インキャの僕を変えた、たった一回の飲み会の話〜無駄なことが全部コンテンツになる日〜
2018年6月。
僕は3回目の短答式試験に落ち、死んだ魚の目をして水道橋駅のJRAで競馬をしていた。
いつもどおりNPV▲2000円くらいで帰ろうとしたところ、予備校から2019年目標飲み会を開催する旨のメールが届いた。
まあ迷わず参加だよね。
そしてその飲み会で、後々の人生を揺るがす出来事が起こる。
男6人のテーブルに講師が二人
午後6時。時間ぴったし。一応ヘッジとして、旧来の男友達の影に隠れて登場。
講師の方々の誘導で、無残にも僕らは切り離され、永遠の別れを告げる。
そこで僕が割り当てられたテーブルには、むさい男6人+講師という、
フランス、ブラジル、イタリアと一緒になる死の組のワールドカップ予選が始まった。
仕方ないから僕は大好きなビールを飲みまくって、しばらくは無言で過ごしたんだ。
酒が回ってきた頃、講師の方が、
「このテーブルで、一人一人自己紹介をしよう。そしてマブダチになろう!」と言った。
僕は6人中最後の番だったので、それまでゆっくり考える時間があった。
「趣味は乃木坂を追いかけることです!握手会ではいつもななせまるのところに行きます!」
「僕は温泉が大好きです!毎週末、県外にドライブで彼女と旅行してます!」
「日本酒好きが興じて、日本酒バーで働いていたのでこの間の短答落ちちゃいました!」
酒を飲んでたので、他の五人が何を言ったかは正直あんまり覚えていない。
飲み過ぎて朦朧としていたところに僕の番がやってきた。
自信はある時突然に。
このテーブルには今男しかいない。今僕は、3回目の短答に落ちた絶望の淵だ。
テキーラを一気した後に自然と汚物が口から流れるように、身を任せて言葉が溢れる。
「趣味は特にありません。ただ、勉強をサボって、バイトで貯めた数十万を、日吉にあるエッチなチャイナエステに使い切りました。日吉には未公表のもの含めて12、3件あるはずですが、そのほとんどをコンプリートしてしまいました。」
それからテーブルの空気は一変してしまった。
どう考えても僕がその空気を支配してしまったのだ。
生まれて始めての経験をした僕はその時、
どうしたらみんなに平等な議決権を与えられるような空気を生み出せるかを、
必死で考えた。
そして、一人一人に目配せしながら、建前では講師の立場を立てつつ振る舞った。
「すやき君目立ち過ぎて、僕の自己紹介地味だったかな」と思わせないように、全力で酔っ払いながらも、さりげなく一人一人に話を振った。
その結果、気まずい人や疎外感を抱く人のいない空間を、僕が作り出せた気がした。
その時、その場にいた講師の方がどう思ったかまでは分からない。
男しかいないそのテーブルで、持ってくだけ持って行った僕に嫌気が指してたかは知らないけど、ただただニコニコしていてくれた。
この経験は、今、飲み会を積極的に主宰し幹事を任せられるようになってからも、大きな影響を与えている。
くだらない回り道が、ネタになり、人を勇気づける起爆剤になる
今思えば、数十万もドブに捨てたような当時のあの経験なんてクソだと思う。
ただ僕はその時ですら必死だった気がする。
3回目の短答までは一応ガチ→試験に落ちてガチで撤退しようと思う→ガチで競馬に投資、ガチで負ける、ガチで酒に溺れて良からぬ店にガチで投資→ガチで絶望の渕。
大事なことは、何事もガチでいることだ。
ガチでいれば、ガチな本能的行動が繰り出される。それはどこまでも生々しいもので、深い人間味を演出する。
嘘偽りのないガチな生身の経験が、あなたのコンテンツを作っていく。
僕はこの考え方が身に染みているから、若くして「コスパ!効率性!」とか言ってる高学歴の人とはあまり仲良くなれない。
人間が一番共感できる”生臭さ”が足りないと思ってしまう。
僕らが共感するのは、相手の発する、涙するほどの辛い経験や、自分の身に投影されるリアルな出来事だ。
おそらくあの飲み会の日、僕はそのテーブルにいた男のロマンを、若干20歳にして代弁し投影したんだろう(テキトー)。そういうことにしてる。
今に悩める受験生へ。
この世は理不尽なことで溢れている。予備校ではなぜか、早稲田や慶應の学生の高い成績が目立ち、自己嫌悪に陥るようなことがあるかもしれない。
それと自分を比べて一喜一憂するなら、とことん悩んでみてもいいかもしれない。
悩めば悩むほど、比較することが無駄なことに気づくかも分からない。
しかしそういう経験が、数年後のいつかに振り返った時に、同じ悩みを抱える人を、どうしようもなく勇気づけるきっかけになるかもしれないのだ。
♪ヨルシカ『ノーチラス』
ほな!
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