ゴジラ素人がゴジラ-1.0 を見た

かねてより知人何名かにおすすめされていたので、先日やっとゴジラ-1.0を観ました。おすすめしてくれた人たちありがとう。かなり好きな映画だったので感想を書きます。ネタバレありです。

全体

ゴジラわからなくてもOK

前置きしておくと、私はゴジラのことは全然わからない。シン・ゴジラだけアマプラで観たことがあるくらいです。

でも全然大丈夫だった!ゴジラはでかくて強くて、なんか放射能に反応するのかな?くらいしか今もわかっていないけど楽しめた。
シン・ゴジラではもっと形態変化していた気がしたけど、あれはまた別の時間軸のゴジラだからなんだろうな。
監督には監督のゴジラ。その解釈の多様性もゴジラというコンテンツの面白いところだなと思う。

IMAXってすげー!

IMAXで見たのだけど、これは最近見たIMAXの中でも一番IMAXに向いている映画だと感じた。戦闘機の轟音がバリバリ鳴ってたり、打って変わって無音になったりと、メリハリの効いた音響の迫力がより表現されていたように思う。

話の面白さも相まって、後半は緊張しすぎてずっと手汗かいてたし心拍数上がりまくりでやばかった。ドキドキが増幅されるので、ヒリつきたい人はIMAXオススメです。たけ~けど。

ゴジラのデザイン

シン・ゴジラの時は、(私の知らない形のゴジラだ…。しかもいっぱい変化する…。)と思っていて、それはそれで新鮮でよかったのだけど、今回はプレーンなゴジラで安心感があった。

意外と身体がぽてっとしていたり、手が(身体に対しては)小さくて可愛い。やっていることは可愛くないけど。
姿勢も意外といい。ゴジラにも背筋があるんだろうな。

あとは熱線の演出がかっこよくて印象的だった。黒にぱきっとしたクリアな水色の組み合わせがサイバーっぽくて、自然の生物じゃない感じとか、高エネルギーが凝縮されている感じにぴったりだなと思った。

キャスト

いい意味で平たい顔の人が多くて、異国感を感じすにすっと入り込めた。
あと人の顔を覚えるのが苦手なので、その中でもちゃんと個性が分かれたキャラクターで助かった。主要キャラもそんな多くないし。

敷島の肌荒れも個人的には印象的だった。栄養不足に加えて敷島が寝れてないんだろうなってことを実感する、あの肌のゴワゴワ感。映画館のでかいスクリーンでは特にばっちり見えていた。ああいう特殊メイクがあるんだろうな。私とは真逆の工程を踏んでいてすごい。

ノーストレス

ゴジラってある種のパニック映画だともいえると思うんだけど、そういうのにありがちな揉めたりなんだりで「いや今そんなことしてる場合じゃないだろ!」って思うストレスがほぼなかった。
あれほんとに苦手なんだよな。いや、人間は愚かだから実際ああなってしまうのかもしれないけど、フィクションでくらいそこのストレスを感じたくないよ。
橘さん探しの時はあと10日以内かもって言ってるのに間に合うのかハラハラしたけど、ちゃんとそれにも理由があったことが後からわかって納得できたし。

あと、政府やら敵対組織やらに変に邪魔されるみたいな描写が多すぎるとこっちも嫌な気分になるんだけど、それもなかった。
戦後直後のセンシティブな時期だからアメリカ政府が手出しできないのもわかるし、ボロボロの日本政府が手出しできないのもしょうがない。
作戦に集められた人たちも、帰りたい人は帰って良し、あとはもう残った人で団結して頑張るだけだ!というのが、ゴジラvs作戦のメンバーというシンプルな二項構造になって、余計なことを考えないで済むのでよかった。

ストーリー

新生丸メンバー

何か事件が起こって、そのために集められたメンバーが仲間になっていくの、めちゃ好きだ~~~!王道中の王道パターンだからこそ美しい。
最初はちょっといがみ合ったりするけど、苦難を乗り越えて絆が深まっていくのを見たい。さらに言えば誰も欠けないでいてほしい。

新生丸のメンバーもバランスがよくてとってもよかったな。全員キャラが立ってたし、大人も子供(と水島のことを呼んでいいのか分からないが)もいるのがよかった。

科学者って大変

元技術士官の野田さんがみんなに説明するシーンで、「絶対倒せるんですか?!」って問い詰められて、「いや絶対とは…」ってなっちゃうの、妙なリアリティーを感じて笑った。敷島が「絶対」を求めてるのも分かるけど、やってもないのに絶対なんて言えないもんなあ。Twitterみたいだった。

自己犠牲

皆さんは敷島が脱出するって分かってました?私は分かってなかった!

わざわざ航空機の説明をカットした場面を見た時にはなんかあるんだろうなって思ってたけど、敷島の危なっかしさでそれをすっかり忘れてしまっていた。まじで明子残して死ぬつもりなのかと思っていた。こいつ典子のことはあんなに大事にしてたのに明子のことはどうでもいいのかよ…。と勝手に失望までしていた。
確かにゴジラを倒すのは明子のためには必要なことなんだけど、誰かが貧乏くじを引かないといけないのもその通りかもしれないけど、敷島の中の戦争が終わらないままに、大切なものを残して死んでいくのはあまりにも悲しいことだ。このまま死んだらこの映画なんだったんだろうって思うだろうなと、心をざわつかせながら観ていた。

でも違った。
いや、もしかしたら橘を必死に探していたときは本当にヤケになっていたのかもしれない。同じ過去を見た橘の中の戦争を終わらせるというのがもちろん主目的だとして、技術者は数いれど、メインエンジンを取り外して爆弾を取り付けるなんて酔狂なことをしてくれそうなのは橘くらいだから。

けれど、明子との時間を過ごしたり、仲間に諭されたりして、本人の中で整理がついたのだと思う。当日いやに冷静で、それが玉砕すると決めていたからこその覚悟なのかと思い込んでいたけれど、命を懸けて敵を倒して、かつこれからも生きていくための覚悟ゆえだった。
ほんとに脱出できてよかった。
あと野田さんが「誰も死なせない」みたいなこと言って有言実行したのもかっこよかった。私はかなり野田さんのファンです。

戦時中の自己犠牲が美とされる精神からの脱却。時間がすぎていくだけじゃなくて、残された人も新しい時代に進んでいくというメッセージを感じました。

最後の演出

最後に典子の首になんか埋め込まれたのだけ分からなかったな~と思ったけど、これは別に過去映画での明確な元ネタがあるわけじゃないっぽい。よかった。

私としては素直に考えて、ボロボロになった典子がゴジラの破片をなんらかの形で取り込んでしまって、復活したっていうのが一番それっぽいと思う。それがゴジラ化につながるのか、操られるとか、また別の伏線なのかはよく分からないけど。

主人公にとって全部がうまくいっためちゃくちゃなハッピーエンドで、客席もさっきの緊張の連続から解放されて弛緩した直後に、その不穏な演出が来て、さらにあのゴジラが歩いてくる音だけが響いてきたとき、一気に心が引き戻される感じがして、でも後味の悪さは不思議と感じなくて、その絶妙なバランスがすごくよかった。うまく言えないけど、これはゴジラの映画なんだということを最後に強く実感しました。

追記:監督のインタビューを見つけました。わかるな~。

「明言は避けたいと思いますが、なぜ典子はあんな目に遭っても死ななかったのかということですね。最後に敷島を典子と会わせてあげたかったんですが、いかにも的なハッピーエンドにはしたくないので、ああいう形で典子を生かしたと。やっぱりゴジラが戦争や核の象徴である以上、死にはしませんでしたがこの先幸せだけが待っているわけじゃない。ハッピーエンドは嫌だけど、バッドエンドにもしたくないという着地点です」

https://news.yahoo.co.jp/articles/f48d656774675ea3a5cbeab1020fae8a3039e1cc


終わりに

ゴジラ-1.0、面白かった。ネタバレしまくったから見てない人はいなさそうだけど、見てない人がいたらぜひ見てください。

最後に疑問なんだけど、ゴジラが好きな人はゴジラそのものが好きで観てるの?それとも、ゴジラと対峙する相手を含めたストーリーが好きなの?
私が観た二作では、どちらも人間がゴジラにボコボコにされながらも最終的にはボコボコにやり返すという展開だったので、ゴジラを可愛がっている(?)人からしたら、まごうことなきゴジラ虐待として観ていて悲しくならないのかと考えたのだけど。
ゴジラファンの人がいたら、ぜひどんな気持ちで見ているか教えてください。

監督のインタビューで、最後に次回作を若干匂わせされていました。もし次回作があったら一緒に行こうね、フォロワー。

■「もし再びゴジラ映画の監督を務める機会があるとしたら、『ゴジラ-1.0』の続編か、それともまったく別のゴジラ映画のどちらを撮ってみたいでしょうか。『ゴジラ-1.0』が公開されたばかりで気が早いですが、今後も山崎監督のゴジラを是非観てみたいです。よろしくお願いいたします」(30代/男性)

「いまの正直な気持ちを言えば、僕としてはあの人たちの続きの話が観たいですね。もし作れるなら、彼らがその後どうなっていくのかそこを絡めた映画にしたいと思っています」

https://news.yahoo.co.jp/articles/f48d656774675ea3a5cbeab1020fae8a3039e1cc

アカデミー賞視覚効果賞ノミネートおめでとうございます!!!

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