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在宅勤務下でメンタルヘルスを健康に保つヒント

1. 在宅勤務で増す、メンタルヘルスの重要性

メンタルの調子が悪いほど、仕事のパフォーマンスは上がりにくい

在宅勤務において多くの方が抱えている困りごとの一つは、働き方の変化に伴って業務とプライベートが一体化していることです。慣れない環境の中でベストなパフォーマンスをあげるには、ストレスをリフレッシュする方法を知っているなど、メンタルヘルスを自分で適切にマネジメントする能力(コーピング能力)の重要性が高まっていると言えます。

実際に、ピースマインドで実施したアンケートでは、高ストレス者の方ほど「パフォーマンスが下がった」と感じています。具体的には高ストレスの方ほど、「業務とプライベートがわけにくくなった」、「意識的にくつろぐことが減った」、「人や物にあたって怒りや不満を紛らわすことが増えた」、 「仕事のストレスや問題を誰かに話すことが減った」 、「問題を深刻に考えるようになった」と感じているようです。まずは、在宅勤務においてそのようなストレスを感じやすい代表的な要因を理解しましょう。

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出典:ピースマインド株式会社 ニュースリリース

生活リズムの乱れが、自律神経の不調をもたらす

在宅勤務においては、外出自粛による運動不足や、在宅ワークで一斉に全員が作業するため、ネットが重くなり作業が進まないことなどにより、普段の生活リズムが変わった状況が続くことがストレスの要因になっていると言えます。

また、通勤時ですと、帰宅時に緩やかに交感神経系の活動が下がり、副交感神経系の活動が優位になってきます。しかし、在宅勤務により帰宅時間がなくなったことで、交感神経系がまだ活性化している状態で眠りについてしまう場合があります。

緊張状態が続くと、自律神経が乱れ、だるさ、頭痛、不眠といった症状が生じます。そういった不快な症状は、ちょっとした症状だと日常に流されてしまいがちな一方で、ストレスとなり蓄積されていきます。よくよく振り返ってみると「そういえば最近…」と思い当たる方もいるかもしれません。

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出典 : ピースマインド株式会社 「新型コロナウイルスによる不安やストレスに関するQ&A

在宅勤務において、「ワークとライフ」を区別しにくく、「オンとオフ」の切り替えが難しいこともストレスの一因になります。通勤時は、オフィスと自宅で仕事をする環境とプライベートの環境を物理的に分離することができました。しかし、仕事と生活の環境を分けることが難しいので、精神的にも仕事とプライベートについて離れづらいため、ストレスが溜まりやすくなっています。

2. ストレスの溜まっている状況を自覚すると、不安感は軽減される

自分の心理状態を整理し、抱えているしんどさに気づく

専門家は、こういったストレスの多い状況での心理状態を自分自身ではなすことが重要であると感じています。意識しないうちに溜まっているしんどさ、苦しさについて説明されることで、「だからこんな息苦しいんだ」「喉が詰まる感じがするんだ」と状況が整理され、不安感が軽減されます。まずは自分の心理状態に説明がついたり、整理することが大切です。それをきっかけに「それじゃ気分転換しようかな」というように、次に取るべき行動が見えてきます。

不安や現象に名前をつけるだけでも、メンタルケアの効果は期待できる

カウンセリングでよく使われる、不安などの感情に名前をつけるラベリングの手法も活用できるでしょう。コロナに関する不安や疲労が蓄積した状態であれば、例えば、「コロナブルー」。またコロナに関する情報に継続的にさらされていて、低温やけどのようにじわじわ効いている状態は、ボディーブローではなく、「メンタルブロー」とも言えそうです。今の状態に注目して「コロナブルーに陥っていたんだ」など、本人なりに意味付けするために有用な方法です。

3. メリハリをつける小さなテクニックたち

慢性的な環境にどう対応するかということだと思います。休憩時間に変化をつけるという方もいらっしゃいます。周りを見渡してみて、変化を起こせるところを見つけてみると、オンとオフを切り替えるヒントになるかもしれません。

・場面ごとに洋服や化粧を変える
・業務時間外はPCを目につかないところに置く
・業務携帯の通知をOFFにする
・業務終了後のルーティンを決めておく
・休み時間を日によって変える

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4. 自律神経を整えるためにできること

業務終了から睡眠時間までの間、一定時間、リラックスできる時間を作れると良いでしょう。家族と話したり、好きなTV番組を見たり、好きな音楽を聴いたり、自分にあった方法を見つけましょう。
また、腹式呼吸などのリラクゼーション方法や、簡単な柔軟体操を取り入れるのも効果的です。

まとめ

ストレスは、自分でも気づかないうちに蓄積し、業務上のパフォーマンスにも影響を与えます。コロナ問題における環境の変化が多い時期が続いている中、平常時よりもストレスのかかりやすい環境に置かれているとも言えます。メンタルヘルスの問題を放置して悪化させないために、自分自身で自覚をすることと、対策をすることの両方を心がけましょう。ストレスにより部下のパフォーマンスが下がっていると思ったら、適切なケアを薦めることも必要です。無理をせず、小さなことからはじめてみてください。

監修者プロフィール

玉井 敬一郎
ピースマインド株式会社 
組織ソリューション部 部長、Global Business Division 部長
公認心理師・臨床心理士・国際EAP協会認定CEAP

<専門分野>
組織・管理職コンサルテーション、ストレス・マネジメント、ラインケア、キャリアカウンセリングなど

大学院博士課程単位取得満期退学後、EAP提供会社にて働く人へのカウンセリング、管理職や人事、産業保健スタッフへのコンサルティング、研修講師などの業務に携わる。その後、英国ロンドン大学にて、Occupational Psychology/Organizational Behaviorの修士号をおさめ、2013年よりピースマインドにて、EAPやストレスチェックを用いた職場改善施策に関する組織コンサルティング業務に従事。

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