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ー詩ー 『祈りの形』


大気がまだ荒らされる前の
密やかな約束の時間

粒子は徐々に 光を吸い込んで
ゆっくりと色を蓄えてゆく



骨ばった 長くしなやかな祖母の手が
今日もシャラシャラと数珠を転がす

少女のように 胸に合わされた両掌と
焦点を結ばぬまま 空で唱える異国の呪文は

まるで秘めごとを隠す合図のように
周囲に次元のベールを引き降ろし

うしろから抱き付きたい私の衝動を
静かに押しとどめる



極と極に在りながら
二つでひとつ

手は同時に生まれ 

組み合わされ 
叩き合わされ 
触れ合い
応え合い

同時に消滅する



二つが等しく歩み寄り
静かにひとつに融けるとき

再びあの光を 
垣間見ることができるだろうか

時と時の谷間の
存在が消え失せる一刹那

罪を許す者と出会うために
今日もどこかで 手が合わされる

分離を生きる私たちの
根を求める 愛おしくせつない形





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