文化の日に文化のつく言葉について考えてみた【2021/11/03】
【鍋、住宅、包丁。この3つに共通して使われる言葉は何か】
答えは言わずものがなだが、文化である。
戦後の高度成長期、生活関連のモノに、猫も杓子も文化をつけた言葉があふれた。
文化鍋…炊飯にも向くアルミニウム鋳物の両手鍋。厚手で、ふたの高さよりも鍋の縁が高くなっていて、炊飯に用いても吹きこぼれにくい。(講談社『食器・調理器具がわかる辞典』より)
文化包丁…菜切り包丁と牛刀の長所を兼ね備え、肉・野菜・魚などに幅広く使える包丁。みねがななめにカットされて刃先がとがっている。ステンレス製が多く、また両刃で扱いやすく、家庭用として一般的に用いる。(同上)
文化住宅…戦後に関西地方で建てられた分譲・賃貸のための木造2階建住宅の俗称。(『広辞苑』より)
調べてみたら、文化干しなんてものまである。これは、魚の干物をセロハンを巻いて販売したところ、「見た目がおしゃれ!」と好評で広まったらしい。今では、ごく普通だけど。
文化という言葉は、戦中の厳しい暮らしを過ごした当時の人たちにとっては、新しい時代の最先端で豊かな暮らしを想起させたのだろう。そのイメージの根底にあったのは、やはり、日本国憲法第25条の次の条文だと思う。
「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」
今ではすっかり手垢がついて、お店の陳列棚の奥に眠っている感じだけれど。
新しいホットワードに飛びつくならいは、変わっていない。今ならさしずめ「スマート」かな。「スマートインターチェンジ」「スマートオフィス」「スマートメーター」「スマートテレビ」「スマートハウス」…。挙げたらきりがない。「スマートで始まる言葉の世界」の王様は、やっぱり「スマートフォン」である。いつも「スマホ」と呼んでいるので、“本名”に「スマート」が入っていることを忘れてしまいがちだけれど。
スマホで動画を見たり、本を読んだりする今。「文化」生活も、スマホに支えられている。
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