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笑われているのか笑わせているのか、まあどちらでもいい

先日、子どもの幼稚園で親子遠足があった。
ここ数年はコロナ禍で見送りになっていたイベントで、私たち親子にとっては初めての親子遠足となった。

その日のお昼はお弁当だった。
子どもが仲良くしているお友達数人、そのお母さんたちと一緒に座る。
お母さんたちとはこれまでほとんど交流がなかったこともあり、少し気を遣い合う環境の中でお昼ご飯がスタートした。

そんな中、私が握って来たおにぎりとジップロックに入った海苔を出すと、ひとりのお母さんが

「海苔そのまま持って来てるじゃん!」

と言って笑った。
文字だけで表すのがなかなか難しいのだが、決して馬鹿にされたようなニュアンスではなく「海苔そのまま持って来たの?!マジ?!ウケる!!」的な雰囲気のツッコミであった。

どうやらおにぎりと海苔を別々で持って来るのはスタンダードではないらしい。

そうか、海苔は巻いてくるものなのか。

そう思ったものの、そのツッコミや笑いに対して、特に嫌な気はしなかった。
むしろツッこんでもらい、少し場が和やかになった気がした。
そのあとはジップロックの海苔を出す以前(そんな大袈裟な行為ではないけれども)よりも和気藹々と過ごせたように思う。

笑われたのか笑わせたのかわからないけど、まあどちらでもいい。


そういえば。
大学4年の秋、会社の内定式に参加した時にもちょっとした(いや私にとっては大きな)ハプニングがあった。

関西に住んでいた私は、内定をもらった会社の内定式に参加すべく、新幹線で東京まで向かった。

慣れない東京、慣れないスーツ、慣れないパンプス。
これから働く会社の人たちと対面する緊張感。緊張に弱い私は吐きそうだった。

そんな緊迫した状況で会社の最寄駅に着いた時、私の耳に大きな音が聞こえて来た。

「ブチッッ!!!ドンッッッ!!!!!!!」

え、何?!?!?!?!?

…と思ったらカバンの紐が切れていた。
カバンが道に落ちている。
意味がわからない。今から内定式だというのに。今?!何故?!てかカバンの紐が切れることなんてある?!?!?!

しかしもう時間は迫っている。
私はカバンを抱きかかえながら会社に向かった。

なんとか到着し、カバンを抱きながら怪しさ満点の動きで着席すると、隣の席の女の子がこちらを見ている。
確実に「どうしたの?」と言いたげな瞳だ。

「いや!!あの、そこで…!!駅で…カバンの紐切れちゃって…!!!」

何も聞かれてないのに勢いよく説明し始めた私に、女の子が吹き出した。

「大丈夫?…じゃないよね」

と言ってまだ笑っている。
でも、笑ってもらって救われた。
慣れない環境の中で具合が悪くなりそうなほど緊張していたところにカバンの紐まで切れてしまい、正直パニックだった。

その子とはどうもご縁があったようで、結局その後同じ配属先になり、2年ほど一緒に働いた。
今でも連絡を取り合う、大事な友達だ。


私は時々、そんな風に人に笑われる。
いや、笑われるというとなんだか違う響きに聞こえてしまう。

笑っていただく、とでも言いましょうか。

でもそんなひと笑いが、場の雰囲気を変えることは大いにあると思う。

これからも大いに笑い、笑わし、笑われ、そんな風にいきたい。

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