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可哀想で終わらせず、できることはある

こういう事件が起きると私もだけど、どうしても感傷さが出る。
でも生きているし、具体的にならないといけない。
できることがある。


ここ数年の虐待件数のグラフ。あれを見て、世の中酷いことになったと嘆く人がいる。けれど個人的には、もともとあったものが、それだけ人々の間で「児童相談所に連絡するもの」と認知され、相談されるようになった。社会がはいるようになった。その結果が反映されているのだろう思う。

ただし、その件数の増加からわかるように、明らかに一軒一軒を対応するには、児童相談所の人員・予算だけ考えても足りない現状があるだろうというのは容易に想像できる。


その地区に30人、対応の緊急性が高い児童がいて、200人児童相談所に報告されている家庭があるとする(数は例えです)。

その30人の対応をしている間にさらに直ちに緊急性がある家族の話が舞い込んできた時には、その状況の見極めや対応に人員も時間も優先的に使われる。
その緊急対応をしながら、家庭で過ごす200人も見ていく必要がある。
またすでに親元から保護された、乳児院等で過ごす子供たち。その里親の紹介等も彼らが全部行なっていく必要がある。

緊急性の高い命を救うこと、彼らの今後の人生を考えて早期に里親とのマッティングを進めていくこと。とても難しく、緩急のあるものを相談所の人たちはやっている。

こういう時に役所や児童相談所を叩くというようなことをする人がどうしても出る。

けれど、では自分だったらスタッフを何人配置すれば、こういうことが完璧にないようにできるかと思う。


上で書いた例えの230+1人。

彼らは「かもしれない」で考えれば、平等に虐待死を遂げる可能性がある。

また231人に含まれていない、その地区に暮らす、どの子供も何か、そういう危機に巻き込まれている可能性があり、事件となって露見する、そういうことがあり得るのだ。


その数をちゃんと見てあげるためには?
たとえば50人の配置で足りるだろうか。

自分の地区に何人子供がいるか私たちは知っているか。



一時期保健師の手伝いとして役所に関わることがあったが、毎日出生届が出され、その新生児訪問の予定が組まれ、乳児健診が週何回か行われ、発達相談があり、個別相談もあり戸別訪問もして、虐待ケースの相談もある。
やるべきことは多様だ。


「役所は、こういう時のためにあるんじゃないのか!」と声高にいう人には、自分の身において考えてほしいと思う。

自分の仕事に置き換えて、そのタスクを、どうやったら無事遂げられるか。

30万の給料として、人員を20人増やすとしたら、年間何千万の予算が必要か。その予算は足りているか。(こういう話を書くと、オリンピックなんてものに予算を使って、無駄だ!とかの話が出てくるけど、個人的には決まっちゃったものだし、どう銭を稼いで収入を上げるかになってくるんだろうなって思う。)

私たちが普段入れている税金の一つ一つで、予算が変わりその質も変わるし、議員の一人一人で予算の組み方も変わる。

って思うと、ちゃんと税金納めるところから始めて、議員を選挙で選んでいくことも子供たちのためだと思うし、
できる限り健康を保って、医療保険の負担を減らして、仕事をしていくことも子供たちのためになる。


基本としては、きっとそういうところから始めるしかない。


そういうのを仕事にしない限りは。
けれど、それだけでも、子供たちのためになる。

「かわいそう」で終わらさず、人々のつながりを取り戻そうとか抽象的に感傷的になるのではなく、できることはどこにだってある。


ただそれでも、近所の子供達に何かしたい。

でも、このご時世他の家に口を出しにくい。

けど、もうちょっと何かしたい人には、最近広がっている『子ども食堂』という地域の取り組みに参加するのはありだと思う。


感傷に浸って、世の中が良くなるならそんな簡単なことはないけれど。
きっとできることはある。

ただ悲しむ前にすべきことがある。



果ノ子


あとは、役所の人を叱るとか助言をするなんて人いなければいいなあと思う。普通の人がこの事件に傷ついているように彼らだって傷ついている。
それでも働かなければならない。
きっと良くも悪くもこの事件の後、子供たちを心配する周りの大人によって、虐待が疑われる案件の電話相談が増えていると思う。
それで見つけられるものもきっとある。
そこにナイーブなだけの苦言はいらない。もし虐待について電話相談する場合も、役所の福祉課の人と話すことがある人も、そういう中で、できたら配慮のある言葉をかけてあげてほしい。

現場で頑張っているのは人、なのだから。





(ふるさと納税みたく、税金の使い道をその分野に送ることができる制度があったらいいなあとふと。いやあるのか?)

(会社で働いているうちは、税金の額ってそんなに気にしなかったのだけど、無職になってから自分で納めるようになって。高いなぁとも思うけど、この額って今日お世話になった役所の人の1月の給料ぐらいにしかならないんだよなって思うと、この額で道路とか勝手に使えんのすごいよなーって思うようになった。だって信号とかの電気代とかもそれなりにするだろうしさ、なんかすごいよね)

(今回のニュースでツイッター見てる時に、「痛ましい事件だけど、虐待をされて生き残った自分からすると、正直よかったねと思ってしまう」という言葉をみて、考えることがあったからまた書きたい。きっとたくさん、ただ死ななかっただけで生き延びた人もいる。)


(そうして、こんな文章を書いておきながら今無職なので、早く復職しようと思う。。。)

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