『私のことを好きな人に会いたい』

「私の人生はもうここで終わりです」と思うのに、コンビニでプリンを買うのを我慢したりする。

店内の蛍光灯に煌々と照らされて、剥げたコンシーラーやテカる鼻のことが気になりながら、同時に「私の人生にもう行き先はない。ここで終わり」と強く思っている。
2分くらい立ち尽くしてから、コンビニを出る。

帰り道は暗く、「この世には私のことを好きな人も、これから好きになる人もいない」と思う。
そういう道を、ただひとりで歩いているように思える。

しかし、だ。インターネットで見たけれど。
どうやら人は、行き先など決められなくても生きているだけで尊いらしい。
ひとりぼっちでも、自分で自分を愛し、評価できれば、それでいいらしい。
つまり私は、生きていけるということらしい。

私が永遠に私の味方でいれば、私は最強なのでは!

そんなことを考えて、ちょっと明るい気分になって、自分と手を繋ぐような心持ちで家まで帰った。
大丈夫、私はずっとあなたを好きでいてあげる。ずっと裏切らないし、そばで見ていてあげる。
プリンは明日買いに行こう。ニキビなんて隠さず、パーソナルカラーと関係ないアイシャドウを塗ってコンビニに行こう!

軽い足取りで玄関を開けて、鍵を閉めて靴を脱ぐ。
誰もいないけど「ただいま」と言おうとしたら。

口から、「私のことを好きな人に会いたい」と、こぼれ落ちた。

あとはもうしゃがみこむしかなくて、あぁ、やっぱり、ぜんぜん駄目でした。

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