サイバーパンク=インビジブル
BAM! BAM!
50年は型落ちのリボルヴァー拳銃を構えて、俺は威嚇発砲する。
愛玩犬を囲んでいた浮浪者たちは、一目散に廃倉庫の影へ逃げていった。
「お前らが犬を食う分には勝手だが、そいつは俺の飯ダネになるんだよ……」
俺が犬を食うわけじゃない。
2050年のARネットワーク全盛でも、探偵に犬探しを頼むような依頼は絶えないというだけ。
あるいは、犬探しくらいしか仕事の来ない程度の低い探偵がか。
「見つけた。君が探偵かい?」
犬を抱えて倉庫街を出ようとした俺に、不意に現れた女が声をかけた。
時代遅れの黒のフォーマルスーツ。似合ってはいるが、男装のつもりなら胸が自己主張しすぎている。
「真っ当な探偵を探してるなら、他を当たった方がいいぞ。なにせ俺は……」
「それは知っている。そして君を訪ねたのはそれが理由なんだ」
「君が電脳化せず、自我をクラウドにアップしていない唯一の探偵だから。この事件は、君にしか解けない」
【続く】
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