッケローニが自分のプランで行くことを諦めたこと。

・これが非常に重要で、本来サッカーでは監督の言うことが絶対。文句を言うものは切られてもしょうがない。

・どうしてかというと、チームが1つの生き物のように連動しないと現代サッカーでは勝てないため、勝手なことを言って監督の言うことを聞かない選手がいると勝てなくなるため。

・1つの生き物のようにというのを簡単に説明する。フォワードは攻撃の選手で、ディフェンスは守備の選手という認識があるが、これは古き時代の認識。

・現代では、ディフェンスはフォワードから始まるし、フォワードが最前線で守ってくれないと、しわ寄せが守備の最終ラインに来る。

・ボールに行くのか、行かないで下がるのか。縦パスのコースを切るのか、敢えて縦に出させて味方で囲むのか、などなど。

・では、ディフェンスは守っていればいいのかというと、そういうことでもなくて、今は攻撃の組み立てはセンターバックやサイドバック、場合によってはゴールキーパーから始めることが多い。

・攻撃の選手が攻撃を始めるのではなく、攻撃の選手は詰め将棋でいう最後の一手。

・攻撃の選手が守備をして、守備の選手が攻撃の組み立てをして、真ん中の選手はバランスを取ったり、守備を重視したり、攻撃のコンビネーションに参加したり、あるいは意表を突いて攻撃の最後の一手になったりする。

・細かいことはぼくもわからないので把握しなくていいのだが、とにかく緻密で複雑ということがわかればいい。

・現代のサッカー監督は、緻密で複雑な詰め将棋を解ける人。感覚的に処理する野球の元巨人監督の長嶋茂雄みたいな人は少なくなっていて、野村ID野球的になっている。

・もともとサッカーは偶然に左右される神頼みなスポーツであったのだが、現代では偶然に起こるすべての事象を理論的に支配しようとする試みで満ちている。神への挑戦であり、神への挑戦者同士の対決なのだ。

・だから、勝敗が付いたときは偶然ではなく、何らかの理由がある。選手が頑張ったからというのもあるにせよ、選手が活躍できるように監督が何らかの細工を行っていると考えるのが普通で、そのへんの謎を読み解いて楽しむがサッカークラスタの流儀でもある。

・繰り返すが、サッカーはチェスや将棋のような知的な競技なのである。

・そんな中でブラジルワールドカップでは、選手の一部が「自分たちらしいサッカー」(用語が違うかも)を言い出して言うことをなかなか聞かなくなったと言われている。

・仮に選手の意見が正しかったとしても、監督のプランは狂うので、次善策を持って対応するしかなくなる

・もし、選手達がアルベルト・ザッケローニの思い描く戦術を再現するために必死になっていたら、結果は違ったかもしれない。という思いが、サッカークラスタにはある。

・「みんなの心を一つにすれば勝てる」という言葉はあるが、サッカーの文脈に即していうと、「みんなが監督のプランを素直に聞いて、愚直なまでに実行させようとすること」であって、「選手の俺が望むプランをやってくれ!」と主張することではない。

・もちろん、自由なディスカッションの場が設けられたならば、意見を言うこともあるだろうが、監督のプランを押しのけてまで自分がやりたいサッカーをしようというのは非常識だ。

・仮にそれで試合に勝てたとしても、「選手は監督のいうことを聞かないほうがいい」という誤った前例が出来てしまう。

・サッカーはチェスのような知的競技なので、監督の意志の元に駒が動いていく方が強力なチームになる。

・もちろん監督の良し悪しというものはあるが、日本代表の場合チェスがうまいという理由でザッケローニ監督を呼んできている。

・一方で、ザッケローニ監督は、強力な戦術の骨組みを持つ強力なチームを作ることには長けていたが、相手の出方に応じて、こちらのやり方を修正することが得意な監督ではないことが、ブラジルでの敗戦からわかった。

・なので、ロシアワールドカップに向けて、最先端の戦術に通じている上、相手の出方に応じて作戦を変えられる監督を探してこようということになった。

・その結果、招聘されたのがハビエル・アギーレ監督。
・アギーレについては、詳しく把握する前に終わってしまったのだが、多くの引き出しを持つ勝負士という印象があった。

・個人的には期待していただけに残念であったが、スポンサーにとってのイメージにも関わるし、ワールドカップまで3年あるので、早めに判断したという意味では良かったと思う。

・なぜなら、代表チームをチームとしてまとめるには時間がかかるからだ。代表ウィークと呼ばれる練習&試合の期間は限られるし、練習日はほとんどとれない。 

・から、次の監督からすると、一刻も早くチームを引き継ぎたい。なので、早いという意味では良かった。 

・次に招聘されたのが、ヴァヒド・ハリルホジッチ監督。日本が惨敗したブラジルワールドカップで最も高い評価を残した監督の一人であった。

・アルジェリア代表を率いて、優勝したドイツ代表をすんでのところまで追い詰めたというのが最もインパクトがある実績として語られている。

・具体的にドイツがどういう戦術を用いていて、それをアルジェリア代表を率いてどのように打ち崩していったかを詳細に解説できる人が日本にほとんどいない。

・ぼくも漠然とこんな感じかだろうか?という程度にしかわからない。

・またわかったとしても、それを論理的に語るのは非常に難度が高い。

・将棋のタイトル戦を見て、何だかすごいことはわかったとして、どういう意図を持って指しているかを説明できるのは同じトッププロだけで、一般の将棋ファンには難しい。これと一緒。ある程度はわかるが、言葉にするのはとても難しい。

・それを出来るのが河治良幸(@y_kawaji)さんであり、五百蔵容老師(@500zoo)。五百蔵さんの新著『砕かれたハリルホジッチプラン』で詳細に解説されるはずなので、細かい話まで含めてこの問題を正確に理解したい人は是非読んで欲しい。

・ともかく、ハリルホジッチは、最先端の戦術もわかるし、相手に応じて戦術を変えることに長けている監督だった。日本としては待望のラストピースである。

・ただし、ハリルホジッチがどういう戦術を使おうとしているのかはさっぱりわからない。どの選手を本番で起用するのかもわからない。

・しかし、このわからなさにもサッカークラスタは納得していた。

・なぜならブラジルワールドカップでは、日本がどういう戦術を使うか、どんな選手を使ってくるかが相手にチームにバレていて、丸裸の状態で惨敗したからだ。

・だから、何をしようとしているかわからないこともある程度大事で、期待感に繋がっていたところがある。

・ぼくはザッケローニ監督の用意するサプライズに期待していたのだが、何のサプライズもなかった。

・策はなく、選手達は萎縮し、最後は1度もテストをしているのを見たことがなかった。最後にはパワープレイを始めたのを見て天を仰いだ。

・パワープレイというのは、ロングボールを身長の高い選手に合わせて、強引に相手のディフェンスを崩す戦術で、言うまでもなく日本人にはあまり向いていない。

・ハリルホジッチ監督は、当然のことながら、相手のスカウティングを警戒して手の内を隠していた。試合に勝って渋い表情をしたり、負けたときに敢えてにやりとしたり、あるいは絶望的な顔をしたりするのも、作戦の1つではないかと予想していた。

・ワールドカップの本番になれば、あの時のあの顔にはどういう意味があったのかとか、あの試合では実はこれをテストしていたんだとか、ハリルホジッチの仕込んでいた作戦がようやく明らかになると思っていた。

・稀代の策士がロシアでどう戦うのか。もし全然通用しなかったということになれば、それを踏まえて新しい一歩を踏んでいけばいい。逆に、うまくいった部分があるならば、そこを日本の長所として伸ばしていけばいい。

・3年間、ハリルホジッチにチームを預けて、ワールドカップのために準備してもらっていた。ハリルホジッチはワーカーホリックなタイプで、対戦相手であるコロンビア、ポーランド、セネガルの試合を徹底的に研究していた。その試合のキーマンになるであろう選手には、個別に課題を与えて成長を促していた。

・すべてはワールドカップで勝利するため。

・サッカークラスタで、ハリルホジッチのやりたいことがすべてわかっていた人など誰もいない。一般人にわかるようなものであれば相手にも当然バレる。メディアの人間にもわからない。

・すべてはワールドカップの本戦での戦いぶりを見た上でないと判断できなかった。だって、3年も準備させてきたわけだし、我々サッカークラスタは3年もハリルホジッチのサッカーを見てきたわけだ。

・そして、ハリルホジッチが解任される可能性はほとんどなくなっていた。なぜなら、宿敵オーストラリアを完封するという離れ業を見せ、ワールドカップへの出場を決めていたからだ。

・ワールドカップへの出場を決めるというのは、決して当たり前のことではなく、大きな功績の1つだ。予選を勝ち抜いているのに解任されるとしたら、過去の犯罪がばれるなどの大きなスキャンダルでもない限りはあり得ない。

・我々はそう考えていた。

・ことあるごとに監督を解任しろという低レベルな報道はこれまでにも散々見てきたが、今回は解任される理由はない。だから、ワールドカップではリミッターを外したハリルホジッチのサッカーを見ることが出来ると思っていた。

・もしかしたら大失敗に終わるかもしれないが、もしかしたらかつてないほど強くなるかもしれない。手の内を隠しているだけに期待感はあった。

・そして、冒頭でも書いたが、日本は「世界のサッカーに追いつく」ことを目指している段階なので、それは最高の学びの機会になるはずだった。

・しかし……。

・4月9日、ハリルホジッチ監督の解任が決まった。ワールドカップまで2ヶ月しかない。

・ぼくは、ハリルホジッチが出会い系サイトで女子高生と連絡を取って逮捕されたというような、そういうスキャンダルがあったのかと思った。そうじゃなかったら解任される理由がまったくない。

・だから「デマを信じるな、解任されるわけがないだろう」という意見も多かった。

・ところが、解任は事実だった。

・解任理由は、一部の選手とのコミュニケーションがとれなかったこと。

・一般的に、選手は監督のいうことを聞いて動くのが当たり前で、選手の意見によって監督を首にするということはありえない。

・もちろん、全選手から信頼されず結果が出ていないなら話は別だったかもしれない。

・しかし、ハリルホジッチ監督に見いだされ活躍し始めた選手もいるし、結果も出してきているのだ。

・誰が不満を言っていたのかは明瞭ではないが、ハリルホジッチのプランに合わない選手であった可能性は高い。日本代表には23人しか選ぶことが出来ない。3人はGKで、単純計算すると各ポジション2人ずつしか選ばれないのだ。

・そして、ハリルホジッチは、相手に勝つ確率を少しでも高めるためには、選手の人気にはこだわらず、対戦相手との戦いが有利になるような選手を選出しようとしたはずだ。

・そこから外れている選手からは当然不満も出るだろう。

・けど、その不満に基づいて、監督を解任するというのは妥当なんだろうか?

・ハリルホジッチ監督が選手をえらび、ハリルホジッチ監督のプランで、ハリルホジッチ監督の作戦でワールドカップを戦うのが当たり前だ。

・しかし、もっと忖度してくれという。人気がある選手が出場していないと困るという大人の事情があったりする。

・サッカークラスタも大人なので、大人の事情があることはわかっている。しかし、ワールドカップという大舞台では忖度していては勝てない。

・ワールドカップで勝利する確率を1%でも2%でも高めるためには、監督の意志を尊重し、代表を外れた選手には納得してもらうように話をし、目当てにしていたスポンサーには、「勝利すれば新しい英雄が生まれます、その選手を待って下さい」と説得すればいい。

・そういうコミュニケーションこそが、サッカー協会の最大のミッションであった。

・しかし、サッカー協会は、コミュニケーションがうまくとれないことを理由にハリルホジッチ監督を解任した。

・それはサッカー協会の仕事なんじゃないか?!とサッカークラスタは突っ込んだ。

・そして、勝つことよりも大人の事情を優先したのではないかと勘ぐった。

・ヨーロッパや南米の強国が、勝つこと以外考えずに我武者羅になっているのに、アジアの小国が勝つこと以外を考えたらどうなるか。結果は火を見るより明らかだ。

・もちろん、本気で勝ちたいがために、解任を断行したのならばわかる。しかし、聞こえてくるのは、組織の事情ばかりだった。

・ザッケローニ、アギーレ、ハリルホジッチを招聘した時は原博実さんと霜田正浩さんが中心になったとされている。

・しかし、その二人は、権力闘争の末サッカー協会の外に出されてしまった(という風に外からは見える)。
・権力闘争の末に会長の座に着いたのが、現在の会長である。

・もしハリルホジッチがワールドカップで勝ってしまうと、自分が追い出した原&霜田の手柄になってしまう。

・そう考えたかもしれない。考えてないかもしれない。
・メディアが明らかにしてくれたらいいのだが、サッカー協会について変なことを書くと出禁になるという噂がサッカークラスタでは常識のようになっている。

・出禁ということは、1番仕事になる日本代表戦の取材がしづらくなるということだ。

・だから、サッカー協会の悪口は非常に書きづらい。そのため、サッカー協会には裏があると常に邪推されている。

・サッカー協会が好きな人、手を上げてー!「しーん」これがサッカークラスタ。

・問題が多発している相撲協会みたいなものだと思ってもらえたらいいのだが、今回の件で、相撲協会よりももっと良くないんじゃないかという認識が植え付けられた。

・どうしてかというと、ハリルホジッチ監督を解任し、新監督を設定した際に、どういうサッカーをするのかと問われた時に……。

・パスを繋いでいくサッカーと言った!!

・これは犯罪レベル。

・サッカーはパスを繋ぎながらゴールを目指していくスポーツなのでこれは当たり前のこと。

・「どういう野球をしますか?」

・「ボールをストライクに入れる野球です」

・こういう感じ。パスは繋がって当たり前だ。パスを繋がないサッカーというものは存在しない。

・パスをするにしても、リスクを覚悟で縦に入れていくのか、大きく蹴るのか、あるいは時間をかけてリスクの低いパスを繋いでいくのかなどいろいろなやり方がある。

・これを言い出すとキリがないというか、相手のディフェンスに対応して、どういう風にパスをしていくかを考えるのがサッカーというスポーツなのだ。

・多数のパスを繋ぐ場合、相手がディフェンスブロックを整えてしまうので、ここを崩す工夫が必要になる。工夫がないとまず突破できない。

・相手のディフェンスをどうやって突破し、また、相手の攻撃を防ぎ勝利していくのかと聞いたのに、パスを繋ぐと言われると、サッカークラスタは絶句してしまう。

・「パスを繋ぐサッカーをしよう」という人もかつてはいたかもしれないが、サッカークラスタの中にはもういないと思う。どれだけサッカーがわかっていない人でも、パスを繋ぐサッカーなんて口が裂けても言わない。

・もちろん、相手がまったく触れないような、高精度の高速パスをつなぎ続けて攪乱するという作戦はありえる。しかし、日本より相手のほうがパスがうまいことがほとんど。

・4年かけてひたすらパスだけを追求するというのならまだわかるが、あと2ヶ月しかないのにパスを繋ぐサッカーとは……。

・戦術的な絶句ポイントは他にもあるが、細かくなるのでやめよう。

・ポイントは、サッカー協会のお偉いさんよりも、自分たちのほうがサッカーリテラシーが高いんじゃないか?とサッカークラスタが感じたこと(事実かどうかは別として)。

・前述のように日本のサッカーは海外よりも遅れているので、海外から優れた監督を招聘していた。

・しかし、土壇場でその優れた監督を解任し、オールジャパンでパスを繋ぐサッカーをしようという話になった。

・このオールジャパンというのも癖者。日本は海外から学ぶために、海外の優れた監督を招聘していた。給料も高い。

・しかし、それは必要なことだとサッカークラスタは思っていた。

・優れた代表監督の思想をコピーした選手が、将来優れた指導者に化けるかもしれないからだ。

・なのに、学びの成果が出る前に、もう学ぶのはやめて日本式で行こうと言い出したのである。

・ワールドカップの直前に!!

・他にも怒りのポイントはいくつかある。日本という遠い土地まで来て、ワールドカップに勝つために一生懸命仕事してくれていた一人の外国人を、日本人ですらよくわからない謎の理由で突然解雇する。

・こんなに失礼で、申し訳ない話はない。だったら、最初から別の国の監督になっていればずっと幸せだったかもしれない。

・また、これが日本が行った失礼極まりない話であると言うことは、海外にも伝わるはずだ。好意的に取られる可能性はほとんどないだろう。

・日本は、少子化、人口減少、生産力の低下に苦しめられているため、今後はソフトパワーを活かしたブランディング戦略をとる必要がある国だ。

・その日本が、サッカーというメジャー競技で、先進国とは思えない理不尽かつ残酷な解任劇を演じてしまったのだ。

・これは根深い問題として残るんじゃないか。何てことをするんだという怒りもある。

・そして、こういう状況にもかかわらず、大手メディアや、特定の選手と仲良しだった記者から「ハリルホジッチがいかに邪悪だったか」というテーマの記事が出てくる可能性がある。既にいくつかは見た。

整理すると。


・ハリルホジッチの隠している作戦が何なのか答え合わせが永遠にできなくなった。

・海外から学ぶから日本式でいくへの唐突な方針転換と、その根拠の乏しさ

・ハリルホジッチおじいさんがかわいそう。

・サッカー協会が、ちょっと何いってるかわかんない。 

・少しずつでも、一歩ずつでも前に進んでいると信じていた日本のサッカーが思い切り後退した。しかも、内輪の事情によって!!



このあたりがサッカークラスタが発狂している理由だ。

すべてのポイントを押さえられた自信がないので、抜けている部分も多々あるとは思うが、ご参考になれば幸いだ。

ちなみに、「日本は海外から優れた指導者を呼んで追いつくべき」という方針自体が間違っていたという論調も少数ながらある。

日本は、日本流でやっていき、その中で見つかったものを強みにしていくべきだという意見で、それは一理あると感じた。

そもそも海外から学ぶ方法として、監督を呼ぶのではなく、日本人監督を据えて、海外の優れた指導者から勉強させるという方法もありえる。

このほうが歩みは遅いかもしれないが、日本人にとっては面白いサッカーになる可能性はあるし、長い目で見ると日本サッカーも強くなったかもしれない。

だけど、W杯二ヶ月前に首にするのは、あまりにも非人道的だし、それ相応の根拠があるようには思えない。

ハリルがかわいそう、今まで選手批判しなかったけど段々むかついてきた、ってか文句言ってる選手誰だよ、昔大好きだったあなたじゃないよね?

こういった考えがグルグルと頭の中を駆け回る。



従って、我々は発狂した。

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長い文章にお付き合い頂きありがとうございました。サッカークラスタ以外からは「なんで怒ってるの?」と聞かれるのですが、自分でもこの気持ちにどういう整理をつけていいのかわからなかったので、とりあえず頭から書いてみようと思いました。

この記事によって、「ハリルホジッチは嫌なやつだから解任は妥当」という世論が少しでも和らぐことを願っています。

ぼくは、ブラジルワールドカップの際には、現地まで応援に行きました。その時どういう心境で言ったのかは拙著『Jornada』(電子書籍)に綴っています。

犯罪だらけの地球の裏側まで、死ぬ覚悟までして行きました。結果は敗北ではありましたが、日本サッカーは確実に前に進んだと思いました。信じました。願いました。

しかし、2018年4月9日、日本代表と共に我々が積み重ねてきたつもりであったものが、ある日突然崩されてしまったわけです。発狂しました。

ロシアではグループリーグで敗退する可能性は高いと思っていましたが、日本サッカーに何かが残れば良いかと思っていたのに、何も残らないという愚かなる……(怒りの無限ループ)

また文中でも紹介した五百蔵容さんの著書『砕かれたハリルホジッチ・プラン 日本サッカーにビジョンはあるのか』(星海社)は、近日発売なのですが、ハリルホジッチがどういうチェスをしようとしていたのかを緻密に分析していた本です。

また、日本サッカーがどのように「海外から学ぶ」ことを続けてきたのか、積み重ねてきたのかについても書いてあるはずです。

なんで知っているのかというと、『フットボール批評』(カンゼン)の連載記事のため、五百蔵さんのインタビューをさせて頂き、その際に、その時点でのゲラを拝見させて頂いたからです。

一般の人の大まかな感情の流れはこの記事でもフォロー出来ていると思いますが、ハリルホジッチが何を考えていたのかを考えるには、詳細な分析が必要です。そして、『砕かれたハリルホジッチ・プラン 日本サッカーにビジョンはあるのか』では、それがなされているはずです。

今回の件で、賢者ハリルホジッチがどういうチェスをしようとしていたのかについて興味を持った方は、是非五百蔵さんの本を手に取ってみて下さい。

現在、予約受付中です。五百蔵さんの回し者のようなコメントですが、実際に回し者です。

よろしくお願いいたします。

あ、あとぼくのツイッターもフォローミー! @shintaro


今回の解任劇についてより深く理解するための記事を書きました。3分の1程度は無料で読めますので、是非ご覧ください!


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中村慎太郎 日記を毎日書いています。
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