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京都の匂いに灼かれながら

8月のお盆前。

2社目の会社を退職した。

これからの長い人生、やりたいことをやってみよう、そう思って2度目の転職。

実家の両親には内緒。

65歳以上の田舎暮らしには、多分、職を何度も変えるなんて理解してもらえないと思う。

お互いに幸せでいることが大切だから、これは必要な嘘だと割り切る。大きな広い世界と長い人生のほんの少しの嘘。

まだ28歳。やろうと思えばなんだって出来るし、何にでもなれる、と思う。

そんなこんなで、次の職場に出社するまで1週間の休みが出来た。

もう、どう過ごすかは決めていた。

実に8年ぶり?ぐらいの一人旅。行先は京都。

まえに京都に行ったのも6年前。そのときは当時彼氏、現在旦那と一緒。それなりに楽しかったが、旦那的には京都は水が合わないらしい。

なんとなく、わかる。土地の持つ雰囲気や空気感、生きてる人々のいろいろ、合う合わない、多分あるよなあ。

わたしも神戸はなんとなく合わなかった。素敵な場所だったけど、なんとなく。

旦那は水が合わないらしい京都だけど、わたしは合う。と自負している。

合いすぎて毎回帰路に着く旅、ロスに陥る。なんで住めないの?なんで生まれが京都じゃないの?って毎回思う。そうだったらそうだったで見えないものもあったと思うけど。

せっかくの一人旅だし1週間だし、いくなら京都!と意気込み退職するまでのアレコレよりよっぽど時間をかけて行程を練った。

旅ってこの行程ねりねりタイムがピークだと思っている。めちゃくちゃ楽しかった。

さてさて、そんなこんなで京都に行ったのですが想定を超えた事態がいくつか合った。

①暑すぎる、危険。

②結構お店潰れている

③人がいない

暑すぎるのは、なんだろう、多分わたし側のもう20代の前半とはちがう体力の衰えもあったとおもう。暑さが身に沁みる。

もう、歩けない、、と三条大橋手前でへたり、とりあえず電車にのってそのまま貴船へgo 

しかし貴船、難易度高し。一人じゃ20%も楽しめない。川床、羨ましいが一人のプライドが邪魔をする。とは言っても体感温度は5度は低かったし、よしもとばななの本にでてくるカーブも見れたのでよかった。(事故で人が死ぬんだけどね)

その後の行程でも、暑さは大敵となった。時期ずらせば夜も四条から祇園までフラフラしたりしたかったな。

人がいないのは、まあそうなんだけど想像以上だった。なんか切なくなった。と、同時に何かしたくて、また来た時に京都が元気でいて欲しくてお土産はどっさり購入。べたに八つ橋も。

観光者としては、とても歩きやすく、特にお寺なんて本当に人いなくてじっくり見れたのはありがたかった。知恩院、初めていったけどねねの秀吉愛がひしひし伝わってきてキュンとした。

あとはブラブラ、最近できた新風館みたりイノダコーヒーでモーニングしたり、とにかく歩いた。

ちゃんと鈴虫寺でお礼まいりもした。ちゃっかり新しいお願いもしたし、またどうぞよろしくお願いします。

一つ心残りなのは、岡崎とか六角堂のあたりとかを歩けなかったこと。あのあたり、本当に京都の匂いがすごい。むせるぐらいすごい。

その香りの正体を求めて、お香専門店行ったけどわからず、、。あれは本当に独特なんだな。独自の分析をすると

お寺のたくお線香+町屋のお香+木造建築の木のしっとりした匂い

だと思う。あの匂いをかぐと一気に京都の禍禍しいような生暖かいような切ないような空気にのまれる。

わたしはその瞬間が大好き。夏の夕暮れの、黄昏時のその匂いなんて、ほんとに、よしもとばなな的にいうとあの世とこの世の境目があやふやになる。そっちでもいいや、とさえ思う。そんな匂いに灼かれる。

そういえば、この「土地の匂い」について恩田陸さんがわりと同じことをエッセイで綴っていてなんだか嬉しくなった。そうそう、そうなの!

てな訳で6年ぶりの京都は、いろいろ大変そうではあったけどやっぱり良かった。わたしの前世はおそらく平安京にいたに違いない、それぐらいフィットする街。

また、おたがいお元気で。

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